[対象: 全員]
High RankingsのJill Whalen(ジル・ウェイレン)氏が、パンダ・アップデートやペンギン・アップデートにやられ悲惨な状況に陥ったサイトを診断した体験から今後あるべきSEOの姿について 18 SEO Killers You Must Clean Up and Avoid for 2013 and Beyond という記事を書いています。
僕にとってとても共感できるすばらしい記事でした。
ジルさんの許可を得られたので日本語に訳します。
なお記事中のリンクはすべてHigh Rankings内の別コンテンツ(英語)へのリンクになっています。
2013年とその先、一掃し回避しければならないSEOを台なしにする18個のこと
SEOが終わっていないことは明らかですが、トリック的なSEOや手っ取り早いSEOは、完全には終わっていないとしても間違いなく生命維持装置につながれているような状態です。
ですからトリックや手っ取り早い方法に頼っているなら、そのとおり、あなたにとってSEOは終わっています。
実際に、かつてはあなたの助けになっていたそのことこそが正に今は害になっているのです。
しかし常にベストなSEOを実践してきた私たちにとってさえ変化したことがあります。
今日そして予測できる将来、SEOは、特定のキーワードに最適化することではほとんどなくなってきて技術的な問題とソーシャルシグナル、そして会社とサイトの総合的な信頼性に対することになってきています。
トラフィックが減ったサイトたちの診断を終えてみて、Googleのオーガニック検索の大きな減少の原因になり結果として多くの企業が直面しているコンバージョンと売上の低下につながった18個の具体的な問題を私は発見しました。
以下がそれらの問題です(順不同)
- 重複コンテンツ
- キーワードの乱用
- 誘導ページ
- フッターリンク
- 自動のアンカーテキスト
- スパムコメント
- 低品質ページ
- お粗末な見せ方
- ファーストビューの下にあるコンテンツ
- 技術的な問題
- 質の悪いライティング
- コンテンツがない
- リンクポピュラリティの分散(※1)
- メリーゴーラウンド(※2)
- 不自然なリンク
- 半分隠したテキスト
- リッチスニペットの乱用
- 信頼性
※1 wwwの有無やパラメータなどで同じページが複数のURLで表示されることによって引き起こされるリンクの分散
※2 検索結果から訪れたページには欲しい情報が書かれておらず別ページへのリンクしかない。そのリンクをクリックすると同じサイト内の別ページか別サイトに飛びそこにも欲しかった情報がなくまたリンクがある。そのリンクをクリックするとまた別のページに飛ばされて……、の繰り返しでぐるぐる回されてしまうタイプのサイト。通常はAdsenseなどの広告が貼られている。
上のなかには、オーガニック検索でのトラフィックを増やす目的で(ずっと昔に)意図的にやったものもあるし不注意からやってしまったものもあります。
また両方に重なるものもあります。
たとえば重複コンテンツは技術的な問題で起こることもあり得るし、ウェブサイトのコンテンツを増やすために簡単にできる手段として意図的に使われることもあります。
キーワードの乱用は、いつもというわけではないけれどファーストビューの下に置くコンテンツと併せて使われることが多いです。
問題となることの大部分はいくつかの大まかなカテゴリに分けることができます。
- 技術的な問題
- コンテンツの問題
- ユーザービリティの問題
- リンクの問題
- (検索エンジンへの)明らかなだまし
詳細は後日説明するとして、2013年とそれ以降に健全なSEOを施策するために知っておく必要がある特に大切なことを次に話します。
技術的な問題を最優先で修正する
SEOに影響する技術的な問題は常に存在し優れたSEOコンサルタントは必ず最優先でその問題を修正します。
SEOにとって問題となる技術的な課題は重複コンテンツを作り出すCMSの誤った設定から根本的に検索エンジンには見えないサイトワイドのナビゲーションに至るまで広範囲に渡ります。
特定の技術的な問題が何であれ、今がそれを直すべき時です。
SEOのパフォーマンスに今はまだ害を与えていないとしても次のパンダやペンギンの更新でそうならないとも限りません。
