AdWordsの新しいキーワードマッチ — Broad Match Modifier (部分一致修飾 ⇒ 絞り込み部分一致)とは

最近はGoogle AdWords関連の情報をグーグル アドワーズ ラボの鷲見さんの寄稿にすっかり任せてしまっているのですが、AdWords運営者にとって大きなインパクトを与えるであろうニュースが発表されたので今日は久しぶりに僕がAdWordsをトピックにした記事を書くことにします。

GoogleはAdWordsに新しいキーワードマッチを追加したことを公式ブログでアナウンスしました。

従来は、「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の3タイプのキーワードマッチがありました(正確には「除外」を含めて4つですがここでは外します)。

これに第4のキーワードマッチが加わります。

Broad Match Modifier“というキーワードマッチです(日本語訳はどうなるんでしょう?、この記事のタイトルでは勝手に「部分一致修飾」としています)。
【UPDATE(2010/07/1)】
「絞り込み部分一致」という名称です。

Broad Match Modifierは、”Broad Match”(部分一致)という言葉を含んでいることが示すように部分一致の発展形で、より対象範囲を絞った部分一致になります。

部分一致は登録したキーワードがまったく含まれていなくても、関連しているキーワードが検索されたときは広告が表示される場合があります。

たとえば、広告グループに “花” と “チューリップ” の部分一致キーワードがあり、”チューリップ” のキーワードを一時停止した場合、”チューリップ” は “花” という部分一致キーワードの関連語句であるため、チューリップのキーワードに対して広告が表示される場合があります。
ヘルプより引用 ~

「チューリップ」を登録していなくても「花」を部分一致として登録しておくと、「チューリップ」が検索されたときには広告が表示される時があるということですね。

Broad Match Modifierは、この関連キーワードへの反応を排除した部分一致です(以前の部分一致に近いといえば近い)。

完全一致ではないもののかなり密接に関係しているキーワードだけをBroad Match Modifierではトリガーにします。

Close variants include misspellings, singular/plural forms, abbreviations and acronyms, and stemmings (like “floor” and “flooring”). Synonyms (like “quick” and “fast”) and related searches (like “flowers” and “tulips”) aren’t considered close variants.

スペルミスや単数形・複数形、省略形(たとえば information と info かな)、頭字語(United States of America と USA とか)、語形変化(-ing のついた進行形や人・モノを表す -er など)が密接な関係の変形に含まれます。

“quick” and “fast” のようなどちらも「速い・素早い」を意味する同意語や、”flowers”と”tulips”のような関連語は含まれません。
これまでの部分一致では含まれてしまいますね。

AdWordsブログにマッチタイプの違いが図示されています。

Broad Match Modifierは「+」記号で指定します。


Broad Match Modifierの位置づけ

いちばん外側は部分一致です。
formal shoes に対しては、formal footwear や evening footwear、men’s dress wingtips のように登録キーワードが対象になります。
登録キーワードが含まれていなくても、関連するキーワードまでを対象にします。

Broad Match Modifierを1つのキーワードで指定したのが、外から2番目の範囲です。
formal +shoes に対しては、evening shoes や black dress shoes が対象になります。

shoes をBroad Match Modifierにしているので、shoes に限りなく関係していないと対象になりません。
普通の部分一致で対象になりうる footwear や wingtips を含むキーワードは対象から外されます。

ただし、完全一致とは違い厳密に shoes である必要はありません。
説明から察するに、単数形の shoe(靴は2つでペアなので普通は単数形では使わないと思いますが)やスペルミスの sheos は引っかかるかもしれません。

Broad Match Modifierを2つのキーワードで指定したのが、外から3番目の範囲です。
今度は、+formal +shoes として両方ともBroad Match Modifierにしています。
formal shoes や formal evening shoes が対象になります。
語順が逆になったり別のキーワードが間に挟まったりしてもOKですが、formal や shoes とほぼ同じキーワードが使われていなければなりません。

これ、分かりますかね?

Broad Match Modifierをテスト運用で実際に利用した広告主がもっと例を上げています。

●例1
・登録キーワード:+European vacation packages
・広告表示の可能性があるキーワード:flights to Europe, European tourist attractions
・広告表示されないキーワード:Singapore vacation deals

European(「ヨーロッパの」という形容詞)と Europe(「ヨーロッパ」とう名詞」は品詞が違いうだけで、意味することはほぼ同じですね。
一方、EuropeanとSingaporeは関連性はあっても同じ意味ではないですね。

●例2
・登録キーワード:+European vacation +packages
・広告表示の可能性があるキーワード:Europe travel package, Tour packages for Europe

さっきにプラスして packages(パッケージツアー)にとほぼ同じキーワードが入ってる場合が該当します。
単数形になっていたり、間に別のキーワードが入ったり、順番が変わるのはOKです。

●例3
・登録キーワード:+European +vacation +packages
・広告表示の可能性があるキーワード:vacation package deals for Europe, Eastern Europe vacation packages

今度は3つのキーワードすべてがBroad Match Modifierになっています。
「花」と「チューリップ」のような、近しくはないけど関係があるといえばある、そういうキーワードには反応しません。
以前の部分一致がこんな感じでしたね。

これらの例を挙げたGeorge Michie(ジョージ・ミッチー)氏は、Broad Match Modifierを使うことでCTR・CVRがともに向上したそうです。

Broad Match Modifierでより細かなキーワード入札が可能になった証拠です。

もしあなたがAdWords広告主だったら「さっそく使ってみよう」と思ったかもしれません。
しかし残念ながら、今のところカナダとイギリスのユーザーにだけにしかベータテストとして提供されていません。

日本にも導入されるのを首を長くして待ちましょう。
それまでヘルプでも読んで予習しておくといいかもしれません。

こちらも残念ながら(というか当然)、英語しか準備されていません。
日本語訳ができあがったら導入間近のしるしでしょう。

【P.S.】
今日はこの後、鷲見さんからもテスト中の新しいAdWordsの機能の紹介があります。