[レベル: 上級]
Bard(バード)と名付けた、会話形 AI の検索への導入を Google は発表しました。
LaMDA(ラムダ)という名称の大規模言語モデル (LLM) を Bard はベースにしています。
Google 検索において極めた重大な革新機能のため、日本語記事も即座に公開されています。
LaMDA とは
LaMDA を簡潔に説明します。
LaMDA は、Language Model for Dialogue Applications の略です。
Google が開発した大規模言語モデル(LLM: Large Language Model) です。
LLM というのは、ざっくり言うと、非常に大量のテキストデータをもとに AI を学習させ、言語操作を実行する技術です。
言語操作とはたとえば次のようなものです。
- 意味理解
- 生成
- 要約
- 翻訳
- 校正
Google の代表的な LLM にはもう 1 つ、PaLM(パーム)というものもあります。
LaMDA は、対話型の特性を特に重視した作りになっています。
一方、PaLM は LLM 本来のもっと幅広い用途での利用を想定しています。
LaMDA の対話機能に関しては、2021 年の Google I/O でのデモを見るとイメージが湧くでしょう。
LaMDA が冥王星と紙飛行機の化身として人間と会話するシーンです。
※🇯🇵日本語字幕あり
検索に導入される LaMDA は、テキストベースのチャットになる思われますが、LaMDA 自体は音声による会話も可能です。
Google アシスタントのような感じですね。
Google 検索への導入が決まった Bard は、この LaMDA の軽量版をベースにしているとのことです。
軽量版は、簡易版と置き換えていいはずです。
LaMDA に備わっているすべての機能、能力を使ってはいないようです。
軽量版の理由を次のように Google は説明しています。
このモデル(軽量版モデル)では、必要な計算力が大幅に少ないため、より多くのユーザーに提供でき、より多くのフィードバックを得ることができます。外部からのフィードバックと内部テストを組み合わせて、Bard の回答が品質・安全性・現実世界の情報の根拠の高い基準(英語)を満たしていることを確認します。
まだ試験段階なので、性能を高めるために多くのフィードバックを得ることを重視したそうです。
対話形式で回答する Bard はアンサーエンジン
LaMDA をベースにしている Bard は、僕たちユーザーの質問に対話形式で回答します。
検索結果のオーガニック検索(や広告)とは別の場所に掲載されます。
実際の表示形態がどうなるからは明らかではありませんが、公式アナウンスはスクリーンショットを掲載しています。
こちらは PC 検索での Bard だと思われます。
次の質問に回答しています。
what new discoveries from the James Webb Space Telescope can I tell my 9 year old about?
(NASA のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による新発見について 9 歳の子供に説明するとしたら何がいい?)
こちらはモバイル検索での Bard です。
次の質問に回答しています。
Is piano or guitar easier to learn and how much practice does each need?
(ピアノとギターのどちらが覚えやすい? それぞれどのくらいの練習が必要?)
ぱっと見は、強調スニペットのようです。
違いは、強調スニペットはウェブページからの引用です。
対して、Bard は、Bard が回答を生成しています。
検索結果を返す検索エンジンではなく、回答を直接提供するアンサーエンジンです。
もっとも、Bard の回答のもとになる学習データはウェブのコンテンツも含まれています。
ソースのアトリビューションを提示するのかしないのか、提示するとしたらどのように提示するのかは不明です。
一般公開は数週間後
いつ利用できるようになるのかが気になるところです。
一般向け公開は数週間後になるようです。
現在は、内部のテストを経て、信任された外部ユーザーに限定的に公開されています。
数か月後には、さらに多くの AI 機能の導入を予定しているとのことです。
また、LaMDA をベースにした Generative Language API の提供も開発者向けに予定しています。
さらなる詳細を今夜のイベントで発表か?
日本時間の 2 月 8 日(水)22:30 から始まる Google presents : Live from Paris というイベントを Google は開催します。
ここで、Bard についてさらなる全容が明らかになると期待できます。