[対象: 中〜上級]
Googleの品質ガイドラインに違反した有料リンク販売による手動対応が発動&解除を繰り返していたけれど最終的に解除に至ったケーススタディがこの記事のトピックです。
本題に入る前にまず背景を説明します。
頑なにリンク販売を続けていたSearch Engine Roundtableブログ
舞台となるのは、世界で最も有名なSEOブログの1つ、Search Engine Roundtable(以下、SER)です。
僕のブログでも何度も参照先としてSERの記事を紹介したことがあります。
運営者のBarry Schwartz(バリー・シュワルツ)氏とは交流もあります。
さて、そのバリーは、スポンサーサイトのリンクをSERブログに掲載しています。
ところがいくつかの(確固たる)理由があって、それらのリンクはPageRankを転送するリンク、言い換えればガイドライン違反の有料リンクになっていました。
nofollow属性を付けてるわけでもrobots.txtで中間ページをブロックしているわけでもありません。
この有料リンクが原因でSERはGoogleツールバーのPageRank(以下、TBPR)を下げられる手動対応を長い間Googleに与えられていたのです。
もちろん手動対応のことをバリーは認識していてそれでもリンク販売をやめませんでした。
しかしこれまた理由があって、4月の初めについにリンクにnofollowを付けることを決意しました。
その後の流れになります。
再審査リクエストの送信と返信
再審査リクエストの送信
4月4日に再審査リクエストを送りました。
TBPRを下げられた手動対応を解除してもらうためです。
手動対応は行なっていないとの返信
4月9日に返信が届きました。
内容は「手動での対応は行っておりません」というメッセージでした。
手動対応していたことは疑いようのない事実なのに行なっていないとはどういうことでしょう?
そこでバリーは、米Googleのウェブスパムチームのリーダー、Matt Cutts(マット・カッツ)氏にメールで問い合わせました。
次の事実が明らかになりました。
マット・カッツ曰く、「期限切れしていた」
Matt Cutts氏によると、再審査リクエストを送る21日前かそこらあたりに期限が切れていたのだそうです。
すべての手動対応には期間が設定されその期間を過ぎると自動的に解除されることはこの前このブログでも取り上げました。
事実、SERのTBPRはその時期にTBPRが急に上がっていました。
またバリーの話では、TBPRはたいていの場合「30日以内に元に戻ってその後再び下がって」を何回か繰り返していたとのことです。
手動対応の自然解除、違反が解消されていないため再度の手動対応、が繰り返されたのでしょう。
いずれにしても、手動対応が独りでに外れたタイミングだったので再審査リクエストに対しては「手動の対応は行なっていない」との返事が届いたのです。
マット・カッツのさらなる説明
Matt Cutts氏はさらに詳しい背景をバリーに説明しました。
seroundtable.comに対する手動のウェブスパム対応の期限切れが間もなくやってくることにウェブスパムチームは気付いていた。そしてseroundtable.comとseroundtable.comからリンクを買っているサイトへの次の措置を用意していた。
予定していたスパム対応は以前に私たちが適用したものよりも相当に厳しいものになっていた。しかしあなたはnofollowを有料リンクに追加したのでこの件に関しては我々はもはやチェックする必要がなくなった。
もしPageRankを渡す有料リンクを再びseroundtable.comで発見したら度重なる品質ガイドライン違反のため、過去に与えたものよりももっと厳しい対応を取ることになるだろうと思う。
現在の手動対応が期限切れして解除された後の次の手動対応をGoogleは準備していました。
品質ガイドライン違反が依然として解消されていないからです。
しかしnofollowをリンクに付けたので違反は解消されたと判断しました。
次のアクションは実行されず手動対応は完全に解除となりました。
もし違反が続いていたなら、リンクを売っていたSERはもとよりリンクを買っていたサイトにもさらに厳しい措置を与えることになっていた可能性があります。
まとめ
この出来事で僕が再認識したことは以下です。
- ツールバーのPageRankを下げる手動対応にも期間が設定される
- 品質ガイドラインの違反が解消されていなければ手動対応は繰り返される
- 違反を繰り返すと手動対応はより厳しいものになるかもしれない
手動対応を受けたいたはずなのに再審査リクエストを送ったら「手動対応は行なっていない」という返信が届くことがあります。
これはGoogleのミスではなく単に期限切れしていた既定の処理だと考えられます。
TBPRへの制裁も例外ではなくすべての手動対応にはやはり期間が設定されるようです。
とはいえ、期限切れを迎えていったんは取り下げられたとしても違反が解消されない状態が続く、また何度も違反を繰り返すと手動対応の度合いはより厳しくなるかもしれません(もっとも、Matt Cutts氏によるある種の“脅し”も入っていると僕は疑いますが)。
今日のトピックは健全にサイト運営しているウェブマスターには直接関係のない話ですね。
どちらかというとSEO関係の仕事に就いている人向けと言えます。
それでも参考にしてもらえればと思います。