[対象: 中〜上級]
価値のある質の高いロングテールキーワードを、簡単にできる作業で“再”最適化することにより、検索からのアクセスを短期間に大きく伸ばせる方法をこの記事では解説します。
Kaiser the SageブログのJason Acidre氏が公開した“How I increased my blog’s Search Traffic by 44% in under a month”(1ヶ月足らずでブログの検索トラフィックを44%増加させた方法)というタイトルの記事がソースになります。
Acidre氏は、この記事で説明している方法を用いて自分の個人ブログの検索流入を短期間に40%以上も上昇させることに成功しました。
難しいことはなくて誰にでも今日からすぐに始められる施策です。
またブログの事例ですが、それなりに価値があるコンテンツがすでに存在し検索からトラフィックがあるサイトならば特別な条件はいらずどんなサイトにも応用できます。
まるまる日本語訳するのではなく、僕なりのアレンジを加えながら説明していきます。
では行ってみましょう。
2つのステップから成ります。
- 価値があるロングテールキーワードを見つける
- そのロングテールキーワードに対して最適化しなおす
1. 価値があるロングテールキーワードを見つける
まず自分のサイトにとって価値があるキーワードを見つけ出します。
「価値がある」の「価値」はウェブサイトによって定義が変わってくるのであなたが決定することです。
Acidre氏のケースでは個人で運営するSEOブログだったので、「平均滞在時間」と「新規訪問の割合」を価値の指標にしています。
平均滞在時間が長いキーワードと新規訪問率が高いキーワードをGoogleアナリティクスのオーガニック検索のレポートをもとに調べました。
あくまでも彼にとっての指標です。
ブログであればページビュー数を価値あるキーワードの指標にしてもいいでしょう。
ECサイトであればコンバージョン率が高いキーワードを見つけ出すべきですね。
自分自身では気付いていなかった、言い換えると狙っていなかったのに成果を上げているキーワードを発見することが目標です。
ロングテールキーワードになることが多いはずです。
別の方法でもAcidre氏は質の高いキーワードを探し出しています。
ランディングページのレポートで「キーワード」をセカンダリディメンションに指定します。
こうすることで、検索からのトラフィックがあったページごとにキーワードを探ることができます。
このなかから質の高いトラフィック(彼の場合は滞在時間と新規訪問の割合)を導いたキーワードを選んでいきます。
ECサイトであれば、コンバージョン率の高いロングテールキーワードとそのランディングページを見つけ出せたらしめたものです。
なおGoogleアナリティクスに限らず、解析の期間は最低でも3ヶ月以上を設定しておいたほうがいいでしょう。
短かいとロングテールのキーワードは見つけづらいしデータの数が少ないと1つ増えた・減っただけでもパーセンテージが大きく変動するので信用性に欠けるからです。
探し当てたキーワードがあまりにもロングテールすぎて月の検索が1件あるかないかの極少キーワードだったらそのキーワードのために何か変更を加えるのは効率が悪すぎます。
抽出したキーワードをAdWordsキーワードツールを使ってどのくらいの検索ボリュームがあるかチェックすることもAcidre氏は行なっています。
キーワードデータはGoogleアナリティクスならCSVやExcelシートでエクスポートしておくと作業がやりやすくなるそうです。
ただ日本では英語圏と違って検索の絶対数が違うので数字が出てこないキーワードが多いかもしれません。
そんな場合は感覚に頼るしかないですね。
小技として、Googleオートコンプリートを調べてみて候補が出てくるようなら一定数以上の検索ボリュームが見込めると判断してもいいかもしれません。
こんな感じで質の高いトラフィックを生み出す価値の高いロングテールキーワードを20以上を目標に発掘します。
そのロングテールキーワードに対して最適化しなす
対象にするロングテールキーワードを選び終えたら、次はそのキーワードに合わせて既存のページを新たに最適化していきます。
いろいろなことができますが、Acidre氏が行ったことは基本的な内部のSEOが中心です。
次の4つになります。
- titleタグの改善
- meta descriptionタグの改善
- 内部リンクの補強
- 更新の通知
titleタグの改善
選んだ質の高いキーワードが含まれるようにtitleタグを変更します。
titleタグは関連性を示すもっとも重要なランキング要因の1つです。
したがって検索順位アップを期待できます。
それに検索クエリのキーワードに一致すると太字になるので視認性が増します。
