[レベル: 中〜上級]
お知らせしていたように、米シアトルで開催されたSMX Advanced 2015に参加してきました。
この記事では、今回のSMX Advancedの最大のハイライト、AMA With Google Searchのセッションをレポートします。
AMA With Google Searchとは
AMAは、Ask Me Anything の頭文字を取ったものです。
日本語に訳すと「私に何でも質問して」という意味になります。
日本で俗に使われている、「◯◯だけど、質問ある?」に相当しますかね。
例年、SMX Advancedでは Q&Aをもじった You&A という、米Googleウェブスパムチームのトップ、Matt Cutts(マット・カッツ)氏とSMX主催者の代表、Danny Sullivan(ダニー・サリヴァン)氏との1対1のトークが目玉セッションでした。
マットが長期休暇に入っているため、今年はGoogleスイスのSearch Trends Analyst(サーチ・トレンド・アナリスト)のGary Illyes(ゲイリー・イリーズ)がQ&Aセッションに登場しました。
とはいえ、ゲイリーもマットに負けず劣らず、僕たちが興味津々のGoogle SEOに関する数々の質問に率直に答えてくれています。
それでは、ダニーとゲイリーによるAMAをレポートします。
行ってみましょう!
Google、ゲイリー・イリーズ氏が回答したSEOの質問
パンダアップデート
2〜4週間後に更新を予定している。
(アルゴリズム本体の変更ではなく)データのリフレッシュになる。
もっと頻繁に、1か月に1回程度の更新したいが、複雑なプロセスが必要で実施する前にチェックが必要になる。
データを集める必要があって、そのデータがうまく機能しないことがときどきある。
そんな場合は、別のデータを集めるのにさらに時間が必要になる。
パンダは手動での更新になる。
ペンギンアップデート
ペンギンはなかなか難しい。
人の手を介さず、絶え間のない更新にするように取り組んでいるが、まだ数か月先の話。
ペナルティチェックツール
(ペナルティを受けているサーバーをチェックすると思われる、Google penalty serverというページが、ジョン・ミューラー氏のハングアウトの画面に映ってしまったというハプニングが最近あったことを受けて)、ペナルティを受けたサイトを見るツールを持っている。
(見せてほしいというダニーの要望に対して)見せられない。(会場笑う)
ペナルティの通知
もっと透明性を高めようとは考えている。
以前に、検索に関わる変更を毎月発表していたが(Search Quality Highlightsのこと)、うまくいかなかった。
混乱したり、間違ったことに気を向けたり、悪いように利用しようとしたりする人がいた。
ハッキングされたサイトに対するアルゴリズム変更を実施する予定がある。
実施するとしたら、透明性を高めるために事前に告知する。
クオリティアップデート
(当初、アップデートは実施していないと言っていたことについて)広報部の対応が適切でなかった。
申し訳ない。
ウェブスパム対策のアップデートではなかった(から、アップデートを実施していないと回答した)。
(クオリティのシグナルは? というダニーの質問に対して)言ったら、失業してしまう。(会場爆笑)
検索結果のクリック率
アルゴリズムの1つ。
いろいろな方法で使える。
ただし乱用しようとする人が多いので、そのまま使うのは良くないだろう。
直接使うにはノイズが多い。
使うことに意味があるケースもある。
たとえば、「Apple」でユーザーが検索したとする。(果物ではなく)会社のAppleをユーザーがクリックしているなら、会社のAppleを探していると判断して会社のAppleを次は上位に表示する。
pythonも同じこと(プログラミング言語のpythonと、大蛇を意味するpythonがある)。
つまり、パーソナライズ検索ではクリックのデータを使っている。
モバイルフレンドリーアップデート
モバイルフレンドリーアップデートが与える影響はパンダやペンギンよりも大きいと事前に言っていた。
影響を受けたURLの数は実際に大きい。
影響を受けたクエリの数も多い。
潜在的には影響範囲は大きかった。
17%が実際に影響を受けた。
ただモバイル対応したサイトが多かったので、予想したよりは影響を受けるサイトの数は少なかった。
App Indexing
(アプリをすべての検索ユーザーに強要しているように見えるという指摘に対して)そういうことではない。
情報を提供するようなサイトではアプリは不要だろう。
でもカーディーラーならアプリがあったほうがいいだろう。
ユニバーサル検索で、(ウェブ検索に加えて)アプリもユーザーに見せたいということ。
Featured Snippets(フィーチャー・スニペット)
(ダイレクトアンサーまたはアンサーボックスと僕たちが呼んでいる機能を「Feartured Snippet」とGoogle内部では呼んでいるとのこと)
