サイト移転目的の301とネガティブSEO目的の301をGoogleは区別する

[レベル: 中〜上級]

同じ301リダイレクトであっても、サイト移転を目的とした301リダイレクトと第三者によるネガティブSEO目的の301リダイレクトをGoogleは区別するとのことです。

301リダイレクトはペナルティも転送する

ペナルティを受けたままのサイトを別のドメイン名のサイトへ301リダイレクトした場合は、ほぼ確実にペナルティも引き継ぎます。

このブログでずっと以前に説明したことがあるし、Web担当者Forumの連載コラムでも実証するケーススタディ何度か書きました。
ペンギンアップデートで問題視された不自然なリンクを301リダイレクトが新しいサイトにも持って行くことを、Googleの人は過去に認めています。

手動・自動にかかわらず、どうしてもペナルティを解除できない場合があります。
そんな状況で、新たに取得したドメイン名でサイトを新規に作り直して、(ペナルティを受けたままの)以前のサイトを301リダイレクトしたとします。
こうすると、被リンクや運用年数などのプラスのSEO評価も引き継ぎますが、ペナルティや不自然リンクというマイナスの評価も同時に引き継ぐのです。

つまり301リダイレクトでペナルティから逃れることはできません。

ペナルティサイトを301リダイレクトするネガティブSEOは可能か?

では、これを逆手に取って、ペナルティを受けているサイトを競合サイトに301リダイレクトしたら“負”の評価を押し付けることができるのでしょうか?
一種のネガティブSEOとしてダメージを与えることが可能なのでしょうか?

この問いに対して、GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は2月13日に開催したオフィスアワーで「できない」と答えています。

本当のドメイン移転かどうかをGoogleは区別する

ミューラー氏の説明をおおまかにまとめると次のようになります。

ペナルティなどの問題があるサイトを競合や気に入らないサイトにリダイレクトしようとする状況を過去にたくさん見てきている。

だが、アルゴリズムが検出する。
問題があるものを既存のサイトにリダイレクトしようとしていることがわかったら、複数のサイトを1つの大きなサイトに統合しようとしているのではなさそうだということを私たちは理解する。

こうしたことはときどき偶然に起こるかもしれない。

たとえば、ドメイン名の登録が失効して、そのドメインに手動対策がまだ残っているときにドメイン登録事業者が普通のランディングページにリダイレクトしたとする。
これはPageRankやほかの評価シグナルを転送しようとしているわけではなくて、単にユーザーを転送しようとしているだけだ。
こんな状況では、何の評価も私たちは転送しない。

新しいドメイン名へ移転している状況と、既存のサイトに第三者が単にリダイレクトしているだけの状況の違いを私たちは識別しようとする。

よってあなたが新しいドメイン名へサイト移転しているのなら、そのサイトがそれまでに集めてきたすべての評価を新しいドメイン名へ受け渡すのは理にかなっている。
だが別のドメイン名からリダイレクトしていて、それが実際にはサイト移転ではないとしたら異なる状況になる。

サイト管理者本人の意思によって301リダイレクトによるサイト移転が実行されているとGoogleが判断すれば、プラスもマイナスも含めてすべての評価を移転先の新しいサイトに引き継ぎます。
しかしそのサイトの管理者ではない誰かほかの人が問題があるサイトを301リダイレクトしたとしても、Googleはそれをサイト移転してみなさず、マイナス評価を転送することはないのです。

したがって、ペナルティサイトの301リダイレクトによるネガティブSEOが起きないようにGoogleは処理しているということになります。

301リダイレクトの悪用によるネガティブSEOの発生を、100%完全にGoogleは防ぎ切れているわけでもないとは思います。
それでも上手に抑えてるのではないでしょうか。

301リダイレクトでペナルティを引きずった話はよく聞きます(それどころか301リダイレクトしなくても、サイト移転だと認識すればペナルティを受け渡すことすらある)。
ですが、競合によるペナルティ転送にやられたという話を僕は聞いたことがありません(一時的に発生したことは聞いたことがある)。