[レベル: 初級]
検索結果のクリックのデータを Google はどのように利用しているのか? もっと言えば、クリックはランキングに影響を与えるのか?
長らくの間、論争に的になっているテーマです。
Search Engine Land の取材に対し Google があらためてコメントしました。
さまざまな目的で Google は検索結果のクリックデータを利用している
Google のコメントは次のとおりです。
As we’ve commented on before, we use interactions in a variety of ways, such as for personalization, evaluation purposes and training data. We have nothing new or further to share here other than what we’ve long said: having great, engaging content is the right path for success. We’d encourage site owners to focus on that big picture
これまでにもコメントしてきたように、パーソナライズや評価目的、トレーニング用データのようなさまざまな方法でユーザー行動を私たちは利用しています。
成功するための正しい道は、すばらしくて、ユーザーを引き付けるコンテンツを提供することであると私たちはずっと言ってきました。今回の質問に対しては、これ以上に詳しいことも新しいことも言えることはありません。全体像にフォーカスするようサイト所有者にはお勧めします。
※読みやすいように改行を追加
明らかになっている、クリックデータの利用目的
検索結果のクリックのデータを次の目的においては、Google はたしかに利用しています。
- 新しいアルゴリズムや機能の評価
- パーソナライズ
- トレーニング用データ
新しいアルゴリズムや機能の評価
新しいアルゴリズムの導入や新しい検索機能については、たとえば次のようなデータを取得し利用します。
- ユーザーがクリックしたかどうか
- クリックしてページに訪問した後に戻ってきたか
- 検索結果の別のページに訪問したか
- クエリを変えて再検索したか etc.
新アルゴリズムでの検索結果や新機能を導入した検索結果をごく一部のユーザーにだけ見せて(いわゆる、“Backet Test”)、どのような反応を示すかのデータを取得します。
ユーザーに支持される結果が得られれば導入に至るでしょう。
反対に、ユーザーが好まない検索結果になっていると判断すれば、導入を見送るでしょう。
また一般ユーザーではなく、契約している評価者に依頼して、現在の検索結果と新アルゴリズムの検索結果を隣同士に並べて比較し、どちらが関連性・品質が高い検索結果になっているかをスコアリングするやり方も採用されています(比較のための専用のツールがある)。
ここで重要なのは、個々のランキングを直接変更する目的では評価結果が使われないということです。
2 位の結果の方がこのクエリではクリックされるから、1 位に上げようとはなりません。
あくまでも、全体的な情報として収集し改善に役立てられます。
主に評価目的でユーザー行動を使っているということは、最近では Reddit の AMA でゲイリーが説明していました。
パーソナライズ
クリックされるページは、通常の検索結果よりも上位に掲載されることがあります。
ただしこれはそのユーザーの検索だけに影響します。
「パーソナライズ検索」とも呼ばれる機能です。
パーソナライズが与える影響は、範囲においても程度においても現在はかなり小さいようです。
それでも、パーソナライズに関して言えばクリックデータが使われていることは真実です。
トレーニング用データ
今回 Google のコメントに含まれていたトレーニング目的とは、機械学習のためのデータでしょうね。
膨大な量のデータを与え、パターンを学習させて、これまでになかったものでも予測させることができます。
未知のクエリに強いのが、機械学習を採用した RankBrain アルゴリズムですね。
RankBrain の開発・改良のためのトレーニング用データとしても、検索結果のクリックデータが用いられているのではないでしょうか。
クリックデータは検索結果に本当に直接影響していないのか?
クリックデータは評価目的では使われているのはわかるとして、直接ランキングを動かすことは本当にないのか?
いや、クリックされる結果は順位が上がるし、検索結果に直帰してくるページは順位が下がるでしょ。
検証したらそういう結果になっている。
こうした疑念は数年前から常に存在します。
Google は否定していますが、(検証データから)信じない人もいます。
Google が正しいのか、検証して確かめた人が正しいのか、この記事では論じません。
理由は、知的好奇心を満たす以外には、さほど(むしろ、まったく)意味がある議論だとは僕は思わないからです。
クリックデータをGoogleが使っていても使っていなくてもやるべきことは同じ
もし仮に、Google がクリックデータをランキングに直接反映させていたとしましょう。
あなたはどうしますか?
自分のサイトのページを検索結果で毎日クリックしますか?
誤字脱字がないかをチェックするために時間をかけて入念に記事を読みますか?
競合サイトのページをクリックして、検索結果に直帰することを繰り返しますか?
実際にこうしたことをやっている人(やらせている人)もいますが、僕たちが本当にやるべきことではありません。
検索結果でのクリック率を上げて、直帰させないために、僕たちが本当にすべきことは、
- title タグや meta description をユーザーに魅力的なものにする(title はときどき書き換えられちゃうし、description はめったに使われないですけどね)
- リッチリザルトで視覚的に目立たせる
- 表示速度を改善して離脱を防ぐ
- ユーザーが本当に求めている(以上の)情報をコンテンツとして提供する
ほかにもありますが、たとえばこうした施策です。
でもこれって、Google がクリックデータを使っていようがいまいが、まったく関係のない、必ずやるべきことです。
なので、Google がクリックデータを検索結果に直接反映させているかどうかを追求するのは、知的好奇心を満たす以外には意味がないことだと僕は言ったのです。
やるべきことを粛々と丹念に実行していく、これが SEO の基盤です。:)