[レベル: 初・中・上級]
お伝えしていたように、11月12〜13日に伊ミラノで開催されたSMX Milan 2015に参加してきました。
セッションレポートの第一弾として“Ask Me Anything With Google”の内容を紹介します。
“Ask Me Anything With Google”は日本語風に言うと「グーグルに何でも聞いてみよう」となり、GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏にさまざまな質問をぶつけてそれに率直に答えてもらうというセッションです。
セッション中のモデレータからの質問と(僕も含めた)参加者からの質問とその回答に加えて、セッション終了後に僕が直接尋ねてきた質問とその回答も交えてまとめてあります。
必要なものには僕からの補足コメントを付けています。
なお特に重要度順には並べていません。
読み逃すことがないように、すべてのQ&Aをひととおりチェックしてください。
では行ってみましょう!
GoogleのJohn Muellerに何でも聞いてみよう!
Q. どうしてアルゴリズム更新を実施するのか?
A. どうやったら検索品質を改善できるかを常に考えている。ユーザーが何をもっと期待しているかを考えている。正しい答えをユーザーが検索で探せるようにする。
まるで魔法の機械を作るようなものだから、簡単には達成できない。Googleはユーザーの問題を解決したい。
既存のアルゴリズムを微調整することもあるし、パンダやペンギンのように大きな影響を与えるアルゴリズム更新を実行することもある。
Q. モバイル対応について伝えたいのはどんなことか?
A. いろんな局面から見ている。特定の局面ではない。たとえば、titleタグのキーワードだけとか。
もっともこれは、モバイルに特定したものではない。
ユーザーのクエリに対してマッチしたものを返す。キーワードにマッチしたものではない。モバイルページは小さいからキーワードを詰め込むことはできない。
Q. リンクは今でも重要なのか? リンクは終わったという人もいるが。
A. リンクは今でも使っている。たとえばコンテンツの発見にはリンクを利用している。決して終わってはいない。
だからといって、人工的に作るものではない。リンクだけを見ているわけではない。
技術的にはリンクは必要。コンテンツの関連性を知るためにも必要。内部リンク構成はGoogleにとっては非常に重要。外部リンクはあくまでも自然である必要がある。
一方、コンテンツにフォーカスすることはアルゴリズムが変わっても変化しない。
Q. RankBrainについて何かあるか?
A. RankBrainに対しては(ウェブマスターが)反応する必要はない。
Q. 音声検索についてはどうか?
A. 特定のキーワードではなく、コンテキストへシフトしている。
モバイルユーザーはコンテンツのすべてを読まない。表示するスペースも限られている。
10〜15%が音声検索になっている。
Q. AMPについて話してほしい
A. ウェブを高速化できる。
まだプレビュー段階。年内に完成させる予定。
構造化データのようにサイト内のすべての変更が必要なものではない。
【コメント from すずき】別のセッションレポートで触れますが、ジョン(Google?)はAMPをかなりプッシュしているような感じでした。モバイル検索のランキング要因にAMPが組み込まれる可能性はあるのでしょうか?(答えは別レポートで)。
Q. Googleは、ウェブサイトとアプリのどちらを推奨しているのか?
A. どちらということはない。自分たちのビジネスに合わせて選択すればいい。
素晴らしいサイトと素晴らしいアプリの両方があるのは良いこと。ユーザーに良いものを届けられる。
Q. 悪意はなかったのに、偶発的にペナルティを受けたサイトがあった。何が引き金になったのか?
A. 手動対策は実際に人間が見ている。偶発的というのは稀。
Q. 自分がインハウスSEOだったと仮定してほしい −− すばらしいコンテンツをたくさんサイトにすでに持っている。今後もコンテンツを充実させていくつもりだ。もちろんモバイル対応している。
この状況で、あなたなら次は何に取り組むか?
次の3つの選択肢がある。
- HTTPS
- App Indexing
- 構造化データ
どれを選ぶか? その理由は?