特定のキーワードに対して最適化することを考えないようにする
一見すると直感的にこれは、何年にもわたって私が解き進めてきたことすべてに反しているように見えます。
しかしとても重要なポイントになります。
(私たちがいつもやってきたように)上位表示させたい特定のキーワードを最適化することを目標にしてSEOをやっていると今は結局マイナスになります。
何が起こるかというと、その特定のキーワードに意識を向けすぎるあまり最終的にページのなかや全体としてサイト内に多く入れすぎてしまうのです。
しかしかつてとは違いもはやこれは検索エンジンにとって役に立ちません。
ほとんどの場合、これはその特定のキーワードでのランキングやトラフィックを実際には下げてしまいます。
代わりに、カーロン・タックストンが最近推奨したことを再読するといいでしょう。
マット・カッツが承認したことでもあります。
※僕のブログでの日本語解説はこちら
そしてコンテンツのなかでバラエティに富んだワードをもっとたくさん使うようにします。
次の新しいSEOの合言葉を頭のなかに必ずしまっておかなければなりません ーー “Less is more.”(少なくすることはより多くを得ることである)
本物のコンテンツとソーシャルメディアマーケティングの戦略を持つこと
古くさいリンクビルディングのことは忘れましょう。
Googleは今は実際にそういったことをウェブスパムとして確かにみなしています(ヤッター!)。
ただどこかに投稿して自分のサイトへのリンクを追加できたとしてもGoogleにはたいしてあるいは何も評価されないと思っていいでしょう。
言い換えれば、役に立たない登録型ディレクトリへの登録や、アーティクルディレクトリへの投稿、リンクホイール(※複数のサイトでリンクを回し合って張ること)、フォーラムでの署名、コメントスパムについては忘れたほうがいいです。
これらはもう完全に終わってます。
命運尽きる、です。
時間のムダです。
代わりに本物のライターを雇ってブログ記事やそのほか情報を提供するコンテンツを定期的に書く仕事に就かせなさい。
ただし自分の商品やサービスを購入する人たち(すなわち自分がターゲットとするマーケット)が本当に興味を持つような記事を書かせることを絶対に忘れてはいけません。
ターゲットとなるマーケットが、TwitterであれFacebookであれGoogle+であれ業界のフォーラムであれブログであれ、どこに集まっているかを知りそこで彼らと一緒に時間を過ごしましょう。
彼らと仲良くなって自分のサイトにある役に立つ、いい情報になるコンテンツを必要に応じて必ず教えてあげるのです。
特に、興味を持つかもしれない新しいコンテンツを公開したときは絶対に告知しなければなりません。
彼らのコンテンツを自分のと同じように共有することも忘れてはいけません。
また自分のコンテンツを共有してもらえるようにお願いすることを怖がってはいけません。
何よりも、Googleの信頼を獲得すること
サイトの記事が上手に書かれていなかったりキーワードが詰め込まれていたりしたら、Googleにはあまり信頼性があるようには映らないでしょう。
サイトに向けて張られているリンクが会社名ではなくたった1つの特定のキーワードを使っていたら、Googleにはあまり信頼性があるようには映らないでしょう。
サイトにやってきたユーザーが見つけたいものを簡単に見つけられなかったりサイト内をぐるぐるたらい回しにされたりしたら、Googleにはあまり信頼性があるようには映らないでしょう。
1サイトで十分なのに同じ製品をいくつものサイトで売っていたら、Googleにはあまり信頼性があるようには映らないでしょう。
Googleの信頼を本当に得たいのであれば、あなた(とあなたのサイト)が信頼に値するようにならなければいけないのです。
そうではないのにそう思わせるように検索エンジンをだまそうとすることをやめましょう。
そしてこういった別のことを始めましょう。
ビジネスとウェブサイトを運営するというのは決してたやすいことではないのです。
上で挙げたことのほとんどを長い間Googleはほったらかしにしてきたけれど、口で言うだけでなく今は確かに行動で証明しています。
ですから最新のショートカットテクニックのことは忘れてやるべき仕事に取り掛かりましょう!
