先週、重要なコンテンツをページの上部に置くのはそれほど意味のないSEOになってきているという記事を書きました。
ブログ読者さんからコメントをいただいたこともあり、もう少し掘り下げて分析してみようと思います。
まず、順番が関係ないとするWebmaterWorldのアドミニストレータ、tedster氏の発言を示します。
– It is true that clever approaches such as “ye olde table trick” or “source-ordered content” no longer offer all the ranking advantage that they used to. Google has definitely matured.
“古めかしいtableレイアウトのトリック、いわゆるソースの順番を意識する巧妙な手法は、かつてのようにすべてのランキングのアドバンテージには、もはや役立っていないことは事実だ。”
最初に出てくるから重要視されるというのは、昔の話だという意味です。
ここで注意してほしいのは、tedsterが言っているからといって絶対に正しいとは限らないということです。
コメントしてくれた読者さんは、ソースの順番を入れ替えた直後に順位が上がったそうです。
ソースの入れ替えが功を奏したと断言することはできませんが、かといってまったく無関係だと否定することもできません。
メインコンテンツをソースの上に移動するというのは、スパム行為ではまったくありませんから、自分の信じるやり方を実行するのがいちばんです。
しかし、今後は重要視するコンテンツを手間ひまをかけてまで、上部に配置する必要はなくなると、僕は予想します。
主要サーチエンジンであるGoogle、Yahoo!、Microsoftはそれぞれ、ウェブページのコンテンツをセグメント、ブロック単位で評価するパテント(特許)を、申請しています。
- Google – Document Segmentation based on Visual Gaps
- Yahoo – Techniques for approximating the visual layout of a web page and determining the portion of the page containing the significant content
- Microsoft – Vision-based document segmentation
最近では、Yahoo!が別に申請した”Automatic Visual Segmentation of Webpages“というパテントも公開されています。
ウェブページのコンテンツをセグメント化することには、多くのメリットがあります。
- ニュースサイトのように、複数のトピックをテーマにしたコンテンツが同一ページに並ぶ場合。セグメント化すれば、個々のトピックを区別して認識、評価できる。
- SERPのスニペット生成。検索結果に表示されるウェブページの簡潔な説明文は、meta descriptionの記述が使われることが多いが、検索キーワードに合致していないこともある。セグメント化していれば、ページ内のコンテンツからよりふさわしい部分を抽出できる。
- セグメント化することで、主要なページへのリンクが含まれているメインメニューが判断できる。SERPに表示するサイト内ページへのショートカットリンク(Yahoo!ならクイックリンク、Googleならサイトリンク)の生成に役立てられる。
- 異なる複数のQ&Aが掲載されるFAQページの理解に都合がよい。
- 製品やレストランのレビューのように複数のパートからなるページは、セグメント化することで別の場所でも使うことができる。Googleのローカルリスティングに出てくる、口コミサイトから引用されたレビューが例。
- セグメントに応じて、リンクの重み付けを変えられる。たとえば、、サイドバーにある広告リンクよりも、メインコンテンツのリンクの評価を高くできる。
サーチエンジンは、さまざまな要素をヒントに用いて、ウェブページをメインコンテンツ、ヘッダー、フッター、ナビゲーション、広告などのブロックに分割しようとしています。
HTMLタグ、空白スペース、水平線、フォントの色やサイズや種類、背景色そしてDOMなどが、用いられる要素の例です。
重要なコンテンツを上部に持ってくることは無意味だとか、そうするべきではないと主張しているわけではありません。
パテントとして公開されたからといって、アルゴリズムにすべてが実装されているわけでもありません。
しかし、少なくともサーチエンジンがウェブページをセグメント化し、ページ単位ではなく、細かなブロック単位でコンテンツを評価しようと試みていることは事実です。
すでに大切なコンテンツを上部に配置するように構成しているなら、そのまま使い続けてまったく問題はありません。
ただ、多大な時間と労力をかけて変更するようなら、他にするべきもっと重要なことがないか、今一度よく考えてみてもよいのではないかと思います。
メインコンテンツを上部に移動させるためにHTMLをいじる時間があったら、ユーザーに役立つようなコンテンツが何かを調べて、1ページでも多くコンテンツを増やしたほうが効果があるのではないでしょうか。
「重要なキーワードはページの初めに書いたほうが評価ポイントが高い」とは、よく言われることですが、将来に向かって考えてみると、効果がなくなる、少なくとも薄れると考えるのが自然だと僕は思います。
「最初にある」=「重要」、いつもいつもそうとは限りません。
それに、場所がどこであろうとも、本当に重要なコンテンツをサーチエンジンがうまい具合に見つけ出してくれたほうが、僕たちウェブマスターにとっても都合がいいはずです。
あなたはどう考えますか?