Google、ChromeデベロッパーツールのLighthouseによる構造化データチェック機能を改良予定

[レベル: 上級]

Chrome のデベロッパー ツールで利用できる Lighthouse の SEO 監査に含まれる構造化データの検証機能を Google は拡張する予定です。

リッチリザルト テストはリッチリザルト用構造化データだけをサポート

リッチリザルト テスト ツールが、すべてのリッチリザルトの構造化データをサポートしたことにともない、構造化データ テスト ツールの提供終了が決まりました。

しかしながら、リッチリザルト テスト(以下、RRT)は Google 検索でリッチリザルトとして使われる構造化データだけを検証対象にしています。
リッチリザルトとして使われていない構造化データに関しては、技術的な妥当性を検証できません。

一方で、廃止が決まった構造化データ テスト ツール(以下、SDTT)はリッチリザルトとして使われていようがいまいがに関係なく、構造化データが技術的に有効かどうかを検証できます。

リッチリザルトとして使われていない構造化データを検証するツールは SDTT 以外にもいくつかあります。
しかし、どれも使い勝手がいいとは言いがたいものばかりです。

慣れ親しんできた SDTT の存続を望む声が SEO 界隈には多いようです(僕も残してほしい人の 1 人)。

Lighthouse の構造化データ チェックを改良予定

RRT 以外で、構造化データをチェックする手段を Google は提供する用意があります。

1 つは Chrome のデベロッパー ツールで利用できる Lighthouse です。
Lighthouse には構造化データのバリデーション機能が付いています。

監査項目に「SEO」を含めるとレポートしてくれます。

Lighthouse の構造化データ チェック

ただし、Lighthouse の監査は構造化データが有効か有効でないかだけしかチェックできません。
具体的に何が問題なのかの詳細まではレポートしないのです。

ですが、Lighthouse の構造化データ チェック機能を改良するプロジェクトが進行中とのことです。
Google の今季のインターンが中心となって開発に従事するそうです。

Google の Martin Splitt(マーティン・スプリット)氏が Reddit でコメントしました。

There is work underway for better structured data checks in Lighthouse, but that’ll probably take a little longer. We actually have an intern working on that this intern season! I’m really excited about that!

ベンダーに依存せずにウェブデベロッパーにベストプラクティスを提供することを Lighthouse は主眼に置いています。
したがって、Google のリッチリザルトに使われる構造化データだけしか対象にしないというのは趣旨にそっていません。

現状の Lighthouse は、Google 製の SDTT と サードパーティ製の Structured Data Linter を利用して構造化データを検証しています。
改良に際してどのツールを利用するのか、あるいは独自の検証機能を持たせるのかはわかりませんが、Lighthouse で構造化データをもっと詳細に検証できる見込みが出てきたのは嬉しいニュースです。

ただ、近いうちにということではくしばらく時間がかかりそうです。
それでも、構造化データ チェック用の新たなツールとして期待が持てます。

RRT はなぜすべての構造化データをサポートしないのか?

RRT がすべての構造化データの検証をサポートしない理由について最後に触れておきます。

RRT はその名が示すように “リッチリザルト” をテストするためのツールです。
リッチリザルト は Google 検索特有の機能です。
Google 検索のリッチリザルトとして使われる構造化データだけを検証対象にすることは理にかなっています。

リッチリザルトに使われない構造化データを検証しそれが有効だったとして、「何が変わるの?」と困惑させてしまう懸念があります(僕のブログの常連読者のように詳しい人にはそんなことはないでしょうが、構造化データにそれほど詳しくないサイト管理者はとてもたくさんいるのです)。

構造化データを検証するのに、RRT と SDTT の 2 種類のツールが存在することも混乱のもとになります。
1 つにしたほうがシンプルです。
Google 側の保守も楽になるでしょう。

Google 検索だけに焦点を当てることを目的に、構造化データの検証用ツールとして RRT だけに絞ることに Google は決めたのです。