ペンギンアップデート2.0分析【海外編】: 不自然リンクが依然としてウェブスパムの主な原因

[対象: 中〜上級]

Glenn Gabe(グレン・ゲイブ)氏という米国のSEOコンサルタントによるペンギンアップデート2.0の分析結果をこの記事では紹介します。

ペンギンアップデート2.0の導入後にランキングを下げた13のサイトを分析し、結果から得られた傾向と考察をGabe氏は公開しました。

Gabe氏は経験豊富で、ペンギンアップデートおよびパンダアップデートにやられた数多くのサイトを分析し、復数のサイトでリカバリにも成功しています。

Gabe氏によると、ペンギンアップデート2.0には次の傾向が見られたとのことです。

  • 新たに標的になったウェブスパムなし
  • 主なターゲットは依然として不自然リンク
  • 深い階層のページを見ている
  • 巻き添え被害なし

ペンギンアップデート2.0の特徴

新たに標的になったウェブスパムなし

ペンギン2.0が新たにターゲットにした種類のウェブスパムは確認されていません。

初代のペンギンでは、たとえば次のような行為が検索結果の順位を人為的に操作するウェブスパムとして対策されました。

  • キーワードの詰め込み
  • 隠しテキスト
  • リンクプログラムへの参加

ウェブスパムとして判定される不正行為に、特に目に付く変化はペンギン2.0においては見つかりませんでした。

主なターゲットは依然として不自然リンク

初代ペンギンで最も問題になったウェブスパムはリンクの不正操作でした。

有料リンクや自作自演リンク、過度な相互リンク、多数の登録型ディレクトリへの無分別な登録などが該当します。
自然に集まったリンクではなく人工的に集めた不自然なリンクです。

また自然に張られたとは思えない、著しく偏ったアンカーテキストの分布にもチェックの対象になりました。
上位表示を狙うキーワードに完全一致したアンカーテキストばかりの状態は非常に危険でした。

この傾向はペンギン2.0においても同じで、検索順位が下げられた主要な原因は不自然な形態のリンクだと判断できます。

深い階層のページを見ている

Matt Cutts(マット・カッツ)氏は、ペンギンアップデート2.0導入直前に、オンライントークショーで次のように趣旨のコメントを残していました。

これまでのペンギンはトップページに張られたリンクだけを見ていたけれど、ペンギン2.0はもっと深い階層のページに張られたリンクも見ている。

これは事実のようです。

下層のページに人工リンクを当てていたサイトがあり、ペンギン1.0では影響を受けていなかったのにペンギン2.0では大きく順位を下げた例が見つかっています。

Gabe氏が自分で分析したすべてのサイトにも、トップページ以外のサイト内ページに完全一致のアンカーテキストでリンクが張られている傾向が認められました。

巻き添え被害なし

大きなアルゴリズム更新には、“誤検出”とも言うべき巻き添え被害がつきものです。
パンダアップデートが良い例で、質が低いとは思えないサイトが評価を大きく下げられたケースがたくさん見られました。

ペンギンアップデート2.0に関しては、誤って評価を下げられたと思われるサイトは、分析した13サイトのなかには見られませんでした。
いずれも何らかの問題、多くは不自然リンクの問題を抱えていました。

検出の精度を上げたのか、それとも「疑わしきは罰せず」で99%黒と判定できた場合だけにアルゴリズムが発動するようにしたのかもしれません(と、これは僕の想像)。

【考察】ペンギンアップデート2.0は初代を洗練

Gabe氏の分析を考察すると、ペンギンアップデート2.0は、刷新というより初代のバージョンをもう少し洗練した対ウェブスパムのアルゴリズムとみなすことができそうです。

少なくとも表面上は、まったく新しいものが初代のペンギンに加わったというよりも、検出力を上げ正確さを向上し、多少なりとも初代よりは磨きがかかった、こんな印象を持ちます。

日本語サイトを対象にしてペンギンアップデート2.0を分析した渡辺さんも「ペンギンアップデート1.0の強化版?」と初見を述べていますね。

日本は前回ペンギンアップデートの正当進化・強化版といったところでした。

Matt Cutts氏が言うように大きく変化したのかもしれませんが、それは内部的なプログラムの話であって、僕たちが外側から見る結果としては言うほどの目立った変化に気付かないのかもしれません。

かなりマイルドではありましたが、ペンギンアップデート2.0が順位変動を発生させのは確かなことです。

もし影響を受けていたとしたら、まず対処すべきは不自然なリンクの撤去になるでしょう。

たとえまだ見つかっていないとしても、今後のデータのリフレッシュやパージョンアップを乗り越えられるとは限りません。

Google検索からの安定したトラフィックを長期にわたって確保したいのであれば、問題になりうるリンクは今のうちから取り除いておくことをおすすめします。

事が起こってからの対処は時間的にも精神的にもかなり大変ですよ。