「ソフト404検出の変更」や「ネガティブSEO対策のリンク否認」など #SMX Milan でGoogleジョン・ミューラーに質問してきた

[対象: 全員]

昨日の記事に続いて、スイスのGoogleから参加していたJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏にSMX Milan 2014で聞いてきた質問とその回答をシェアします。

ソフト404の検出方法の変更やネガティブSEO対策のリンク否認ツールの使い方など、今日のQ&Aにも有益な情報が詰まっているはずです。

では行ってみましょう!

ジョン・ミューラーと他のスピーカー

ソフト404

Q: ウェブマスターツールでのソフト404の検出方法を変えたと聞いている。
結果として以前よりもソフト404の数が増えるサイトがありそうだ。

ソフト404が多いとサイトの品質が低いとみなされて、たとえばパンダアップデートで評価を下げられることがあるか?

A: コンテンツがないのは404と同じことだからエンジニアが検出の仕方を変更した。

コンテンツがなければ、(200を返していても)そのページを404としてみなす。
だから実質的には404だ。
ソフト404は技術的な問題であってサイトの評価には影響しない。

[鈴木メモ]

これは説明が必要ですね。

最近、Googleはソフト404の基準を変更しました。
ソフト404はもともと、ページが存在しないのに404ではなく200を返すエラーページを意味しています(詳細は公式ヘルプWeb担当者Forumの解説記事を参照)

ところが、コンテンツがないブランクページや検索結果がゼロのサイト内検索ページ、所属する記事がないタグページ、つまり薄っぺらいコンテンツ (Thin Content) もソフト404としてみなすようにしたのです。

DEJAN SEOのDan Petrovic氏がいち早く発見し、ミューラー氏もオフィスアワーで説明しています。

この変更の影響で、ウェブマスターツールでソフト404エラーが突然増加しているサイトがあるかもしれません。

ソフト404が多いことがサイトの評価を下げる要因になるかどうかを尋ねたところ、そういったことはないとのことでした。

ソフト404は200を返すものの扱いは404です。
一般的に、404エラーがクロールやインデックス、ランキングに悪影響を与えることはありません

通常の404が放置しておいても問題ないように、ソフト404も放置しておいても構わないとまでミューラー氏は言っていました。
やがてソフト404ページはクロール頻度が落ち、最終的にはインデックスから消えるかもしれません。

ウェブマスターツールでエラーをレポートするのは技術的な問題が発生していることを伝えるためで、品質に問題があること(≒検索順位が下がること)を警告しているわけではありません。

とはいえ、ソフト404があることは良い状態とはいえません。
修正できるのであれば修正するに越したことはないでしょう。
でも過度に心配しなくても大丈夫ということになります。

リンクの否認

Q: 301リダイレクトを介してスパムリンクを張るネガティブSEOをやられている。
スパムページA =(301)=> 中間ページB => 自社サイト
このときページAとページBのどちらを否認すればいいか?

A: ページAを否認する。基本的には最初のURLを対象にする。
ただしウェブマスターのリンクレポートを確認したほうがいい(外部リンクに出ているならページBも否認したほうが安心)

Q: リンク(ハイパーリンク)ではなくテキストとして、自社サイトへのURLがスパムサイトに貼られている。
リンクではないが、この場合でも否認したほうがいいのか?

A: その必要はない。

[鈴木メモ]

これは札幌の伊藤クンから聞いてきてほしいと頼まれた質問です(ネガティブSEOに困ってるみたい)。
どちらの疑問も伊藤クン自身の経験から判断できるけれど、Googleからの確実な情報を得たかったのでしょうね。
同じような疑問を抱えている人がいたら参考にしてください。

伊藤クン、良い質問をありがとう!

ペナルティ

Q: サイト単位やページ単位で適用される(ペナルティ系の)アルゴリズムがあるけど、キーワード単位で適用するアルゴリズムもある?
つまり同じページであっても特定のクエリに対してだけ評価を落とすということ。

A: たぶんあるだろうね。使えるものは何でも使う。

[鈴木メモ]

興味本位の質問です。
“Maybe.”を何度か繰り返していました。

検索結果タイトルの太字表示

Q: 検索結果のタイトルに含まれる検索キーワードを太字表示しなくなったようだけれど、理由は?

