今日の記事は初めての試みです。
日本最大級の旅行・ホテル予約サイト、じゃらんnetさんのSEO担当者への突撃インタビューです。
以前に書いた「良いフッターリンク・悪いフッターリンク」という記事のなかで悪い例として じゃらんnetさんのフッターを出したところ、担当の方から「紹介してくれてありがとうございます」と連絡が来たのです。
最初はクレームかとドキドキしたのですが、僕のブログを毎日欠かさず読んでくれているそうで正真正銘のお礼メールでした。
これも何かの縁だと思いインタビューを申込んだところ、快く引き受けていただくことができました。
たまには変わった企画も面白いだろうという思いつきから始まったのですが、幸運にも大企業のリクルートさんが運営するサイトとSEOの裏側を覗くことできたのです。
じゃらんnetさんは大規模サイトですが、個人でやっているような小規模サイトに役立つだろう話も混ざっています。
下の写真はインタビューに同席してくださったお3方です。
左が広報の西川さん、真ん中がSEO担当の吉村さんで今回のインタビューのお相手をしてくだいました。右が同じくSEO担当の大橋さんです。
それではインタビューに入ります。
Q:今担当している業務の内容を教えてください。
A:じゃらんnetやエイビーロードの無料集客がメインです。今の業務に移ってから2年くらいになります。
以前はほぼSEOだけでしたが、最近はソーシャルメディアなども登場して流れにキャッチアップしていくのが大変です。TwitterとかFacebookとか、はたまたEFOツールとかビジネスモデルとか、世の中の先端を調査するグループにも所属しています。
それでもやっぱりSEOがメインというのに代わりはないですね。
SEOは僕と大橋の2人で担当しています。
外部に開発パートナーがいて、サイトの制作などはそちらのお2人にお願いしています。hタグはここに置いてとかここにリンクを貼ってとか骨格作りまではこちらでやりますが、デザインから作成まではお任せです。
サイト構成におけるSEOに関しては細かな点にとらわれるよりも、問題を発見したときにいかに早く対応できるかというシンプルさを重要視しています。
Q:サイトへのトラフィックの種類の比率はどのくらいですか。
A:雑誌媒体やブックマーク、Yahoo!のような他のメディアからのダイレクトなアクセスとSEO、PPCが3本柱になっていて、ざっくりとした比率でいうと1対1対1で、だいたい同じくらいですかね。比率は特に気にしていなくて、それぞれの集客のなかでいかにして最大限の効果を出すかが重要なことだととらえています。
iPhoneのような新しいデバイス対応に関してはこれからですね。
99%がSEOによる無料の集客だと言ってみたいんですけど、残念ながらそうはなっていません。(笑)
Q:SEMに関する施策はすべて内部ですか。
A:SEOについては基本的に内部ですが、単発で外部のコンサルタントに依頼することもあります。
Q:どうやってSEOの勉強をしていますか
A:海外SEO情報ブログです(笑)。というのは冗談のようで本当の話です。毎日更新を見させていただいています。それとYahoo検索とGoogleの公式ブログを見ています。それ以外はRSSなどで気になった記事を単発で見てますね。
iPhoneでRSS購読ができるようになってとても楽になりました。電車の中では常にチェックしてます。
※鈴木コメント:僕のブログだけは毎日チェックしてくれているそうで、ありがとうございます。
Q:ライバルサイトはどこですか。
A:SEOという観点からはライバルとして意識しているところはありませんね。それでも旅行の中ではいちばんになりたいと考えてやっています。
Q:お手本にしているサイトはどこですか
A:価格コムさんとかは参考になるなとは思っていますが、サイトのタイプの違いもあって、こんなふうにやれたらいいかもと思うことはあっても、具体的に取り入れてるということはないですね。
※鈴木コメント:フッターリンクはぐるなびさんを真似るように再度言いました。(笑)
Q:SEOでの流入キーワードとターゲットにしてるキーワードの数を教えてください。
A:流入キーワードの種類は20~30万以上ですね。SEOでいうと、20万ワードくらいが対象キーワードで宿名や高速道路情報などが主な対象になっています。
クライントに記事を書いてもらっている「宿ブログ」というブログから予期せぬキーワードでくるアクセスも多いですね。