A. 答えるのが難しい質問だ。(子どもが3人いて)どの子がいちばん好きかを選ぶようなものだ。
HTTPSは長い目で見たら投資すべきだ。SEOの観点では、ランキング要因としては小さなもの。しかしユーザーの信頼を得るには非常に重要。
App Indexingは、アプリを持っているなら取り組みたい。ユーザーがそのアプリをインストールしていればランキングが上がることがある。
構造化データはサイトのタイプによる。リッチスニペットを出せるならやりたい。検索結果に★が出るからクリック率を上げられる。
【コメント from すずき】 これは僕が尋ねた質問です(いい質問でしょ?w)。 要点だけをコンパクトにまとめましたが、実際には時間を割いて自身の考えをジョンは説明してくれました。個人的な印象としては、HTTPSにいちばん力を入れて話しているように僕には映りました。日本のGoogle社員さんたちもそうだったように、Googleのなかにはウェブをセキュアな場所にするという理念が浸透しているのかもしれません。SEOとは関係なく、ユーザーのためにもHTTPS化に取り組むべきだという考えには僕も賛成です。それに安心感を与えられることで、信頼度が上がることもたしかに期待できます。
Q. HTTPSの不適切な設定に対して、警告を送り始めた。不適切な構成のHTTPSは、ランキング上昇の対象から外す伏線では?
A. もしかしたら、そういうこともあるかもしれない。
だがそういうことよりも、不適切な構成だとしたら、HTTPSじゃなくてHTTPを検索結果の表示として選ぶこともある。間違った構成をユーザーに見せたくない。
でも、ランキング上昇をなくすかはわからない。そうするかもしれないし、しないかもしれない。
【コメント from すずき】 これも僕からの質問です。
不適切な構成のHTTPSサイトに警告メッセージが送られてきたことをカンファレンスの直前に知りました。
This is new. Google now sending SSL Certificate "Mismatch" Console Warnings. cc: @seosmarty @rustybrick @jenstar pic.twitter.com/dYLXqqv39s
— Casey Markee (@MediaWyse) 2015, 11月 10
今までにはなかった、新しいタイプの警告です。
Googleのジネブさんによれば、期限切れや間違った年月日、無効、正しく設定されていないなど証明書に問題があるときに送るようにしたそうです。
現状ではHTTPSアルゴリズムは、構成が不適切であってもHTTPSでありさえすればプラスの評価対象になります。
警告を送り始めたということは、正しいHTTPSだけを評価するようにアルゴリズムを変えるのかなと疑いました。ですが、ジョンからの答えの第一声は“Maybe.”で、肯定も否定もしないような曖昧なものでした。
