[対象: 中〜上級]
ECサイトをテーマにした昨日の記事に続いてPubCon Las Vegas 2012のセッションレポートを書きます。
今日のテーマは「バックリンクの多様性」です。
多様性に富んだ被リンクを集めることがペンギン・アップデートをはじめとするアルゴリズム変更に強い、先を見越したリンクビルディング施策になるという話になります。
では行ってみましょう。
リンクの多様性をチェックする
- 70%が相互リンクだったら一方向のリンクが必要
- 10,000の被リンクが10個のIPだったらもっと多くのユニークIPからのリンクが必要
- 90%のリンクがトップページに対してだったら下層ページにもっとリンクが必要
- 80%が同じアンカーテキストだったらもっといろいろなアンカーテキストが必要
- 500個のユニークIPから1,000本のリンクを得ていたら、1,000ページからのサイトワイドリンク(ROSリンク)が必要
6種類のリンクの健康度チェック
1. リンク元ルートドメイン
リンク元ルートドメインのインデックス削除率を監視する。削除率が高くなっていたら危険信号でランキングにマイナス影響が出てくる可能性がある。
2, アンカーテキスト
アンカーテキストのタイプ:
- (SEO対象の)キーワードに完全に一致したもの
- キーワードに部分的に一致したもの
- ブランド名(サイト名やURL)
- キーワード+ブランド名
- 画像リンク
- その他、「こちらから」・「このサイト」など上記に含まれないもの
アンカーテキストの比率:
- 55~60%はブランド名またはブランド名+キーワードであるべき
- 25~30%は「その他」
- 10~20%は完全一致キーワード
ペナルティを受けたサイトはキーワードを使ったアンカーテキストテキストの比率が高かったという事例がある。
アンカーテキストに多様性を持たせるためクリエイティブになる。
HP製プリンタのインクカートリッジの例:
- HP Inject Cartridge
- Inject cartridges for HP printers
- Ink for HP Printers
- Ink cartridges for HP
- HP Printer cartridges
- Hpcartridges.com
- Buy inject cartridges for HP
3. サイトワイドリンク
外部サイトからのサイトワイドリンクはGoogleウェブマスターツールの「サイトへのリンク」で調べられる。同じサイトから多数のリンクが張られていたらサイトワイドリンクの可能性が高い。
MajesticSEOでも調べられる。
ブログロール(サイドバーのお気に入りリンク)やフッターリンクがサイトワイドリンクの典型例。
有料リンクの場合も多く、特に完全一致のアンカーテキストが使われているとGoogleのアルゴリズムにネガティブに作用することがある。
4. リンクオーソリティ(PageRank)の分布
高いPageRankの配分(全体的なリンクポピュラリティ)があればバックリンクの状態は健全といえる。Open Site ExplorerのPage Authorityで調べられる。
※鈴木補足: Page AuthorityやDomain AuthorityのようなOSEオリジナルの指標は英語サイトのデータをもとにして算出されているので日本語サイトにも必ずしも当てはまるとは限りません。
5. リンク元の多様性
アンカーテキストにしてもリンク元にしても自然にバラけていることが重要。
自然なリンクはたとえば次のようなリンクから構成される。
- 無料・有料の登録型ディレクトリ
- ゲストブログの投稿
- ブログのコメント
- レビュー
- コンテンツマーケティング
- ニュースルーム
- プレスリリース
- 同じニッチなジャンルのサイトとの提携
- その他の種類のリンク
リンクの多様性を調査するために次のツールを利用できる。
6. リンクの増加速度
多くのリンクを短期間に獲得することはあまりよくない。ネガティブSEOの存在により今は問題になりうる。
リンクの増加速度をチェックできるツール
以上です。
さまざまなタイプのリンクをさまざまなサイトから幅広く集めることが重要というのは今に始まったことではありませんね。
そもそも自発的に張られたリンクが中心であれば自然と多様になるはずです。
自作リンクや有料リンクに頼ると絶対に偏り傾向が出てきて早かれ遅かれいずれはGoogleに発見されてしまいます。
自然に見せかけた多様性を装うことはGoogleの検出力が向上した今、非常に困難です。
正直言って既知のことばかりだったのでこのセッションに参加して僕自身はさほどインパクトは受けませんでした。
でもレポートとして公開したのには理由があります。
それは、多様性を持たせたリンクを偽装しようということではなく、多様性を持ったリンクが自然と集まるような魅力的なコンテンツ作りや活発なプロモーション活動に取り組んでほしいという願いからです。
どんなサイトからどんなアンカーテキストでどんなタイミングでいくつ張られようと、長期視点で考えれば自発的に張られた自然リンクに勝るものはありません。