宿の名前や「ホテル+地域」というキーワードも占める割合が大きいです。ビッグキーワードでは上位を取れていますし、ロングテールでの流入も多いです。それに比べるとミドルキーワードは少なめですかね。
1つ1つのキーワードを最適化するよりは全体としてボリュームを増すようにしています。検索順位はGRCのツールを使って傾向をざっくりみるくらいです。個々のキーワードを追うことはあまりないですね。
※鈴木コメント:流入キーワードが30万以上とはさすがに日本を代表する大規模旅行サイトですね。SEO対象キーワードが20万もあったら個々をチェックするのは確かに無理です。GRCではチェック対象を5,000個くらいに絞っているそうです。って、それでも5,000個ですが。
提携先のお宿さんにブログを書いてもらって、狙っていない(=気付いていない)キーワードでアクセスを集めるというのは小規模サイトでも十分に実行できる手法ですね。
Q:読み物としてのコンテンツはどうやって増やしていますか。
A:コンテンツ案は主に別の部署(編集部)が企画して作っています。そちらの編集部でもキーワードをチェックしていて季節にあったキーワードのコンテンツを準備しています。
季節キーワードのいちご狩りとか潮干狩りの跳ね上がり方はスゴイですよ。日本中でこんなに「イチゴ狩り」をしたい人がいるのかと信じられないくらいの跳ね上がりで、尋常じゃないです。
今後は遊園地とか寺とかそういうククリでコンテンツを整理していきたいと考えています。昨年からの料金の引き下げで高速道路情報も求められているコンテンツになってきていますね。
※鈴木コメント:Google Insights for Searchで「いちご狩り・イチゴ狩り」を調べてみました。確かに毎年シーズンになると急激に上昇しています。
Q:Yahoo!のインデックス更新で順位がガクッと下がったことはありますか。その場合の対応策は?
A:はい、あります。
去年の12月はエイビーロードがだいぶ影響を受けました。対応策は下がったページのコンテンツを見て共通点があれば対応することくらいで、特別なことはしません。でも12月はまんべんなく落ちてしまい、通常その後発生するより戻しを待ってたけどやっぱりダメでした。1ヶ月くらいたってから詳しく分析して、リンクの張り替え等で対処しました。
Q:リンクはどうやって集めてますか。自作自演はありますか(笑)
A:(笑)自作で集めているということはないですね。グループサイトからもらうことはありますが、それ以外はすべて自然に集まったリンクです。
自作でリンクを集めてもいつか淘汰されるだろうから、今のうちから本当のリンクを集めることに注力しています。とはいってもそう簡単なことでないことも承知していますけどね。ロングテールやミドルワードで自然なリンクをもらえるような仕組みを今は考えているところです。
※鈴木コメント:ブラックはもちろんグレーなSEOもまったくやっていないとのことでした。フッターリンクがスパムチックなのはそうとはまったく気づいていなかったようです。(笑)
Q:ソーシャルメディアによるプロモーションにはどのように取り組んでいきますか。
A:そうですね、たとえばTwitterが注目だと分かっているけれど、会社としてどんなポリシーで展開していくかが問題です。サイトでいくか、編集長でいくか、個人でいくか、じゃらん担当でいくか、主体が誰になるのか決めないといけないですし、万一問題が発生した時の責任の所在もはっきりさせることができないといけません。
今東北じゃらんと九州じゃらんが専用のTwitterアカウントを持っていて、短縮キーワードのクリック計測とか、「じゃらん」という言葉ががどのくらいツイートされてるとかはウォッチしてます。間接的な効果をどのくらい数値化できるかがポイントになりますね。
自分たちでは限界があるからAPIを公開して好きな人にいろいろ作ってもらうとか、そういうのをやったほうがいいかもしれないと考えてます。
じゃらんnetさんは大きなサイトですが、僕たちと同じようにコツコツと地道なSEOに取り組んでいるということがインタビューの節々から伝わってきました。
吉村さん、大橋さん、西川さんお忙しい中お付き合いいただいてありがとうございました。
突撃インタビュー企画は今後も続きますので、他の企業さんの応募もお待ちしています。(笑)