[レベル: 上級]
職探しをしている人が企業の求人情報を探しやすくする機能を Google は公開しました。
オフィシャル ブログとウェブマスター向けブログで公式アナウンスが出ています。
Google for Jobs として、5月に Google が開催した Google I/O 2017 で発表されたサービスになります。
まずは、米Google (google.com) での導入です。
構造化データでマークアップすることにより、求人サイトは Google for Jobs に掲載してもらうことができます。
Google 検索で求人探し
職探しに関連するクエリだと判断した場合、求人の“エンリッチ検索結果”(後述)を通常のオーガニック結果とは別に Google は表示します。
こちらは、「teaching jobs in ny」(ニューヨークでの教える仕事)の検索結果です。
初期状態では3つの求人が表示されています。
それ以上の求人があれば、すべて多く表示させることもできます。
絞り込み & メール通知
さまざまな切り口で絞り込みができます。
教える仕事と一口に言ってもさまざまなジャンルがあります。
教育やスポーツ、医療関係、ITなどのカテゴリでフィルタをかけて絞り込めます。
ほかには、肩書や求人公開日、勤務地などのほか、フルタイムかパートタイムかのような雇用形態も選べます。
業種・職種によっては、たくさんの求人情報が毎日公開されるでしょう。
そんな場合は、メール通知が便利です。
メール通知を有効にしておくと、条件に見合った求人が公開されたときにメールで教えてくれます。
フィルタオプションは、画面の下部に見えます。
上部には、メール通知設定があります。
詳細情報
気になる求人が見つかったときはタップ/クリックすると詳細情報を見ることができます。
募集している企業・団体に対して求人サイトで付けられた評価も掲載されています。
ブラック企業じゃないことを事前に確認できます。(笑)
なお例で見せたキャプチャはモバイル検索ですが、PC 検索でも Google for Jobs は利用できます。
エンリッチ検索結果
Google for Jobs のように、1つのジャンルに特化してさまざまな情報を提供する検索結果として、エンリッチ検索結果 (Enriched Search Results) を Google は導入しました。
エンリッチ検索結果が現在サポートしているのは次の3つのジャンルです。
- 求人
- レシピ
- イベント
Job Postings の構造化データでマークアップ
求人のエンリッチ検索結果に掲載してもらうために、schema.org の JobPosting
を構造化データとして設定します。
構造化データのデベロッパーサイトで今年の2月に Job Postings らしきページの痕跡が発見されました。
このときはすぐに消滅してしまったのですが、現在は解説ページがきちんと公開されています。
自社の求人を Google for Jobs に掲載するには構造化データが必要だとして、2つの選択肢があります。
- 自社サイトでマークアップ
- 求人サイトに登録
自社サイトでマークアップ
自分のサイトで公開している求人情報を JobPosting でマークアップすれば Googlebot がクロール時にその情報を取得してくれます。
最新の情報をすばやく取得させるためにサイトマップの送信を Google は推奨しています。
ただし、技術的に正しくマークアップしたからといって無条件で掲載されるわけではありません。
Google が定めるガイドラインに準拠している必要があります。
また求人のエンリッチ検索結果のレポートを Search Console の検索アナリティクスでの近日中に公開するとのことです。
求人サイトに登録
自社サイトでのマークアップは難しいこともあるでしょう。
そんな場合は、Google と提携しているサードパーティの求人サイトに登録すれば掲載されます。
こうしたサイトは、 Applicant Tracking System (ATS) と呼ばれ、この記事を書いている時点では次の企業が所属しています。
- Careerbuilder
- Glassdoor
- Ziprecruiter
- Snagajob
- Jibe
- JazzHR
- iCIMS
- Direct Employers
- America’s Job Exchange
- Madgex
- WayUp
- myCNAjobs
- Higher Education Recruitment Consortium
- Jora
- Jobing
- Local Job Network
- Care.com
- Jobs.net
まず米国でスタート、求人企業にも求人サイトにも嬉しい?
冒頭でも触れたように、Google for Jobs はまずは米国からスタートしました。
Google I/O で、サンダー・ピチャイ CEO はグローバルでの展開を考えていると話していました。
ゆくゆくは、日本でも導入されることも予想されます。
米国では人材採用に困っている企業が半数近くにのぼっているそうですが、日本でも人材不足は共通の課題ではないでしょうか。
優秀な人材を採用したい企業にとって、Google for Jobs は助けになりそうです。
Google for Jobs には AI(人工知能)の技術も使われていて、マッチング力が非常に高いことが試験運用で明らかになったそうです。
これまでだったら出会うことがなかった企業と求職者が結ばれます。
一方、求人サイトにとって、Google for Job はどのように映るでしょうか?
脅威になるのでしょうか?
今のところ、その心配はいりません。
Google for Job は Google が独自に求人サービスを提供するわけではありません。
ウェブに公開された求人情報を統合して、エンリッチ検索結果としてユーザーに届けます。
最終的には、求人サイトへとユーザーを送り込みます。
したがって、脅威というよりも、検索トラフィックを増やしてくれる見方と言っていいでしょう。
米国での状況がどのように進むか、日本への導入まで関係者は注視していきましょう。