GoogleはAMPスパムを待ち構えていて、AMPの乱用には相応に対処する

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AMPはまだ公開されたばかりで、誤用・乱用がきっと出てくるであろうことをGoogleは予測している。今はどんな乱用が現れるかを見ている段階。不適切な実装が認められた場合には必要に応じてそれ相応に対処していく。

GoogleのGary Illyes(ゲイリー・イェーシュ)氏は、先週のGoogle Dance Tokyoの際に僕にこのように説明してくれました。

背景

まず、背景を説明します。

ECサイトの商品販売ページがAMPカルーセルに掲載

2週間ほど前に、日本でも有数のECサイトの商品販売ページがトップニュースのAMPカルーセルに掲載されていることが発見されました。

トップニュースのAMPカルーセルに掲載されたECサイトの商品ページ

現在Google検索がAMPコンテンツとして検索結果に表示するのはニュース系のコンテンツです。
Amazonや楽天市場にあるような商品販売ページではありません。
にもかかわらず、このサイトからの大量の商品販売ページがトップニュースのAMPカルーセルに次から次へと掲載されていました。

ECサイトであったとしても、AMP HTMLでマークアップしたAMP対応ページを準備すること自体はまったく問題ありません。
AMPはニュースサイトのためだけに作られた仕組みではないからです。
将来的には、ECサイトも含めてありとあらゆるコンテンツで利用してほしいとGoogle(AMPプロジェクト)は考えているはずです。

構造化データの不適切な実装に問題あり

問題は構造化データの実装です。
このサイトは、商品販売ページであるにもかかわらず、本来なら記事コンテンツで利用するべき schema.org/Article で構造化データを実装していました。

商品販売ページをArticleでマークアップ

商品販売ページには、schema.org/Article ではなく、schema.org/Product を通常は使うべきです。

このサイトの商品販売ページは、有効なAMP HTMLでマークアップし、またschema.org/Article で構造化データを実装していました。
トップニュースのAMPカルーセル掲載に求められる条件を満たしていたため、たとえ商品販売ページであったとしても、カルーセルに出てきたのです。

商品販売ページに schema.org/Article を使うのは不適切です。
この誤用がミスによるものか、それとも(AMPカルーセルに掲載させるために)意図したものかは外部の僕たちにはわかりません。

そしてなによりも、この記事の論点ではありません。
問題なのは、誤用(もしくは乱用)をGoogleが認識できなかったという点です。

ニュース系のコンテンツではなかったとしても、Article を設定しさえすればトップニュースのカルーセルに表示させることが事実上可能なのです。
そうです、AMPスパム登場の予兆です。

GoogleはAMPスパムを待ち構えている

このECサイトのAMP誤用について、Googleはどのように考えているのかを僕はGoogle Dance Tokyoのときにゲイリーに尋ねたのです。

彼の返答は、冒頭で紹介したとおりです。

Googleは、AMPの乱用が出現することを予想しているとのことでした。
どんなタイプの乱用が出現するのかを今は待ち受けている段階だとも言っていました。

乱用に対しては相応に対処するそうです。

ゲイリーは、サイトマップにおける lastmod の乱用を例にして説明してくれました。

Googlebotに早くクロールさせるために、偽りの更新日時を指定した lastmod をみだりに使っていると、Googleはやがてそのサイトのサイトマップを信用しなくなるそうです。

AMPも同様に、不正な使い方をしていれば、たとえ仕様を満たしていたとしても、AMPコンテンツとしてGoogle検索では掲載されなくなるでしょう。

ということで、みなさん、AMPスパムは絶対にやめましょう。
ウェブのエコシステムを破壊する行為です。

【追記】
念のため最後にも書きますが、例に出したサイトがAMPスパムだと非難しているわけでは決してありません。

schema.org/Article を構造化データとしてこのサイトが実装した理由は不明です。
AMPページは残っていますが、構造化データは現在は削除されています。

トップニュースのAMPカルーセルからは数日後に消えました。
Google側でそうそうに対処したのか、それとも Article を削除したことでAMPカルーセル掲載の条件を満たさなくなったためなのかもわかりません。

ECサイトでもトップニュース枠に掲載された事実があるということはAMPスパムが可能な証拠で、それを示す一例として、利用しただけです。
もし関係者の方がこの記事を読んだとしても、誤解なきよう何卒お願いいたします。

ちなみに、ECサイトであったとしても、新着商品の情報を商品販売ページとしてではなくニュース的な記事コンテンツとして公開するのであれば、schema.org/Article を実装しても問題はなさそうです。
ただし、だからといってこれも乱用しないようにご注意ください。