Google検索でAIチャットに質問するAI Modeの社内テストが始まる

[レベル: 上級]

AI チャット専用のモードを検索で提供する機能の社内テストを Google は開始したようです。

検索ページから AI とやり取りできる

AI Mode(AI モード)と呼ばれるこの機能では、Gemini のように AI (LLM) と会話形式で質問のやり取りを、検索ページ (Google のトップページ)から実行できます。
こうしたモードを Google が開発中であることが 2024 年暮れに報じられていました。

今回、社内テストに参加したという Google 社員から情報を 9to5Google が入手し、その内容を公開しています。

こちらが AI Mode のスクリーンショットです。

AI Mode

小さくて見づらいかもしれませんが、いちばん上の「All(すべて)」や「Images(画像)」、「Videos(動画)」などのカテゴリで「AI Mode」が選ばれています(いちばん左)。
All がウェブ検索で、通常は最初に選ばれていますね。

次のクエリが入力されています。

How many boxes of spaghetti should I buy to feed 6 adults and 10 children, and have enough for seconds?
(大人 6 人と子供 10 人にスパゲッティを食べさせ、おかわりも十分にできるようにするには、スパゲッティを何箱買えばいいか)

AI Mode では、ウェブから取得したコンテンツがランキング形式で順に返されるのではなく、AI が回答を生成します。
今となっては見慣れた AI チャットによる回答そのものです。

AI による回答の下には「Ask a follow up」というボックスがあります。
必要に応じてここから追加質問を入力し、会話を続けられます。

AI が回答を生成するという点では AI Overview も同じですが、会話を続けることは AI Overviewではできません。
単発です。

また、AI Mode では、AI チャットとのやり取りの下にウェブ検索結果は表示されません。
会話専用です。
代わりに、関連するウェブコンテンツのカードが右上に提供されます。

AI Mode に適しているクエリ

AI Mode は、キャプチャで使われているような、現状の検索結果では十分に提供できない、1 つの明確な回答がない探索的な質問を対象としています。
これには、アドバイスや比較を求めるクエリや、フォローアップの質問を可能にするやり取りが含まれるとのことです。

たとえば、次のようなクエリに AI Mode は適しています。

Compare wool, down, and synthetic jackets in terms of insulation, water resistance, and durability
(ウールとダウン、化繊ジャケットの断熱性・耐水性・耐久性を比較してください)

What do I need to get started with aquascaping?
(アクアスケープを始めるには何が必要ですか?)

追加質問: What are some nearby stores to buy supplies?
(近くに用品を買えるお店はありますか?)

ウェブ検索の場合、こうしたクエリでは、返されたウェブページ(あるいは画像や動画、地図など)を自分で確認して結論づけなければなりません。
AI Mode であれば、情報を整理してまとめくれます。

AI Mode の今後の進捗は不明

Google 検索での AI Mode は社内テストが始まったばかりです。
したがって、インターフェイスもちろんのこと、機能が今後変更される可能性は十分にあります。

リリース時期も不明です。
Google の親会社である Alphabet の2024 年度 第 4 四半期の決算発表から察するに、2025 年中の可能性もありそうだと 9to5Google は推測しています。

Gemini を普及させたい Google

AI Mode は、「高度な推論と思考能力」を可能にする Gemini 2.0 の「カスタムバージョン」を搭載しているとのことです。

検索といえば Google ですが、AI チャットにおいては先行した ChatGPT がその代名詞になっています。
Gemini を一般ユーザーにももっと普及させる狙いがあり、AI Mode を Google は準備しているとも言われています。

AI Mode が検索ページにあれば、ここから検索するユーザーはたしかに増えそうです。

検索結果で AI チャットと会話できるという点では、AI Overview の前進である SGE に逆戻りした印象を受けます。

フォローアップ質問できる Conversation Mode(会話モード)が SGE には提供されていました。

Search Generative Experience (SGE)

もともとは、SGE の会話モードは専用ページでの提供でした。
しかし後に、検索結果の中でシームレスにやり取りできる形態に改良されています。

検索結果の中のSGE追加スナップショット

今回テストが始まった AI Mode は原点回帰のようにも思えます。

いずれにしても、AI Mode がどんな形で一般公開されるかは不透明です。
もっと言えば、一般公開されない可能性すらあります。
新しい情報が入ったら共有します。