Featured Snippetsによって(アクセスが減ることで)、「SEOが終わった」ということはない。
悪用さえしなければ、SEOはユーザーにとっていいこと。
Featured Snippetsに採用されたら、それはそのサイトにも役立つはず。
リンクがあるときはトラフィックを送るし、ブランディングにもなる。
Featured Snippetsに採用されたからといって、(Googleに)信頼を得たということではない。
ユーザーのクエリに関連しているので表示しているだけ。
Featured Snippetsからオプトアウトしたいなら、nosnippet meta タグを付ければいい。
ただしそうすると、(通常のウェブ検索でも)スニペットが完全に表示されなくなる。
エンティティ
エンティティが言及されていたとしても、構造化データなしではそれをエンティティとして認識することは難しい。
Search Engine Land(の文字列)だけではエンティティとしては認識できないだろう。
エンティティの認識には構造化データやWikipediaを利用している。
searchengineland.comのようにURLの形をしたテキストであれば、内部的にはnofollowリンクのように扱う。
PageRankを渡すことはないが、URLの発見には使う(4年以上前からの話ですね)。
ランキング要因としてのTwitter
「Twitterが検索結果に表示されるようになったがSEOには影響するか」という問いに対して)、知るかぎりではランキングには影響しない。
まだ導入したばかり。
安定性がないしノイズが多いので利用しないと思う。
安定性がないというのは、もし万が一Firehose(ツイートのデータに直接アクセスできるAPI)の利用をTwitterが停止してしまったらアルゴリズムがひどいことになり問題が起きるだろう(実際に過去に一度起きた事件です)。
長期的に安定したシグナルが必要だ。
Ajaxのクロール
Ajaxによるコンテンツをレンダリングできる。
特別な構成がなくてもGoogle側でできるようにする。
推奨構成には引き続き取り組んでいる。
近いうちにブログで発表することを約束する。
(Ajax/JSのレンダリング、クロールに関してはマイリーさんにも聞いてきたので、別の記事であらためて紹介します)
PageRank meta タグ
meta name="pagerank" content="pr=10"
と記述すればPageRankが一気に10に上がる。
小文字の pr か大文字の PR かは問わない。
どちらでもいい。
(もちろん、ジョークですよ!)
URL構造
URLの長さはランキングには関係しない。
しかしURLの発見に役立つことがある。
(URLの発見にどんなふうに役立つのかの理由を聞き取れませんでした。ゲイリーに、確認できるようなら確認してみます)
新しいgTLD
新しいTLDは、.comのように(gTLD)として扱う。
特別な利点はない。
(これは新しい情報ではありません)
インデックスの減少
検索されないURLは、インデックスから削除することがある。
ChromeやAndroidでのユーザー行動の利用
ChromeやAndroidの利用者のデータをランキングには使っていない。
ノイズが入りやすい。
Googleアナリティクスのデータも同様に使っていない。
重複コンテンツペナルティ
重複コンテンツによるペナルティというものは存在しない(何度も言うように、重複コンテンツが原因でペナルティということはないのです)。
重複コンテンツを発見した場合、どちらを検索結果に表示すべきかの判断が上手になっている。
rel=”canonical”を追加しなくてもいい。
Googleが優先するURLを見つけ出す。
JavaScript
ブラウザで見えるものはGooglebotにも見える。
したがって、CSSやJavaScriptをGooglebotがクロールできるようにしておくこと。
遅いモバイルページ
赤いSlowラベルのようにいろいろなテストをしている。
HTTPS
ランキング要因としてもっと強めていく計画だ。
(ゲイリーは、HTTPSをランキング要因に組み込むことを提案し、そのアルゴリズムをコーディングした張本人です)
オーサーシップ
オーサーシップ(著者情報)のプログラムは廃止したが、著者のオーソリティを評価しようとすることをやめたわけではない。
インタースティシャル
今のところは(モバイル検索での)ランキング要因にはインタースティシャルはなっていない。
(ですが、マイリーさんは別セッションで、次に組み込むならスピードよりもインタースティシャルかもしれないとも言っていました)
質が高いコンテンツ
ユーザーが満足するのが質が高く、価値あるコンテンツ。
満足させるコンテンツであれば、ユーザーがリンクするし、いいね!したりシェアしたりする。
以上です。
ゲイリーが最後に言ったように、このレポート記事があなたを満足させる価値あるコンテンツになっていることを願います。
[撮影: Takuya Honda氏w]