グローバルサイトでIPアドレスに基づいて自動リダイレクトするとSEOに悪い影響が出るかも

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IP アドレスをもとにして特定の地域からアクセスしてきたユーザーを特定のページに自動的にリダイレクトすると、SEO に悪い影響が出ることがありえます。

「ページにリダイレクトがあります」の問題を解決したい、ジオ IP リダイレクトを設定している

2024 年 8 月の英語版 Google SEO オフィスアワーで次の質問が取りあげられました。

「ページ リダイレクト」の問題を修正するにはどうすればよいですか?

米国と中国、日本、韓国向けの国際的なウェブサイトがあります。これらは、ジオ IP リダイレクトを使用し、hreflang を追加しました。しかし、Search Console で中国向けサイトをチェックすると、「ページがインデックスに登録されていません:リダイレクトのあるページ」というエラーが表示されます。これを修正するにはどうすればよいですか? すべてのサイトを Google にインデックス登録できますか?

John Mueller(ジョン・ミューラー)氏はこのように回答します。

ジオ IP リダイレクトとは、特定の地域のユーザーを自動的にその地域のページにリダイレクトする仕組みだ。これは検索エンジンにとって大きな問題となる可能性がある。なぜなら、クローラーもリダイレクトされてしまい、他の地域向けバージョンのページを確認できなくなるからだ。

個人的な意見としては、このようなリダイレクトは私にとっても、そしておそらく他の多くのユーザーにとっても迷惑なものだ。リダイレクトの代わりに、他の国のバージョンにアクセスしたユーザーにバナーを表示し、必要に応じてローカルバージョンをクリックできるようにすることをお勧めする。詳細については、Googleの ドキュメントを参照してほしい。

自動リダイレクトは SEO 的にも UX 的にも良くない

多地域・多言語向けサイトの管理を解説するドキュメントで Google は次のように注意喚起しています。

  • サイトのある言語バージョンから別の言語バージョンにユーザーを自動的にリダイレクトすることは避けてください。たとえば、ユーザーの使用言語の推測に基づいてリダイレクトしないでください。このようなリダイレクトを行うと、ユーザー(および検索エンジン)がサイトのすべての言語バージョンを見られなくなる場合があります。
  • 他の言語のバージョンへのハイパーリンクを追加することを検討してください。それにより、ユーザーがクリックするだけで、そのページの別言語のバージョンを選択できるようになります。

ユーザー(ブラウザ)の言語設定に基づいて自動的にリダイレクトすることを避けるようにと指示しています。
これは、IP アドレスに基づく自動リダイレクトにも当てはまります。

Googlebot は通常、米国からアクセスしてきます。
米国外の IP アドレスからクロールする「地域分散クロール」という仕組みもありますが、実際に使われることはほとんどないようです(準備だけはできているらしいが)。

したがって、ジオ IP リダイレクトを設定していると、Googlebot は米国向けページにしかアクセスできないことになります。
結果として、他の言語のページをクロールできないため、当然インデックスされません。

さらに、IP アドレスや言語設定に基づく自動リダイレクトはユーザー体験視点でも好ましくありません。
日本からでも英語ページを見たいユーザーはいるし、反対に、米国にいても日本語ページを見たいユーザーはいます。
たとえば、旅行中です。

法律や規制が理由で外国からのアクセスに対してコンテンツ提供できないという事情でもない限り、どの言語・地域向けのページを閲覧するかはユーザーの選択に任せるべきなのです。
もちろん、わかりやすい場所にわかりやすい UI で言語・地域切り替えできるようにしておくことは必須です。

ということで、グローバルサイトの運営者の方は自動リダイレクトはやめてください。
僕も個人的に好きではありません。

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