ジル
Jill Whalen(ジル・ウェイレン)
SEOコンサルタントで High Rankings のCEO。High Rankings は1995年にボストンエリアに設立されたSEO会社。Twitterのフォローはこちらから。 @JillWhalen
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すずきから一言(二言、三言)
今回の記事は具体的な施策ではなく、その前に大切になるマインド的な話が中心でした。
ジルさんは、カンファレンスでは何度もセッションを聞いたことがありますが直接話したことはありません。
小柄で落ち着いた雰囲気の女性だけれど見た目とは違って鋭いことを率直にバシバシ言う人です。
その昔フォーラムで質問したときに「そんなくだらないことを聞くな」にみたいにたしなめられたこともあります。(笑)
でも今思うと確かにくだらない質問でした(「関連性のあるページからの被リンクが評価されると言うけれど、Googleは何をもって関連性を判断しているのか?」と尋ねたら「そんなことは重要じゃなくて自発的に張られるリンクは何であろうが価値がある」とかそんな回答だったと記憶してます)。
ジルさんは首尾一貫したバリバリのホワイトハット論者としても際立っています。
トリックや手っ取り早い方法に頼っているなら、そのとおり、あなたにとってSEOは終わっています。
SEOは、特定のキーワードに最適化することではほとんどなくなってきて技術的な問題とソーシャルシグナル、そして会社とサイトの総合的な信頼性に対することになってきています。
(人工の被リンク構築にお金をかける)代わりに本物のライターを雇ってブログ記事やそのほか情報を提供するコンテンツを定期的に書く仕事に就かせなさい。
僕にとって特にインパクトのあった部分です。
ホント、そうだと思います。
検索エンジンのアルゴリズムの隙を突いて上位表示することがSEOではありません。
でも残念ながらそう思ってSEOを施策している人がたくさんいるし、世間にそう誤解されていることも事実です。
ビッグキーワードで上位表示させたい気持ちは否定しないし、上位表示できるならそれに越したことはありません。
正直に言えば、ビッグキーワードでの上位表示にはそれだけの価値があるのは間違いことも認めます。
でもSEOってそれだけじゃないですよね。
「5キーワードで1,000本のリンクを買いました」もリスクを承知しているならいいれど、それより先に、そのお金を使って90年代風のその古めかしいサイトをもっとコンバージョンに繋がるようにリニューアルしましょうよ。
ページ数が多い方が検索エンジンの評価が上がるといまだに信じているのもいいけれど、パラメータがごちゃごちゃになってて数多くの重複コンテンツが発生してるし、それ以前に自動で大量生産したページがインデックスされてないことに気付いてますか。
アンカーテキストの分散を気にするのは後回しにして、サイトを立ち上げたらまずwwwありなしの正規化くらやっておこうよ。
コンバージョン測定くらい設定しおいてよ。上位表示が目的じゃなくて売上を出すことが目的でしょ。順位だけを毎日チェックしててもコンバージョンしたかどうかが分からなければ意味ないじゃん。
ツイッターで自社商品の宣伝ばかりしたりソーシャルブックマークに自分で投稿したりすることをソーシャルメディアマーケティングとは言わないから。
レスポンシブ・ウェブデザインに飛びつくのは構わないし僕も推奨派だけれどドキュメントくらいちゃんと読もうよ。やりゃいいってもんじゃないから。
サイドバーに100個くらい並んでいるそのメニュー、ご丁寧にキーワードをアンカーテキストにしてますが何の区切りもなく見づらくてしょうがありません。ユーザーを案内するために設置してるわけじゃないってことですね。
高額のSEOセミナーに参加する前にウェブマスター向けガイドラインとSEOスターターガイドくらい読んではいかがですか。そっちのほうがよっぽど役に立つから。しかもタダだし。
こんなのは枚挙にいとまがありません。
まっとうなSEOを指導しているコンサルタントならきっと同じ気持ちになった経験が何度もあるはずです。
偉そうなことを言っているように受け取られるかもしれませんが事実そうなんだから仕方がありません。
これ以上書くと反感を買いそうなので(もう買っちゃった?)このくらいにしてジルさんの記事を通じて僕があなたに伝えたかったことをまとめます。
- 上位表示にふさわしい最高のコンテンツを作ろう −− 時間と手間、ときにはお金もかかります
- そのコンテンツを検索エンジンに確実かつ適切にクロール、インデックスしてもえるようにサイトを構成しよう −− 技術的な部分です
- ユーザーが使いやすい、分かりやすいデザインとUIを提供しよう −− IA(情報アーキテクチャ)のことです
- ソーシャルメディアも駆使してサイトをPRしよう −− 願わくは自発的な被リンクが集まるといいですね
2013年はこんなSEO、というよりこんなサイト運営をあなたには目指してほしいと願います。
そうすればGoogleの信頼度も必ず高まります。
2012年の残りの1月半はそのための準備に当てましょう。
もちろん僕も協力します! :)