パンダ・アップデートのいちばんの目的は「質の低い」(Low quality)コンテンツが検索結果に出てこないようにすることです。
では、「質の低い」コンテンツとはどんなコンテンツなのでしょうか?
パンダアルゴリズムは、何を基準にして質が高い・低いを判断しているのでしょうか?
GoogleのAmit Singhal(アミット・シンガル)氏とMatt Cutts(マット・カッツ)氏がパンダ・アップデートについてインタビューに答えたとき、彼らが「質の低い」を意味する際にしばしば使う“Thin”ではなく、“Shallow”という言葉を使っていました。
“Thin”は、日本語に直すと「薄っぺらい」という意味で、“Shallow”は「浅い」という意味になります。
英語にしても日本語にしても似たような意味に感じてしまいますが、パンダ・アップデートにおいては意図して“Thin”ではなく、“Shallow”を使っているのかもしれません。
“Shallow Content”、「深く掘り下げられていない底の浅いコンテンツ」とはいったい何なのか、WebmasterWorldでディスカッションが起こっています。
結論を先に言えば、一言で定義できるものではなさそうです。
“Thin”は、ユニーク性やコンテンツの長さとも関係がないようです。
オリジナルだから、文字数が多いから、“Thin”とみなされる心配はないとはなりません。
パンダ・アップデートのアルゴリズムの開発時に社外の評価者に次のような質問をGoogleは尋ねました。
- このサイトでクレジットカードを使ったとしても抵抗がないか?
- このサイトで処方された薬を子供に与えたとしても抵抗がないか?
- このサイトに権威を感じるか?
- これが雑誌に載っていたとしても大丈夫か?
- 広告が多すぎやしないか?
こういった問いに対して「はい」と答えが返ってくるコンテンツが質の高いコンテンツで、「いいえ」という答えが返ってくるコンテンツが質の低い(今テーマにしている“Shallow”な)コンテンツになると考えていいでしょう。
パンダ・アップデートは、こういった質の高低を判断する材料を最初にセットされ、その後「機械学習」(Machine Learning)によってどんどん学習を積んでいくアルゴリズムになっているのだろうと、WebmasterWorldのフォーラム管理者は述べています。
人間が直感的に判断するようなことを、アルゴリズムで実装できていそうです。
さまざまな要因を見て賢くなっていくとしたら、「これをやっておけば確実に“Thin”とみなされずに質の高いコンテンツとみなされるだろう」みたいな単純な施策では対応できなさそうです。
昨日のエントリで、「パンダ・アップデートでは質の低いコンテンツページにリンクするとリンクしたページの評価が下がる」という記事を書きました。
こういうコンテンツは“ウケ”がいいし、僕自身も書くのが好きな内容なのですが、本質は違いますよね。
「パンダ・アップデートに引っかからないようにするには、質の低いページにリンクしてはいけない」ではないのです。
もしあなたがユーザーにとって有益な質の高いコンテンツを提供していたとしたら、低品質なページにリンクを張りますか?
張らないですよね。
ユーザーに対して役立つ情報を提供しようと思ったら、Above the foldに広告を詰め込でメインコンテンツをページの下方に追いやりますか?
追いやらないですよね。
パンダ・アップデートがどうこうは関係ないのです。
「パンダ・アップデート対策、パンダ・アップデート対策…、質の低いコンテンツが何なのかを分析しなければ」で頭がいっぱいになってしまうと、小手先のテクニックに走ってしまうことになるでしょう。
WebmasterWorldの別のスレッドで(なぜか404でページが消えてしまっている)、パンダ・アップデートでランキングが下がったサイトのバックリンクを見ると、トラフィックを生まないリンクだったりソーシャルメディアで共有されないようなリンクが多かったそうです。
きっと自作自演のリンクとか、PageRankだけが目的の相互リンクとか、SEO目的の登録型検索エンジンへの登録とか、人間のユーザーに向けたリンクではなくて検索エンジンに向けたリンクだったってことですよね。
パンダ・アップデートには、こんなふうにリンクが本物かどうかを見極めるアルゴリズムも含まれているのかもしれません。
“Shallow”なコンテンツには人間がクリックするようなリンクが他のサイトから張られることはないだろうし、TwitterでたくさんのユーザーにRTされることもないはずです。
人間のユーザーを訪問させるリンクが張られていれば、質の低いコンテンツではないと言える判断材料になりませんかね?