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ChatGPT の出現により、SEO への AI 利用がにわかに盛り上がってきました。
こうした流れもあり、AI に書かせたコンテンツに対する検索エンジンの立場での扱いを Google の Danny Sullivan(ダニー・サリバン)氏が Twitter の SearchLiaison アカウントを通して再度明確にしました。
検索エンジンファーストならスパム、ユーザーの役に立つなら問題なし
SearchLiaison はまず次のように投稿しました。
AI について尋ねられたときに以前言ったように、主に検索エンジンのランキングのために作成されたコンテンツは、どのようなやり方であれ、ガイドラインに違反する。コンテンツが役に立つものでユーザーのために作成されているのであれば問題にはならない。
https://twitter.com/dannysullivan/status/1589681355868504064
https://www.wired.com/story/ai-generated-marketing-content/
https://developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies
As said before when asked about AI, content created primarily for search engine rankings, however it is done, is against our guidance. If content is helpful & created for people first, that's not an issue.https://t.co/3rs3Yrrrk1https://t.co/TlFEbdXGAphttps://t.co/Yl9XWr5CAN pic.twitter.com/gFTE2C2wq1
— Google SearchLiaison (@searchliaison) January 12, 2023
以前の発言についてはこちらの記事で取り上げました。
AI を利用してコンテンツを作る主要な目的が検索エンジンからのトラフィックを増やすことだとしたら、それはスパムポリシーで禁止するスパム行為のある自動生成コンテンツに該当します。
一方で、真にユーザーの役に立つものであれば AI が書いたと言えど不正な取り組みには該当しません。
端的に言えば、ユーザーに有用な情報を提供するために AI を利用しているのか、それとも手間をかけずにコンテンツを量産するために AI を利用しているのかの違いです。
AI コンテンツは E-E-A-T を示せるのか?
また、SearchLiaison は次のようにも説明しました。
主に、検索エンジンのランキングのためにたくさんのコンテンツを(AI で)生成する目的でいかなる手法を使っている人すべてに対して言っておきたい――わたしたちのコア システムは、E-E-A-T(専門性、経験、権威性、信頼性)を明確に示しているコンテンツを高く評価するために多くの指標を見ている。
For anyone who uses *any method* to generate a lot content primarily for search rankings, our core systems look at many signals to reward content clearly demonstrating E-E-A-T (experience, expertise, authoritativeness, and trustworthiness). https://t.co/NaRQqb1SQx pic.twitter.com/JDWjQguaTR
— Google SearchLiaison (@searchliaison) January 12, 2023
果たして、AI が生成したコンテンツは E-E-A-T を備えているでしょうか?
信頼性については極めて疑問です。


ChatGPT ではこうした誤った回答が返っててくることがしばしばです。
📝すずき補足: 実際には、新宿・渋谷・池袋がトップ 3。ChatGPT は 2021 年までのデータしか(現時点で)学習していない
さらに、経験の観点ではどうでしょうか?
AI はどんな経験を持っているでしょうか?
AI が経験談を語ったとしたら、それはでっちあげか他の人の体験の(無断)引用です。
AI に記事を書かせるなら人間の編集と情報開示が必須
AI を利用して記事を作成すること自体に問題はありません。
現に Google も、検索セントラルのドキュメントを自動翻訳を使って英語以外の言語に翻訳しています。
しかし、AI コンテンツ公開前には人間によるレビューが絶対に要求されます。
Google もそうしています。
昨年 11 月にシンガポールで開催された Search Central Live で検索チームのゲイリーに AI 生成コンテンツについて相談したときに明確に述べていました。
📝すずき補足: 詳細はこちらの記事で紹介
加えて、AI が書いた記事だとわかるように開示することも不可欠でしょう。
Bankrate や CNET は AI に書かせた記事を本格的に発行するようにしました。
AI が執筆した記事であっても、人間が執筆した記事と同様に著者を明記しています。
AI が書いた記事であることがわかります。


AI が書いた記事であっても、人間のスタッフが編集していることにも注目してください。
“Written by” に続くのが、記事を執筆した AI で、“Editied by” に続くのがその記事を編集した人間のスタッフです。
Google に言われたわけではないでしょうが、どちらのサイトもスパムポリシーに違反していません。
Bankrate と CNET が公開した AI 記事は多くがインデックスされています。
また、いくつかのメジャーなクエリで上位表示もしているようでです。
AI の SEO 利用は今後ますます盛んになっていくでしょう。
別の記事でもあらためて考察したいと思います。