お久しぶりです、アドワーズ・ラボの鷲見です。
The Adventures of PPC Heroブログで、“36 Myths of PPC”(PPC広告における 36 の都市伝説)という面白い記事が公開されているので、紹介します。
1.掲載順位が1位だと利益が最大になる
順位が上がればクリックは増える可能性は高いですが、同時に広告費を無駄に使ってしまう可能性も高くなります。
ブランディングという目的で1位を狙いに行く場合もありますが、特に競合が多い場合、利益で考えた時に必ずしも1位が良いというワケではありません。
【参考リンク】
利益を最大化するための入札価格の決定方式
2.夜中・早朝は誰も検索やショッピングはしないので、その時間帯は広告表示をオフにしておく
『夜中・早朝は誰も検索やショッピングしない』というのは、あなた自身の常識であり、実際にはそうではない可能性もあります。
逆に、夜中・早朝にコンバージョン率が高くなるサービスもあり得るので、Analytics で分析した上で決断するのが賢明です。
3.トラフィックを増やすために、できる限り多くのキーワードを設定する
ビジターの数だけを考えるとそれでも良いのかもしれませんが、実際に売り上げにつながるためには、キーワードの数よりも、ターゲティングをしたうえでのキーワード選択が必要です。
あまりにも関連性の薄いキーワードをAdWords で選択することは、品質スコアにマイナスに影響することもあります。
4.パフォーマンスの良かった広告を1つだけ設定する
広告文を一つだけしか設定しないのは、成長を考慮すると機会損失になる可能性が高いと言えます。
5.はじめの設定をしっかりしておけば、あとは放置しておけば良い
キーワードを追加する、広告文をテストする、入札単価を変更する、などなど、モニタリング・分析・テストを行う事で、成長させるのがリスティング広告であり、はじめの設定で全てが上手くいくケースなどないに等しくなります。
6.ディスプレイネットワーク(旧コンテンツネットワーク)や Yahoo のインタレストマッチは常に使うべき
ディスプレイネットワークは、大量のユーザーにリーチを広げるために有効な手段ですが、やり方を分かった上でやらなければ痛い目をみることがあります。
7.ディスプレイネットワーク(旧コンテンツネットワーク)や Yahoo のインタレストマッチは使うべきではない
有効に使いこなせれば、強力な武器になります。
8.スモールキーワード(複合キーワード・ロングテール)だけを狙え
ターゲットを絞るという意味ではスモールキーワードは有効ですが、時としてそれだけでは十分なトラフィックを確保することはできません。
9.クリック率だけが、品質スコア(品質インデックス)の要因である
AdWords の品質スコアに関して言えば、クリック率が大きなウェイトを占めているものの、その他にもいろんな要素から品質スコアは決定されます。
10.コンバージョン率が品質スコア(品質インデックス)に影響する
コンバージョンページは、広告主で決めることが出来るので、品質スコア(品質インデックス)を決定する要因にはなり得ません。
11.アカウントを新しくすると品質スコアがリセットされる
アカウントを新しくすると、一時的にリセットはされます。
しかし同じアカウントの構成(キーワード・広告文・ランディングページ)で運用していれば、結果的には同じ品質スコアに落ち着きます。
アカウントを新しくするよりも、その他の要因を改善した方が、品質スコアの向上につながります。
12.1グループには1キーワードが最適
究極の話をすればそれが理想なのかもしれませんが、現実は複数のキーワードに同じ広告文を利用することになります。
広告文が同じであれば、グループ分けをする必要はないでしょう。
時間と効率を考えた時に、『1グループには1キーワード』が最適とは言えません。
13.広告文に電話番号を入れるべきではない
僕たちも何度かテストはしましたが、結局のところ、マーケットや商品によって効果があったりなかったりします。
『絶対に~するべき(するべきではない)』というニュアンスの記事を読んだ時は、信じる前に自分でテストして検証してみるべきでしょう。
14.競合の広告文をコピーする
アイディアを真似てオリジナリティを加えるのはアリだけど、全く同じものをコピーしてパクルのはやめた方がいいですね。
競合との兼ね合いだけでなく、ユーザーのことを考えてもやるべきではないでしょう。
15.クリック数に関係なく、広告文は毎週テストするべき
十分なデータが溜まっていないのにも関わらず、期間でテストをストップしてしまうのは間違いです。
16.広告代理店はリスティング広告からトラフィックを集めてくれる
こう考えている人は、大きな勘違いをしています。
広告代理店は、アカウントの運用だけではなく、ランディングページの改善、もっといえば集客してからその集客が売り上げになるまでをケアするべきです。
17.リスティング広告には不正クリックが多すぎる
実際には、Google・Yahoo 両者とも、不正クリックには最大の注意を払っており、不正が発覚すれば返金などの対応までしてくれます。
18.リスティング広告のアカウントレポートと、ウェブ解析レポートでは、ビジター数が異なるので、アカウント内にあるレポートは当てにならない
解析ツールによって、データの収集方法が違うので、このような現象が起こります。
データが間違っている(信用できない)というワケではありません。
19.リスティングといえば AdWords が良い
※ 日本の場合は、リスティングといえば Yahoo が良いになるのかな?
好き嫌いはあるにせよ、それぞれに特徴はあるし配信先が違うので、異なるターゲットにリーチ出来ることを考えたらどちらも試してみるべきです。
20.Google は若いユーザーが多く、Yahoo は年齢層の高いユーザーが多い
※ 日本の場合は、Google は PC リテラシーの高いユーザーが多いと言われていて、Yahoo はその逆になるのかな?
