ハミングバードにschema.orgは有効か? ペンギンからのリカバリはいつ起こる? Googleマット・カッツに追加質問 #PubCon Las Vegas 2013

[対象: 中〜上級]

この記事では、PubCon Las Vegas 2013でのMatt Cutts氏によるキーノートスピーチの終了後に、1時間並んでMatt Cuttsに僕が直接質問して教えてもらったことをシェアします。

キーノートスピーチ中の公開Q&Aとは違い、個別でのQ&Aになります。

参加者に囲まれるマット・カッツ

ハミングバードとschema.org

Q: schema.org(構造化データ)によるマークアップはハミングバードの評価を高めるか

A: ハミングバードはクエリに関係するもので、schema.orgは関係ない。

でもコンテンツの意味をより良く理解させるためにschema.orgの利用は勧める。ただしschema.orgを使ったからといって評価が上がるわけではない。

構造化データのためのツールも提供している。

【鈴木からコメント】
これはセマンティック繋がりで混同してしまいそうな問題で、僕も危ういところでした。

ハミングバード検索クエリの意味を理解するためのアルゴリズムです。

対して、schema.orgをはじめとする構造化データは、ページをインデックスする際にそこ書かれている文字列の意味を理解するための仕組みです。

意味を理解するセマンティックという点では同じですが、レイヤーが異なりますね。

ハミングバードが検索クエリをきちんと理解して、そのあと別のアルゴリズムがそのクエリに見合ったページをインデックスから取得するときにschema.orgは役立つかもしれません。
しかし、schema.orgがハミングバードのアルゴリズムに直接働きかけることはありません。

とはいえ、それとは別にして、構造化データの実装は勧めるともMatt Cutts氏はアドバイスしてくれました。

schema.orgに限らず、microformatsやmicrodata、RDFaでも構いません。
Googleがサポートする構造化データを使って、Googleの意味理解を手助けしましょう。

ウェブマスターツールのデータハイライター構造化データマークアップ支援ツールなどの構造化データ向けのツールも使ってほしいともMatt Cutts氏は付け加えました。

もっとも構造化データでマークアップしたからといって、それだけでGoogleの評価が上がるわけでもありません。
この点も勘違いしないようにしましょう。

簡潔にまとめるとこうなります。

  • 「schema.orgがハミングバード対策に効果がある」は正しくない
  • でもそれとは別に、構造化データのマークアップは推奨される

ペンギンからのリカバリのタイミング

Q: 明らかにペンギンアップデートの影響を受けたと思われるサイトがペンギンの更新のタイミングではないときに順位を回復しているケースがある。ペンギンからのリカバリは更新時以外でもありえるのか。

A: パンダは1週間くらいかけての自動アップデートになっているから、はっきりした更新のタイミングじゃないときに回復することはある。

でもペンギンはそうではない。ペンギンの更新以外のタイミングで回復したのだとしたら、ペンギン以外の影響を(も?)受けていたのだろうというのが最も妥当な推測。

【鈴木からコメント】
ペンギンアップデートからのリカバリに成功したとすると、ペンギンアップデートの更新のタイミングで起こるはずです。
なぜなら、ペンギンアップデートはデータを絶えずリフレッシュしているわけではなく、手動でリフレッシュが実行されるからです。

にも関わらず、ペンギンの更新ではないタイミングでリカバリが確認されるケースがあります。

パンダ更新のタイミングでペンギンから回復した記事をこのブログで伝えたことがあります。

ペンギン実施のタイミングでトラフィックが激落ちし、問題があるリンクを外すなどの対処をしてようやく回復できたが、回復したタイミングはペンギンの更新とはまったく違っていたという話をブログ読者から直接聞いています。

回復に関しては別のサイクルがあるのかとも疑って、Matt Cutts氏に尋ねてみたのです。

でもMatt Cutts氏が知る限りではそんなことはなさそうです。

ペンギンに捉えられるのも開放されるのも、手動による更新のタイミングになっているようです。

ペンギンによく似た、不自然リンクを検出する別のアルゴリズムが常時稼動しているということなんでしょうかね(リンク評価のアルゴリズムはペンギン以外にもきっと存在するとは思いますが)。

この謎については真相不明です。

説明文の重複コンテンツ

Q:フランチャイズで4,000くらいのサイトに同じ説明文を載せている。重複コンテンツとしてペナルティを受けるか。

A: 重複コンテンツには間違いなくなる。

重複コンテンツは同じページをフィルタリングするものでペナルティではないが、4,000もあるとひょっとしたらその可能性もなくはない。

そのままでもいいが、検索を大切にするならオリジナルの説明文を作るべき。1、2段落でいい。全部のページでなくてもいい。

【鈴木からコメント】
これは僕からの質問ではなくて、僕の前にいた女性が聞いた質問です。
僕たちにとっても有用なので紹介します。

フランチャイズに限らず、多店舗・多地域で展開しているサイトでは説明文の重複は日本だけじゃなくどの国でも悩ましい問題ですということですね。

そして答えも決まっています。

オリジナルな説明文が求めらます。

全ページでなくていいから、重要なページから始めてこつこつとやっていくしかありません。

ということで、今年のPubConのMatt Cutts絡みのレポートはこの記事で終わりです。

Matt Cutts氏は、どんな質問にもごまかすことなく丁寧に回答してくれます。

たとえば僕の2つ目の質問(ペンギンのリカバリ)は、普段のサイト運営においてはまったく気にする必要のないことで、どうでもいいといえばどうでもいい問題です。

でもSEOに対する好奇心や探究心から湧き出る、純粋に知りたいことってSEOが好きな人なら持っていますよね。

そういったくだらない些細な疑問についても、嫌な顔ひとつせずにいつも快く受け答えしてくれるMatt Cutts氏に僕はとても感謝しています。

Matt Cutts氏の話を聞くだけでも、はるばる遠くまで行った価値があるというものです。:)