A: UI(ユーザーインターフェイス)の問題だ。常にUIを改善している。

[鈴木メモ]

ボールドにしないほうが見やすいと判断したのでしょうかね?
具体的な理由までは触れてくれませんでした(さほどたいした問題ではないのでそれ以上は聞かなかった)。

構造化データ

Q: 構造化データでマークアップすることのメリットをどうやってウェブマスターたちに伝えたらいい?
リッチスニペット以外には目に見える効果がないから後回しになりがち。
クロールやインデックス、ランキングにも直接影響することはないし…。
どちらかといえば、コンテンツやモバイルの方が重要だよね。

A: たしかに何を優先するかを決める必要がある。構造化データのためにサイトを大改造するのは難しいかもしれない。サイトのリニューアルやCMS変更のタイミングならやりやすいのではないだろうか。

エンジニアにもっとメリットが出るように何か開発してほしいと要望はできるが、すぐにはできない。

[鈴木メモ]

気付いている人は気付いているように、僕は構造化データ信者です。(笑)
ただ実際問題として、リッチスニペットを除けば、手間ひまをかけて実装するメリットを享受できるサイトがそんなに多くないことも理解しています。
有益なコンテンツ作成やモバイル対応のほうが、ずっと優先度が高いことは確かです。

でも検索エンジンとしては構造化データをもっともっと利用してほしいと望んでいます。
schema.orgを立ち上げたR.V. Guha氏の話を聞いてもそう感じるし、ミューラー氏も、構造化データを紹介するセッションをSMX Milanでは持ちました。

もしあなたのサイトがサイトリンク検索ボックス組織のロゴのようにリッチスニペット以外でも利点がありそうなら、それらだけでも設定しておきたいですね。

画像の最適化

Q: Googlebotに画像を理解させるには、alt属性や画像のキャプションのようにテキスト情報が大切だ。
加えて、schema.orgのImageObjectでのマークアップも役に立つだろうか?

A: 必ずしも必要ではない。

[鈴木メモ]

構造化データ信者の方は、画像最適化のためにschema.orgも実装しましょう。w

Author Rank

Q: 著者情報を廃止しても、コンテンツ著者の権威性を評価する仕組みを模索し続けていくと言っていたけれど、その後どうなってる?

A: 進展なし。

[鈴木メモ]

著者情報プログラムが廃止になりました。
しかしコンテンツ著者の権威性や信頼度、いわゆるAuthor Rank(オーサーランク)をランキング要因に組み込めるかどうかの取り組みは継続するとのことでした。

でも少なくとも外部の人間に言えるような進展は、今はなさそうです。

ソーシャルボタンのカウント

Q: TwitterやFacebookなどソーシャルでの共有をランキングシグナルにしていないのは知っているけど、ソーシャルボタンの数字ってGooglebotは見えてるの?
Fetch as Googleのレンダリングでは見えてるみたいだけど(と言って、下の結果を見せる)

Fetch as Googleのレンダリング結果

A: 見えてるみたいだね。でもすべてではないはずだ。

[鈴木メモ]

ソーシャルボタンは一般的にJavaScriptで作られていますが、今のGooglebotはJavaScriptを実行できます。
ソーシャルボタンのカウントも理解できていそうですね。

ですが、カウントはランキング要因にはしていないこともミューラー氏は明言していました(ボタンのカウントだけではなく、共有もランキング要因にしていない)。

大きな理由の1つは、その背後にある意図が不明だからです。
素晴らしいコンテンツだからボタンを押したとは限りません。
記事を書いたのが友だちで「読んだよ」と単に知らせるために押したのかもしれないし、「いいね!しよう」的なキャンペーンをそのサイトが開催していたのかもしれません。

ソーシャルボタンの数は、コンテンツの関連性や品質、人気度を必ずしも正しく反映していません。
したがってランキング要因としては使いづらいのです。

以上です。

たくさんの質問に丁寧に答えてくれた、ジョンに感謝します。
こうして海外のGoogleのひとと直接話せるのが、僕のなかでは、カンファレンスに参加するいちばんの楽しみです。

ちなみに、SMX Milanはイタリアなだけあって、休憩時間の飲み物のコーヒーはエスプレッソです。
しかもエスプレッソマシーンを使って自分で入れます。

ジョン曰く、「どのカンファレンスもこんなふうにエスプレッソマシーンを用意すべきだ」だそうです。

ジョンも気に入っていたみたいですね。

僕はエスプレッソなんて1年に1度飲むか飲まないかですが、ここでは1日に5、6杯飲んでいました。
初体験だったエスプレッソマシーンも上手に使えるようになりました。(笑)