[対象: 中〜上級]
301リダイレクトを使うと転送元ページが持つPageRankは転送先ページに完全に受け継がれるのではなくいくらかが失われると、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏が2年近く前にインタビューのなかで発言したことがあります。
それでは301リダイレクトによっていったいどのくらいのPageRankが失われるのでしょうか?
たびたび挙がる疑問にMatt Cutts氏が(ようやく)回答しました。
重要なポイントとしてMatt Cutts氏は次のように答えています。
301リダイレクトによって消えるPageRankはリンクを通じて消えるPageRankと現在はほぼ同じだ。
ビデオの前半で説明している背景について補足します。
PageRankはリンクを経由してページからページヘ渡されることは僕たちのよく知るところです。
しかし、あるページが持つPageRankはそのすべてがリンク先ページへ渡されるわけではありません。
PageRankのオリジナルの論文には85%ないしは90%に減じてリンク先ページに渡されると書かれてます。
つまりリンクによるPageRankの受け渡しもそのいくらかが失われることになります。
301リダイレクトの場合もこれと同じことが起きているのです。
リダイレクト元ページが持つPageRankはいくらか減った状態でリダイレクト先に受け継がれます。
なので、Matt Cutts氏は「リンクを通じて消えるPageRankと同じ」と説明しているのです。
リンクであっても301リダイレクトであっても、リンク先・リダイレクト先に渡されるPageRankの価値はいくらかは消滅してしまい、その割り合いはどちらも同じだということになります。
その時々によって実装は変化しますが、ここしばらくの間は“ほぼ”同一になっているとMatt Cutts氏は言っています。
これでようやくSEO的な好奇心に基づく疑問の1つがクリアになりましたね。
何%と名言はしていませんが、減ることは減ります。
でもそれはリンクの場合と変わりません。
論文のままだったとするとPageRankは85〜90%に減ります。
さて、「SEO的な好奇心に基づく」を強調したことには意味があって、サイトを運営していくうえでは実はどうでもいい話なのです。
PageRankを喪失してしまうから301リダイレクトを使うべきでないのかといったらそんなことはありませんよね。
ドメイン名を変えてサイトを移転する、URLを変更する、wwwの有無を正規化する、こんなときは301リダイレクトを使うのが原則です。
検索エンジンにとってはもちろんのことユーザーにとっても最も適切な実装になります。
「どのくらいかわからないけどPageRankがなくなるのが嫌だからサイト移転するけど301はやめておく」なんてことはあり得ないわけです。
もちろん、状況によってはrel=”canonical”が適しているケースもあれば、「URLが変わりました」として移動先のURLだけを単に記載しておいたほうがいい(おかざるを得ない?)ケースもあるかもしれません。
そんな場合は301リダイレクトを使わない別の選択肢をとることもあるでしょう。
しかしそうは言っても、PageRankを失うから301リダイレクトを使わないほうがいいという思考はナンセンスだということです。
PageRankの喪失など恐れずに301リダイレクトを使うべきところはきちんと301リダイレクトを使いましょう。
【UPDATE】
リンクの話をMatt Cutts氏が持ち出しているのはあくまでも減る%がどのくらいかを伝えるためだけです(オリジナルの論文のままなら85%)。
リンクと301リダイレクトが渡すPageRankの量を比較してはいません。
301リダイレクトで減るPageRankの割り合いはリンクで減るPageRankの割り合いと(今は)同じというだけであって、それ以上でもそれ以下でもありません。
P.S.
301リダイレクトでPageRankが失われるという“恐怖”を生み出したのは、そもそもMatt Cutts氏本人ですよね。
誤解して受け取られていたわけですが、それを2年近くも放置しておいたのはどうかと僕は思います。
SEOをやっている身からすれば決して無視できない衝撃的な発言でしたよね。