[対象: 中〜上級]
信頼度の高い著名なサイトからのバックリンクであったとしても、リンクの張り方によっては不自然なリンクとして判断されることがあるというのがこの記事のテーマです。
Yellowpagesからのリンクが不自然リンクの例に
オーストラリアに、Yellowpages.com.auという地域のサービスを調べるためのディレクトリサービスサイトがあります。
レストランや医者、美容院などさまざまなお店やサービス、会社をエリアやジャンルを絞って探すことができます。
日本だと、NTTのグループ会社が運営するiタウンページに相当しそうです(僕は使ったことが一度もないですけど)。
Yellowpages.com.auは、利用者も多くオーストラリアではメジャーなサイトのようです。
ところが、不自然なリンクの警告を受けたサイトがこのYellowpages.com.auからのリンクを、まだ残っている不自然なリンクの例としてGoogleに提示されてしまいました。
昔から運用され多くの人々に使われているオーソリティの高いサイトのはずなのに、そこからのリンクが不自然リンク扱いされ、途方に暮れてしまったというのが事の発端になります。
そのサイトのSEOをコンサルティングしている人物が自分のブログで状況を説明しています。
問題視されたのはリンクの張り方か
Yellowpages.com.auは、自己申請によって自分のサイトを登録することができます。
審査がありますが、基本的に、掲載する内容は自分で作ることができます。
サービスの紹介にはリンクを貼ることができ、しかもそのリンクにはnofollowが付きません。
これは、好きなアンカーテキストで好きなURLにリンクすることが可能なことを意味します。
SEOにご自由に利用してくださいと言わんばかりの仕様ですね。
しかもオーソリティの高いサイトなのでSEOを意識しているなら格好の的になってしまいます。
実際にサイト内を回ってみると、明らかにSEOで上位表示を狙っていると思われるアンカーテキストでリンクを張っているページがわらわら見つかります。
警告を受けたサイトはどうやら完全一致のキーワードでもって、Yellowpages.com.auから自サイトにリンクしていたため、それが不自然なリンクの1つとして、Googleの目に留まったようです。
意外なことに、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏がこの記事を読んでいてコメントを残しました。
(ブログ記事を書いたSEOコンサルタント:) 完全一致のキーワードを削除すれば、それで十分ということになりますか?
(Matt Cutts:)そうだね。キーワードを詰め込んだアンカーテキストを取り除くことを勧めるよ。
Yellowpages.com.auでは審査があるとはいえ、よほど問題がなければ容認されるのでしょう。
審査担当が、SEOのことや不自然リンクのことに疎ければ(おそらく疎いはず)、SEOキーワードを狙ったアンカーテキストのリンクであっても審査を素通りしそうです。
事実、サイト内を見ればそうとしか思えないページばかりです。
全体としてのリンク状況が問題になる
このケースから次のことが学べそうです。
- 個々のリンクではなく、全体としてのリンクの状況が問題になる
- 被リンク元のサイトではなく、“その”被リンクが問題になる
互いに矛盾しているように読めますが、どういうことか説明します。
たとえ被リンク元のサイトがオーソリティのあるサイトであったとしても、リンクの張り方によっては問題視されることがあり得ます。
今回の例で言えば、Yellowpages.com.auというメジャーなサイトであったとしても、上位表示を狙った完全一致のアンカーテキストが問題視されます。
実際のページは不明ですが、おそらく1つ2つではなく、上位表示させたいいくつものキーワードで自サイトのいくつものページにリンクしていたに違いありません。
一方、不正なリンクを他には集めておらず、Yellowpages.com.auに掲載したページだけがこのようだったとしたらどうでしょうか。
おそらくGoogleは問題視しなかったのではないでしょうか。
警告を受けたサイトはリンクを集めるために長期にわたって大規模に数多くの不正行為を実践していたため、そのなかの1つの企みとしてYellowpages.com.auからのリンクも“クロ”と判定されてしまったと僕は考えます。
少し話がそれますが、日本で著名なディレクトリサイトからのリンクが同じように不自然なリンクの例としてGoogleに指摘されたという情報を得ています。
僕のブログ読者ならだれでもが知っているはずの大きなディレクトリです。
そのディレクトリサービス自体は健全なものだし、決してスパムサイトではありません。
そのディレクトリサービスに登録して、自分のサイトにリンクが入っていたとしても普通は問題視されないはずです。
でも問題視されたのは、そのサイトのリンクの歴史を見て、そのディレクトリサービスからのリンクも検索結果を操作するための作為的な意図が含まれているとGoogleがみなしたからでしょう。
極論を言ってしまえば、たとえYahoo!カテゴリからのリンクであっても、あなたのサイトに張られている被リンクの歴史が劣悪なものであれば問題視されることだってあるかもしれません。
ユーザーを対象にしていない被リンクのための無料ブログや価値のない登録ディレクトリは、サイト自体が不自然リンクの源として認識されます。
でも、信頼度の高いサイトからであったとしても、全体の状況から判断して不自然なリンクとしてみなされることが今回紹介した事例でわかります。
同じサイトからのバックリンクであっても、サイトAはOKでサイトBはNGというケースもあるでしょう。
どのリンクが良くてどのリンクが悪いかをGoogleがどうやって判断するかを知ることは非常に難しそうです。
ウェブスパムチームの担当者の認識によっても変わってきそうです。
心配しなくていいリンクは、やっぱりエディトリアル・リンクのみということになるでしょうか。