もっともアルゴリズムの評価がどうなろうが、HTTPSにするなら正しく構成しなければならないことに変わりはありませんね。
Q. 今後、HTTPSアルゴリズムを強めるつもりはあるか?
A. もしかしたら、そういうこともあるかもしれない。
流れを見て決める。みんながHTTPSにするなら強めるだろう。しかし関連性があるのにHTTPだからといって表示しなければユーザーには、悪いことだろう。
【コメント from すずき】 ついでだったので、続けて質問しました。
この答えの第一声も“Maybe.”でした。
たしかに状況を見て決めるものですね。
Q. 同じサイトのページばかりが検索結果に出てくることがあるのだが?
A. 白か黒ではない。クエリによって最適なページを表示しようとする。同じサイトからであっても関連性が高ければ複数表示することもある。
Q. JSON-LDをプッシュしているように感じるのだが?
A. もっとJSON-LDに向かうと思う。
すべてのschema.orgでJSON-LDをGoogleはサポートしているわけではないが、対応していく。
JSON-LDで記述するとファイルサイズは確かに増えるが、目立つほどには表示速度は遅くはならないだろう。
Q. モバイル専用インデックスはどうなっているのか?
A. モバイルページのコンテンツをGoogleは取得しているが、PCのコンテンツを評価に使っている。(別URL構成なら)rel=”canonical”で正規化されている。
そのうち変わることはありうる。ほぼ間違いなく変わるだろう。
モバイルのランキングが常にPCを反映しているとは限らない。モバイルページが関連があるならモバイルページに基づいて評価する。たとえば、モバイルページにホテルの行き方があって、PCページにないとしたら、行き方を探すユーザーにはモバイルページを見せたほうがいいはず。
とは言っても、Google側の問題だから気にしなくていい。
【コメント from すずき】 これですね、モバイル専用のインデックスといっても、スマホ専用の検索結果を提供するわけではなくて、モバイル向けページだけのインデックスを“内部的”に所有するだけなのかもしれません。
つまり、モバイルユーザーに適切な検索結果を提供するために、モバイルページだけの情報を集めたインデックスを別途作って、それももとにして検索結果を返すんじゃないでしょうか。
昔あったガラケーのように、ガラケーだけの検索を提供するわけではないということです。
「Google側の問題で僕たちは気にしなくていい」と確かにジョンは言っていて、この発言からしてもそうなんじゃないかなと思えます。
Q. アプリだけのインデックスの開発状況は? 今年後半には公開と聞いているが。
A. 取組中。
公開したとしても、最終的にはどのアプリも最低限のウェブサイトも作る方向に向かうと予測する。
【コメント from すずき】カンファレンス後に、アプリだけのApp Indexingの試験公開が始まったことをGoogleはアナウンスしました。
しかしアプリだけのApp Indexingができあがったとしても、「最終的にはどのアプリも最低限のウェブサイトも作る方向に向かうと予測する」ジョンが言っていたのが印象に残っています。
Q. Googleアナリティクスのデータを利用していないことは何度も聞いている。ChromeやAndroidはどうなのか? データを取得して検索品質の改善に使っていないのか? とはいえ、ランキングの変更に直接使っているという意味ではない。
A. わからない。
【コメント from すずき】セッション終了後に直接聞いた質問です。
まあ、知ってても答えてくれないですよね。
Q. App Indexingによってアプリコンテンツを理解できるようになった。Google Play内の検索にもApp Indexingは応用されているのか?
A. 使ってない。でも言われてみれば、使ったほうがいいよね。気付かなかった。
【コメント from すずき】これもセッション終了後に直接聞いた質問です。
使ってるのかなと思ったのですが使ってませんでした。というか、気付いてなかったそうです。(笑)
Q. 手動の対策の対象になるスパムサイトはどうやって見つけているのか? スパムチームの人がランダムにネットサーフィンしてるの?
A. スパムレポートとトピックで見つけている(トピックというのはジャンルやテーマごとに探すこと)。自動でも見つけている。ランダムにネットサーフィンして見つけているわけじゃない。
Q. SEOに取り組む我々に伝えたいことは?
A. 一貫することが大切。
たとえば、rel=”canonical”で正規化した先のページにnoindexが入っていたりすることがある。rel=”canonical”は同一であることを示すのに、これでは同じではない。ほかには、rel=”canonical”で正規化した先のページが、別のページにリダイレクトされていることもある。
こんなケースでは、私たちはどう処理すればいいかわからなくなる。
検索エンジン任せにするのではなく、自分がそうしてほしいようにきちんと設定しなければならない。今は期待したように処理されていたとしても、時間とともに変化するかもしれない。
自分の意図したことに合致するように、一貫した構成にすることを確実にしなければならない。
【コメント from すずき】セッション最後のジョンから僕たちに向けてのアドバイスです。
Web担当者Forumのコラムでピックアップしたように、Yahoo!やYouTubeのような超大手サイトでもSEO的に相反した構成をしていることがあります。
何らかの理由があるからそうしているのでしょうが、真似する必要はゼロで、僕たちは常に一貫した設定をしなければなりません。
「検索結果でこのように処理してほしい」という明確なシグナルを僕たち側から検索エンジンに送る必要があります。
以上です。
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