スマートフォンのコンバージョン率を上げる秘策 from Conversion Conference Boston 2013

[対象: 中〜上級]

Conversion Conferencロゴ

僕が所属するセルフデザイン・ホールディングスの海外遠征の一環で、昨年の秋に米ボストンで開催されたConversion Conference Boston 2013に参加しました。

僕が海外カンファレンスに参加したときはセッションレポートをこのブログで公開するのが通常です。
ところがConversion Conference Boston 2013に関しては、帰国後予想以上に忙しかったせいもありレポートをまとめる時間がとれませんでした。

時間がたちましたが、ようやくまとめることができたのでセッションレポートを公開します。

この記事でとりあげるセッションはモバイルサイトのコンバージョン率を上げるための秘策です。
スピーカーは、SeeWhyの創設者、Charles Nicholls(チャールズ・ニコルズ)氏です。

では行ってみましょう。

モバイルにおけるコンバージョンの問題

スマートフォンのセッションの99.5%は購入しない(調査データ)。

買わずに閲覧するだけの理由:

  • 買う準備ができていない
  • 買う気がなく見ているだけ
  • 買おうかどうか調べている段階
  • 高すぎる
  • 店舗で買うために調べている
  • モバイルデバイスだから

スマホユーザーが買わない理由

1つ目と3つ目はタイミングの問題。52%は将来的な購入見込みがあるとも言える。

スマートフォンで購入しない理由:

  • 買う準備ができていない — 46%
  • 店舗で買う/別の端末から買う — 41%
  • ネットの接続速度が遅い — 13%

再訪が多くなるほどコンバージョン率 (CVR) も上がる。

  • 初回訪問のCVR — 0.25%
  • 再訪のCVR — 2.25%
  • 1回カゴ落ちしたユーザーのCVR — 18%
  • 繰り返しカゴ落ちしたユーザーのCVR — 48%

それぞれのユーザーに対してマーケティングを仕掛けると購入につながる。たとえば、AdWordsのリマーケティングやカゴ落ちした人へのメール送信など。

CVに至るまでに、複数のセッション・複数のデバイスを経る。モバイルのコンバージョンの75%はタブレット経由。これは、スマホで調べてタブレットで買うユーザーが多いということを示す。

スマートフォンにとってはチェックアウト
プロセスが問題になる。

  • デスクトップは11%がカートへ。そこから、24%が購入(76%が離脱)。コンバージョン率は2.6%。
  • タブレットは11%がカートへ。そこから、19%が購入(81%が離脱)。コンバージョン率は2.1%。
  • スマホは8%がカートへ。そこから、6%が購入(94%が離脱)。コンバージョン率は0.5%

スマホユーザーは、PCやタブレットユーザーと比べて、カートに入れても買わないこを示唆する。

モバイルをコンバージョンさせる3つの秘訣

1. モバイルでは、既存のユーザーがコンバージョンする

たとえばショッピングカートに来るユーザーもコンバージョンするユーザーもEメールからが圧倒的に多い。

モバイルのコンバージョン率の内訳
調査データ

モバイルユーザーのコンバージョン率が高かったサイトの特徴

  • モバイル用の非常に短い購入プロセス
  • 強力なメールマーケティングキャンペーン
  • モバイルに最適化したメール
  • アカウントにログインしやすい
  • さまざまな支払い方法

Amazonは5つのステップでメールから誘導したユーザーの購入を完了させる。

Eメール誘導からオーダー完了までのAmazonのプロセス

  1. メールで既存ユーザーをサイトへ誘導し最近チェックしたアイテムを見せる => メールのリンクをクリック
  2. 商品詳細ページ => カートに追加
  3. ログインページ => パスワードを入力しログイン
  4. カートの中身を確認 => 次に進む
  5. 購入手続きページ => 購入完了

2. チェックアウト/支払いの最適化

可能なら不要なステップを購入プロセスから削除する。
他の支払い方法を提供する。

3. リマーケティング

Eメールが、もっともCVを生むトラフィックソース:

  • リマーケティングなし: 8%が購入のために再訪問
  • リマーケティングあり: 再訪問が18%増える

リマーケティングがもっとも効果を表すのは、最初の数時間。MITの調査によると、1時間以内に熱(欲しい気持ち)が冷める。

ショッピングカート回復のための一般的なキャンペーン:

  • リマインダーはすぐに
  • 再び思い出させるのは24時間以内
  • プロモーションは1週間以内

リマーケティングには調整が必要:

  • ユーザーが誰だかわかる場合(ユーザー登録している場合)は、Eメール
  • ユーザーが誰だかわからない場合は、AdWordsのリマーケティング広告

重要ポイントまとめ

  • Eメールはモバイルコマースでは決定的にに重要な要素 — すでに閲覧したアイテムを提示することで、検索の手間を省ける。
  • 支払内容の詳細を保存しておく — アマソンでは、購入に必要なのは5クリックとパスワードだけ
  • モバイルでは、以下の項目を備えたリピート購入のビジネスが成功する
    • モバイルに適した体験 — ウェブとメール
    • 入力が必要なデータの削減
    • 短い購入プロセス
    • メールによるリマーケティング

以上です。

スマートフォンからのトラフィックが伸びているのは周知の事実です。
ところが、スマートフォンのコンバージョン率がPCに比べて低いことに悩んでいるサイトも多いはずです。
スマートフォンのコンバージョン率を上げるために、この記事でレポートした内容を参考にして対モバイルのコンバージョン率最適化に取り組んでください。