いろんな報告はあるけれど、オーバーラップしているところは多いと言えます。
広告主の立場から考えると、つべこべ言わず、そんなことを考える前に、まずやってみて成果を試した方がいいでしょう。
21.検索エンジン側は全てを把握している
不規則的な変化や ROI の管理は、広告主の責任です。」
検索エンジン側のシステムを改善してもらえるのを待つのではなく、そういった細かな変化に対応するために、自らの責任で常に目を見張らせておく必要があります。
22.地域ターゲティングができるのは Google AdWords だけである
Yahoo にも同等の機能を利用できます。
23.キーワードツールと言えば、Google のキーワードツール
Google のキーワードツールが最もメジャーではですが、用途に応じて他のツールも使用するのが良いです。
【参考リンク】
SEO/SEMのためのキーワードツール一覧×10
24.部分一致は利用するべきではない
これもまた、自身でテストしながら検証するしかないので、一概にどちらが良いとは言い難いです。
25.除外キーワードは必要ない(特に、AdWords のディスプレイネットワークでは…)
検索クエリレポートを見ましょう(ディスプレイネットワークの場合は、実際に表示されている URL レポート)。
自分では想像もしなかったキーワードに広告が出ていたりするかもしれません。
26.リスティング広告は自分で管理する方が良い(広告代理店は必要ない)
時間と手間を考えた場合、広告代理店に任せた方が効果的なこともあります。
ただ、全てを丸投げにするのではなく、上手に広告代理店と付き合って、一緒になって改善していく努力は必要かもしれません。
27.SEO で上位表示されているのであれば、リスティング広告は必要ない
SEO で上位表示されているからといって、全てのユーザーにクリックしてもらえるワケではありません。検索結果のページに、自分のリンクが1つしかないのと、2つあるのとではクリックの数も大きく異なります。
28.競合が全くないキーワードに関しては、改善の必要はない
競合が全くないからといって、必ず広告が表示されるわけでも、最低クリック単価が保証されるわけでもありません。
競合がいなくても、品質スコア(品質インデックス)が改善できるなら、それに越したことはありません。
29.入札価格を高くすれば、品質スコア(品質インデックス)が改善される
広告ランクが上がり、表示順位はアップすることはありますが、品質スコアがアップすることはありません。
30.Google で上手くいったものは、Yahoo でも同じように上手くいく(若しくは、その逆)
品質スコア(品質インデックス)のアルゴリズムは、Google と Yahoo では大きく違います。
31.キャンペーン設定時のデフォルト設定で全てがうまくいく
例えば、検索をターゲットにするのかコンテンツ広告をターゲットにするのか、地域的なターゲティング、広告の表示頻度など、自分の目的に合わせて、キャンペーンの設定を変更する必要があります。
32.コンバージョンが無いキーワードは削除するべき
キーワードには、はじめに検索してみた広告がその後キーワードを変えて検索したときにも表示され、それをクリックしてコンバートする、アシストという概念があります(Yahoo でいえばアシスト数がアカウントのデータで表示されるし、Google でいえば Search Funnel で確認できます。)。
※ この記事には、アシストがあるキーワードは大事だと書いてありますが、僕自身はあまり賛同出来ない部分が少しあります。
33.表示回数がゼロのキーワードは削除するべきである
こう主張する人のなかには品質スコア(品質インデックス)の低下を懸念している人が多いのですが、そもそも表示がなければクリック率に影響を与えることはありません。
34.除外キーワードのマッチタイプは、通常のマッチタイプのように扱われる
※この記事の趣旨がよく分からなくて、恐らくフレーズ一致や完全一致の除外キーワードを作成することを言っていると思います。(記事が古いので申し訳ありません。現在は複合一致という呼び方はしていません。)
35.リスティング広告が最も安く、最も ROI の高いオンライン広告である
仕事上これが真実であって欲しいが、広い意味で考えれば、オンライン広告の手段は他にもたくさんあります。
36.インターネットでビジネスをやるのであれば、リスティング広告は避けて通れない
リスティング広告が全てのオンラインビジネスに有効であるとは言えません(一度はトライしてみるべきだとは思いますが、どうやっても上手くいかないビジネスもあります。)。
なかにはリスティング広告を出すことが禁止されるビジネスモデルもあるかもしれませんが、だからといってインターネットでそのビジネスが生きていけないわけではありません。(35 にもあるが、オンライン広告の手段は、他にもたくさんあります。)
鷲見のまとめ
比較的まとまっていて、良質な記事だと思います。
時には、世間の常識を疑ってチャレンジしてみるのも、成功の近道になるかもしれませんよ。
*** About Takahito Sumi ***
長い海外生活の経験から、海外のインターネット事情に精通し、その知識をもとに、年商 5000 万のネットショップを実家のベッドルームで立ち上げる。
現在は、Google 認定プロフェッショナルの資格を持ち、毎月 1000 万円以上の AdWordsアカウントを管理している傍ら、コーチングプログラムの主催、Google AdWords/LPO 対策のコンサルティング業務を行う。
2009 年 6 月には日本で初めて Google 本社よりGoogle Website Optimizer 認定コンサルタント に任命され、ホームページのコンバージョン率を考えた広告戦略を日本中に広めるために活動中。
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