“パンダ・アップデート”から見据える今後のGoogle SEO

CADIE

ファーマー・アップデートが実行されてから1週間が経過しました。

Googleからの公式な追加説明とウェブマスターたちの分析から続々と情報が集まっています。

今日はここまで分かっていることをまとめてお伝えします。

でもその前に、何度か言っているようにv現在は米国だけでの導入です。
日本のGoogleにいつ導入されるのかどころか、導入されるかどうかもまったく分かりません。
何か対策しなければならないと焦らないでください。

それにもかかわらずなぜ僕がこのエントリを書くことにしたかというと、これから書くことはファーマー・アップデートが来ようが来まいが、今後どんなアルゴリズム更新が実行されようが、そんなこととは関係なしにGoogleが望むであろうSEOのヒントがたくさん詰まっているからです。

あえて僕からの補足はほとんど差し込んでいません。
それでもいつにも増して長い記事になってしまいましたが、よく読んでどこが重要か自分なりに考えてみてください。

なおこの後を読んでもらうと分かりますが、中心となった開発者の名前にちなんで「ファーマー・アップデート」を「パンダ・アップデート」とこれ以降は表現します。

Google、パンダ・アップデートを語る

Googleの検索品質グループの上級職に就いているAmit Singhal(アミット・シンガル)氏とその配下に位置するスパムチームのトップ、Matt Cutts(マット・カッツ)がWired(ワイアード)とのインタビューに答えました。

以下、要約した重要ポイントです。

Panda(パンダ)という名前のエンジニアが中心になって開発したので、社内のコードネームでは“Big Panda”と呼んでいた。

カフェインの導入によりインデックスのスピードが格段に向上したおかげで、たくさんの良いコンテンツと同時に、良いとは言えないコンテンツも入ってくるようになった。

結果として、適当に単語を並べただけの訳の分からないコンテンツから、きちんと書かれてはいるけれど薄っぺらいコンテンツを取り除くことへと問題が移り変わった。

質の低いコンテンツを判断するために、社外の評価者にたとえば次のように質問した。

  • このサイトでクレジットカードを使ったとしても抵抗がないか?
  • このサイトで処方された薬を子供に与えたとしても抵抗がないか?
  • このサイトに権威を感じるか?
  • これが雑誌に載っていたとしても大丈夫か?
  • 広告が多すぎやしないか?

上のような基準に照らし合わせて定めた「低品質」の定義は、Google ChromeのPersonal Blocklistで集めたデータの84%と重なった(今回のアルゴリズム更新にはPersonal Blocklistのデータを利用してない)。

IRSWikipediaNew York Timesはこちら側、質の低いサイトはこちら側、というふうにユーザーに価値を与えるサイトと価値を与えないサイトを数学的に区別するアルゴリズムを開発できた。

今回の更新は望んでいたものだったと言える。しかしフィードバックを受けて改良していく。

質の高いコンテンツと質の低いコンテンツが混ざっているサイトに対しては警戒している。

どんなアルゴリズムを採用したかを公開すると操作されてしまうから公開しない。公開したら操作されないアルゴリズムなんていうものは絶対存在しない。

ウェブマスターたちによるパンダ・アップデート分析

たくさんのサイトでたくさんのウェブマスターがパンダ・アップデート(旧ファーマー・アップデート)がを分析しています。
僕がいちばんのリソースにしているWebmasterWorldだけでもこの記事を書いている時点で、10個以上のスレッドで関係するディスカッションが展開しています。

“キー”になると僕が感じた分析を、それぞれの関連性をそろえずに列挙します。

“Machine Learning”(マシン・ラーニング:機械学習)に関する新しい技術の採用だろう。

ランキングが下がったサイトの下げ幅は大きいが、それに比べるとランキングが上がったサイトの上げ幅は小さい。

全体的には、利益を得た勝利サイトのほうが損失を受けた敗者サイトよりも数が多い。

ページ単位の評価だが、個々のページの評価がサイト全体に及んでいることもある。

ランキングの下がったサイトは幅広い範囲で悪影響を受けているが、ランキングの上がったサイトはもっと狭い範囲で好影響を受けている。1つのサイトが大きくダメージを受けて、評価を上げたいくつかのサイトが少しずつそれを穴埋めしているようなイメージ。

マイナス評価はサイト単位でも起こるが、プラス評価はページ単位にとどまっているっぽい。

次の4つの傾向が見られた。

  • ページの重複コンテンツ(ページ内のオリジナルコンテンツに対するテンプレート部分の割合)が大きいと評価が下がる。
  • 薄っぺらいコンテンツは評価が下がる。
  • ユニークなコンテンツは評価が上がる。
  • (コピーに対する)オリジナルのコンテンツを決めるために今までとは違ったアルゴリズムが使われている。

上位の勝利サイトは全体的に敗者サイトよりサイト構造がずっと整っている。たとえば次のような構成が見られた。

  • よく練られた階層構造のナビゲーションで、目的とするページへの内部リンクを優先している。
  • 記事や個別プロダクトページなどを目的を伴って協調(※「強調」の変換ミスではありません)させている。
  • ページのデザインを、ナビゲーション同様に訪問者が有益なコンテンツにすぐたどりつけるようにしている。

リンク以外の手段でクオリティを決める方法をGoogleは持った。

これまでのアルゴリズム更新とは違って、ドキュメントの「関連性(relevance)」ではなく「質(quality)」を評価付けしようとしている。

順位を下げた多くのページに共通して見られるのは、有益なコンテンツがAbove the Foldにあるかどうか。ユーザーの満足度を考えると、スクロールしなくても見えるところに有益なコンテンツがあったほうがいいのは理にかなっているかもしれない。

上野動物園にやって来た2頭のジャイアントパンダは今月下旬にも公開だそうです。
パンダ・アップデートが日本で公開されるのはいつか分かりませんし、公開されないかもしれません。
そうだとしても今すぐ実践して損にはならないGoogle SEOのヒントをあなたは見つけられたでしょうか?

P.S.
記事のトップに貼ったパンダはCADIEという名前の、Googleが開発した自己認識タイプ分散人工知能です。