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Google 検索の 3 分の 2 はクリックされない、いわゆる “ゼロクリック検索” である
こんな衝撃的な調査データが公開されました。
この調査に対して、Google は公式ブログで反論しました。
調査方法に不備があり、さらにユーザーがどのように検索を使っているかについて誤解を招いているからです。
実際には、数十億のクリックを毎日 Google 検索は生んでいるとのことです。
事実を明確にするために Google がブログで示した内容を要点を絞ってこの記事でまとめます。
検索結果をユーザーがクリックしない理由はさまざま
たしかにすべての検索結果がクリックされるわけではありません。
しかしながら、ユーザーがクリックしないのにはさまざまな理由があります。
そうした理由を調査は無視し、「クリックなし」と一緒くたにしてしまっています。
そして、ゼロクリック検索を「悪」と決めつけています。
ユーザーがクリックしない代表的な理由を Google はいくつか説明しています。
検索し直す
検索結果をクリックせずに、もう一度検索し直すことは非常に頻繁に発生します。
たとえば [スニーカー] と検索したけれど検索結果を見て、黒のスニーカーが欲しかったと気付き、[黒のスニーカー] で検索し直すようにです。
検索結果が広範囲に渡りすぎていたり、あるいは期待していたような結果が出ていなかったときは、どの結果もクリックせずに検索し直すことは僕たちも日常的に経験しているはずです。
ですが、最終的に気に入ったスニーカーをユーザーが検索経由で見つけてある EC サイトで購入したとしたら、ゼロクリックを繰り返していたとしても、その EC サイトにとっては価値があるトラフィックを Google は送ったということになります。
事実をすばやく知りたい
天気予報やスポーツの試合結果、外国との時差など、決まりきった事実をすぐに知りたいユーザーはたくさんいます。
こうしたクエリには、Google だけではなくほかの検索エンジンも検索結果で答えを返すようにしています。
天気予報や試合結果のように提供元とライセンス契約を結んで掲載しているものもあります
クリックせずともすぐに情報が手に入るこうした検索結果は検索ユーザーの利便性を高めるものであり、非難される類のものではないはずです。
ローカル検索
店舗や会社などローカルビジネスに関する情報、たとえば所在地や営業時間、電話番号などを知りたいときはローカル ナレッジ パネルで今は完結します。
Google マイビジネスに登録すれば、ウェブサイトを持たないローカルビジネスであっても(ウェブサイトがないローカルビジネスは 1 億 2,000 万あるとのこと)、検索でユーザーと繋がることができます。
アプリへ接続
映画や TV 番組、音楽に関連する検索はウェブサイトではなくアプリに接続できます。
こうした検索は、クリックとしてカウントされずゼロクリックとしてみなされることがあります。
ゼロクリックは必ずしも悪ではない
ここまで見てきたように、クリックが発生しない検索結果の例を Google はいくつか挙げています。
これ以外にもあるでしょう。
共通して言えることは、”ゼロクリック検索” は必ずしも悪いものではないということです。
そして、ゼロクリック検索が増えているとしても、Google がウェブサイトに送る検索トラフィックはそれ以上に増えているという点です。
冒頭で触れた調査をまとめたのは SparkToro の Rand Fishkin(ランド・フィッシュキン)氏です。
ランドの名誉のために言っておきますが、彼は非常に優れたマーケターです。
僕は個人的に交流もあり、人柄的にも Nice guy なことをよく知っています。
ただ、Google に対しては絶えず批判的で対決的な姿勢を取る傾向にあります。
今回の調査も、調査方法の詳細を明らかにすることなしに、「Google はゼロクリックでウェブメディアのアクセスを奪っている」という固定観念がまず先にあり、「Google = 悪」という図式に誘導したいという意図が(無意識にせよ)あるように感じます。
ゼロクリック検索で、確かにトラフィックを奪われている事実はあります。
そうであっても、すべてのゼロクリックが悪いわけではありません。
状況によっては、検索ユーザーにもサイト管理者にも多大な恩恵を与えているゼロクリックがあることも僕たちは認識しておく必要があります。