[レベル: 中級]
複雑なクエリの意味を解釈する能力が一段と向上したことをGoogleはInside Searchブログで発表しました。
検索ユーザーが何を知りたがっているかという検索意図をより的確に理解し、ナレッジグラフと連携して検索結果でその答えを提供します。
質問の意味、検索の意図を理解
ユーザーが検索ボックスに入力する質問の意味や検索ユーザーの検索意図を本当に理解できるようになった例をGoogleは紹介しています。
最上級の理解
「最も〜な」「いちばん〜な」という最上級の意味を理解できます。
こちらは“What are the largest cities in Texas?”(テキサス州で人口が一番多い都市はどこ?)の検索結果です。
テキサス州の都市が人口が多い順に並んでいるカルーセルが表示されます。
最も多いのはヒューストンなんですね。
単にヒューストンだけを返すのではなく、多い順に他の市も掲載している点にも注目ですね。
人口がいちばん多い都市を調べているなら、2番目、3番目も知りたいだろうという判断が働いているからでしょう。
ほかには次のようなクエリ例も紹介されています。
- “Who are the tallest Mavericks players?”(いちばん身長が高いマーベリックスの選手は?)
- “What are the largest cities in Iowa by area?”(アイオワ州で面積がいちばん大きい都市は?)
特定の時点の理解
ある特定の時点を理解できます。
こちらは、“What was the population of Singapore in 1965?”(1965年のシンガポールの人口は?)の検索結果です。
シンガポールの人口の推移をグラフで表示しつつ、1965年の数字をハイライトしています。
ほかには次のようなクエリ例も紹介されています。
- “What songs did Taylor Swift record in 2014?”(テイラー・スウィフトが2014年にレコーディングした歌は?)
- “What was the Royals roster in 2013?”(2013年のロイヤルズの登録選手は?)
組み合わさったより複雑なクエリの理解
いろいろな要素が組み合わさったさらに複雑なクエリも理解できるようになりました。
こちらは、“Who was the U.S. President when the Angels won the World Series?”(エンゼルスがワールドシリーズで優勝したときの米国大統領は誰?)の検索結果です。
ジョージ・ブッシュ氏がこの時には大統領でした。
なおこのキャプチャはモバイル検索の結果になっています。
ブログ記事ではGoogleアプリの理解能力が向上したとして書かれています。
Googleアプリに限らずPCからのGoogle検索にも共通した話なのですが、Googleアプリにフォーカスしています。
ちなみに、例で見せたモバイル検索結果は文字入力ではなく“Ok, Google”から始めた音声検索の結果です(キャプチャからではわからないですけどね)。
音声による“George W. Bish”の回答も返ってきます。
ほかには次のような複雑なクエリ例もブログ記事では紹介されています。
- “What are some of Seth Gabel’s father-in-law’s movies?”(セス・ガベルの義父の映画にはどんなものがある?)
- “What was the U.S. population when Bernie Sanders was born?”(バーニー・サンダースが生まれた時の合衆国の人口は?)
リンクではなく答えを提供する検索エンジンへ
これは“セマンティック”の観点から考えるとなかなかスゴイことです。
従来の検索エンジンでは達成できなかったことなのです。
“Who was the U.S. President when the Angels won the World Series?” であれば、「Who was the U.S. President」でこれまでの米国大統領の一覧を抽出する処理が必要です。
そもそも「U.S.」が国であることを理解できていなければなりません。
「Angeles」がロサンゼルス・エンゼルスというメジャーリーグの球団であることも知っている必要があります。
「when the Angels won the World Series」では、ワールドシリーズで優勝した球団がわかっていないとユーザーが求めている最終的な答えを提供できません。
ナレッジグラフにもとづいてナレッジカードやカルーセルによって検索結果でそのまま回答を返されていることからもわかるように、もはや「10本の青いリンク」を見せることだけがGoogleが行うことではなくなっていますね。
Googleは、ユーザーの検索意図を理解しその答えを即座に提供できるサービスに進化を遂げつつあります。
とはいえ、まだまだ改善すべき点は残されているようです。
映画に出演していた俳優の母親の名前をGoogleアプリに尋ねると、映画のなかではなく実際の母親を答えてしまうという笑い話(?)が記事では触れられています。
また英語でのクエリであって、他の言語、たとえば日本語ではまだまだ10本の青色リンクです。
試しに「タイガースが日本シリーズで優勝した時の日本の総理大臣は誰?」で検索してみてください。