またAcidre氏は、“今”にそぐわなくなっているtitleも修正しました。
たとえば「2012年の〜」という年号が入っているタイトルは2013年になった今は古い記事に思われてしまいます。
時間に依存しないように2012を削除し普遍的な記述に変えました。
1つ注意したいことを僕から付け加えます。
titleタグの変更は別のキーワードでの検索順位に影響するかもしれません。
新たにターゲットにしたロングテールの順位は上がるかもしれないけれど別のキーワードでの順位が下がるかもしれません。
元のtitleタグの主要なキーワードは削除せずに付け足す形で修正することが理想です。
またキーワードの羅列ではなくユーザーにとって意味のある訴求効果の高いタイトルを作りたいものです。
meta descriptionタグの改善
選んだロングテールキーワードが含まれるようにmeta descriptionタグの記述を書き直します。
meta descriptionはランキングには直接の影響を与えません。
しかしユーザーのクリック率には大きく影響することがあります。
Acidre氏はmeta descriptionタグをもともと一切記述せずに検索結果のスニペットはGoogleに任せていたそうです。
選んだキーワードの対象ページにはmeta descriptionタグを追加しました。
meta descriptionタグはtitleタグよりも字数が多いのでtitleに入れられなかったキーワードや選考に漏れたキーワードを入れるのも効果的です。
titleタグ同様に検索クエリに一致すると太字になり目立つので視認性が増します。
内部リンクの補強
関連するコンテンツのページから選んだロングテールキーワードのアンカーテキストで内部リンクを張ります。
外部リンクと違って自分のサイト内のことなのでリンクの補強は簡単な作業ですね。
気をつけたいことはユーザーにとって意味のあるリンクにすることと、検索エンジンに操作的だと受け取られないように同じアンカーテキストばかりを繰り返さないことです。
必然性のないリンクを埋め込むことは絶対にやめましょう。
更新の通知
検索エンジンにページのコンテンツが更新されたことを通知します。
つまり再クロールと再インデックスを促します。
Acidre氏がやったことは次の3つです。
- 新規投稿 — 新しい記事を公開してクローラを呼びサイト全体を再クロールしてもらうきっかけにする
- ソーシャルネットワークでの共有 — 更新したことをTwitterなどのソーシャルメディアで共有する
- 新しい外部リンクの獲得 — 必ずしも修正したページヘのリンクである必要はなくてクローラを呼ぶためにサイトのどのページでもいいのでリンクが張られるようにする
ほかには、GoogleウェブマスターツールのFetch as Google実行後のURL送信やサイトマップでの<lastmod>の指定も再クロールと再インデックスの促進の手助けになることを僕からアドバイスしておきます。
僕からの提案として、余力があれば次の2つも実行してほしいところです。
- 古くなったコンテンツの更新
- 共起語を含めたコンテンツの追加
古くなったコンテンツの更新
記事によっては内容が古びてきたもののあるはずです。
いまだに検索エンジンからのアクセスがあるのに中身が古くなっているとユーザーに正しい情報を提供することができません。
最新の情報を伝えられるように内容を更新しましょう。
共起語を含めたコンテンツの追加
選んだロングテールキーワードについて少しでもいいので追加できる情報があれば追加します。
このとき共起語を思い付くようなら共起語を含んだコンテンツを足したいものです。
共起語の追加は1つ上の古いコンテンツの更新にも当てはまります。
関連性をより高くGoogleにつたえることができるし文章にも深みが増します。
新たなロングテールでのトラフィックを呼び込めるかもしれません。
ただしここでも気をつけなければならないことは恣意的にならないようにすることです。
脈絡もなく詰め込めばいいというものでは決してありません。
「検索エンジン」のためが最初に来るのではなく「ユーザー」のためが最初に来るように考えましょう。
以上が、Acidre氏の記事にプラスαした、質が高い価値あるロングテールキーワードを見つけ出して既存のコンテンツへの検索トラフィックを増やす方法です。
一部はテクニック的なSEOと受け取られてしまうような施策があったかもしれません。
しかし検索エンジンからのアクセスがありそれがコンバージョンにつながっているということはユーザーの役に立っているということを意味している証拠です。
より多くのユーザーにより適切な情報を届けるためのSEOとして心置きなく実践してみてください。