Googleインスタント検索でインプレッションは2倍でもCTRはダウン

Googleインスタント検索が導入されてから1週間がたちました。

日本のGoogleでは未導入で、いつ導入されるかも公式な発表はありません。

日本での導入が完了したとき、SEOにはどのようなインパクトを与える、あるいは与えないのでしょうか?

Googleインスタント検索に対する海外でのここまでの1週間の気になる分析や反応をまとめて紹介したいと思います。

まず、押さえておかなければならないこととして「検索順位」があります。
Googleインスタント検索によって、検索順位は変化しません。
インスタント検索は、検索結果をリアルタイムに更新するだけです。
ランキングには影響を与えません。

しかし、ユーザーの行動には影響を与える可能性はあります。

Googleがインスタント検索を発表したサーチイベントで、GoogleのBen Gomes(ベン・ゴメス)氏は「長い目で見るとユーザーの検索行動に変化が現れるかもしれない」とコメントしています。

変化は発生しているのでしょうか?

まずは“発生していない”と思われるデータからです。

Essential Travel Blogが行ったアイトラッキングテストによると、彼らの観察ではインスタント検索によって更新されるエリアを誰も見ていないということが分かりました。

Googleインスタント検索のヒートマップ

そもそもインスタント検索に気づいていなかったようです。
ただ状況をよく読むと、キーワードをタイプするときに画面ではなくキーボードを見ながら打っていたので画面がリアルタイムに切り替わるのを認識していないユーザーばかりだったとのことです。

手元を見ながら文字入力するのでキーワードサジェストも利用していなかったそうです。

文字を全部入力し終わって顔を上げたら検索結果が出ていた、そんな状況ですね。

ツッコミを入れたくなるような被験者の集め方ですが、PCの扱いに長けているとは言えないユーザー層を主なターゲットにしているなら、まったく影響ないかもしれませんね。

次は一転して、大きな影響があると考えられる検索です。

下のキャプチャは”cheap hotels chicago”(シカゴ 安いホテル)を途中まで入力したときのSERPです。

SERP of cheap hotels chicago

AdWords広告とユニバーサル検索でのローカルパックで検索結果画面が埋め尽くされています。
オーガニック検索はまったく見えません。
表示領域の広いGoogle Chromeでこうなのですから、いろいろなツールバーをインストールしたブラウザではもっと狭い範囲しか映らないかもしれません(ディスプレイの解像度によっても変わりますが)。

タッチタイプで入力していて画面を見ていたとしたら、AdWords広告やローカルパックの出現は視線をひきます。
入力途中で求めていた情報が出てきたらその場でクリックするのでスクロールしなくなるかもしれません。

Googleマップの表示はオーガニック結果のCTRを下げるなんていう記事を書きましたが、さらに拍車がかかる可能性もありそうです。

またキーワード入力の途中でも、インスタント検索が先読みしたキーワードに反応してAdWords広告が表示されることがあります。

WebmasterWorldでは、広告の表示回数が2~3倍に増加したという広告主が何人かいます。
反対にクリック率は下がったとのことです(インプレッションのカウント方法はこの前の記事で説明してます)。

「キーワードの先読み」+「リアルタイム表示」で広告の表示回数が増したからでしょうね。
ただ、それが必ずしもユーザーが意図する検索に関する広告とは限らないので、クリック率が下がることはおおいにあり得ます。

品質スコアは変わっていないというレポートがあるのが救いといえば救いですね。

また2ワードでのインプレッションが増えたけれど、ロングテールでのキーワードのインプレションは減るかもしれないという予想も出ています。

キーワードを全部打ち込む前に気になる広告が出てきたらクリックしてしまうからでしょう。

検索に使われるワードの数が変化する可能性があるのは、オーガニック検索も同じです。
しかし、ロングテールキーワードでの検索が増えるのか、減るのかは一概には言えなさそうです。

先の例のようにすべて入力しなくても求めていた情報が出れくればそこで完了なので、キーワードの数は少なくなります。

でもユーザーがインスタント検索を使いこなすようになって、サジェストで出てくる候補キーワードを試しながらリアルタイムに更新される結果を見て情報を探すようになれば、自分では思いついていなかった数の多い複合キーワードでの検索結果を選ぶようになるかもしれません。

サジェストで出てきたキーワードの検索結果を1つ1つ確認するのはエンターキーを押すのが面倒だし、表示を待つのに時間がかかるのでイヤですよね(これも人によるでしょうが)。

SEOmozのRand Fishkin(ランド・フィッシュキン)氏は、インスタント検索のおかげでトラフィックが急増しているようだとツイートしています。

Rand Fishkinのツイート

ただし多くのサイト管理者や広告主が言っているように、1週間という期間は影響を判断するには短すぎます。

ユーザーがどのようにインスタント検索を使うかまたは使わないか、Googleが改良を加えるか、などによっても影響度は違うでしょう。

対象となるユーザー層、検索キーワードによっても異なってくるでしょう。

日本ではまだ導入されていないので、事前の情報収集ができるのは僕たちにとってラッキーなことかもしれません。