Google、検索品質評価ガイドラインの最新版(2021年10月19日付)を公開。重要な変更点は何か?

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検索品質評価ガイドライン(正式名称は General Guidelines)の最新バージョンを Google は公開しました。

これまで公開されていた品質評価ガイドラインは 2020 年 10 月 14 日付の改訂版です。
2021 年 10 月 19 日付の改訂版が公開されました。

ちょうど 1 年ぶりの改訂になります。
以前のバージョンと比べると、比較的目立つ変更(追加、削除、更新)が加わっています。

Jennifer Slegg(ジェニファー・スレッグ)氏が 更新箇所をほぼ網羅した解説を The SEM Post ブログで提供しています。
この記事では、スレッグ氏の解説を参照して、特に重要でこのブログ読者も知っておいてほしいと僕が判断した変更点を紹介します。

すべての変更点をつぶさに研究したい人はスレッグ氏の元記事を参照してください。

サイトとコンテンツ作成者の情報がより一層強調される

どういったサイトなのか、どんな人がコンテンツを作ったのかといった運営者情報が今までも品質評価の大切なチェック項目でした。
改訂版の品質評価ガイドラインではより一層強調するようになりました。

たとえば “2.6.1 Research the Reputation of the Website and Creator of the Main Content”(メインコンテンツのウェブサイトと作成者の評判調査)のセクションに次の一文が追加されました。

For individual authors and content creators, biographical information articles can be a good source of reputation information.

個人の著者とコンテンツクリエイターにとって、経歴情報の記事は評判を調べるための良い情報源になりえます。

コンテンツを作った人がどんな人なのかを知るには、経歴情報の記事を見なさいと指示しています。
経歴情報の記事は自己紹介ページと置き換えていいはずです。
自己紹介ページでは、自分がどんなバックグラウンドを持っているのかを丁寧に説明し、E-A-T があることを示すことが大切です。

“7.4.1 Inadequate Information about the Website or Creator of the MC for the Purpose of the Page”(そのページの目的となるメインコンテンツのウェブサイトや作成者についての不十分な情報)は新たに追加されたセクションです。

次のような段落があります。

Providing information about who created the content and who is responsible for the content is critical to building trust with people who visit the page.

As discussed in Section 2.5.3, we expect most websites to have some information about who (e.g., what individual, company, business, foundation, etc.) is responsible for the website and who created the MC, as well as some contact information, unless there is a good reason for anonymity. As you will see in the examples below, many types of Lowest pages such as malicious downloads and scams typically have no information or fake information about who is responsible to prevent recourse by people who are harmed.

For websites with YMYL pages, such as online banks, we expect to find a lot of information about the site, including extensive customer service information. Any site that handles personal, private or data must have adequate contact information. This includes sites that ask users to create passwords, share personal information, or conduct financial transactions.

YMYL pages or websites that handle sensitive data with absolutely no information about the website or creator of the MC should be rated Lowest.

だれがコンテンツを作成したかとだれがそのコンテンツに対して責任を負っているかに関する情報を提供することは、そのページに訪問した人たちの信頼を構築するために極めて重要です。

セクション 2.5.3 で説明したように、匿名にする正当な理由がない限りは、問い合わせ情報と同様に、だれ(個人、企業、ビジネス、創設者など)がそのサイトの責任者なのかとだれがメインコンテンツを作ったのかについての情報がほとんどのウェブサイトにあるものだと人々は期待します。次に示す例でわかるように、害を与えるマルウェアや詐欺のような種類の最低品質のページの多くはたいていの場合、被害を受けた人に頼られないようにするために、誰が責任者なのかに関する情報を提供しないかもしくは偽の情報を提供します。

オンラインバンキングのような YMYL ページがあるウェブサイトでは、豊富なカスタマーサービス情報を含む、サイトに関するたくさんの情報を見付けられるのが当然だと人々は考えます。個人情報や機密情報を扱うサイトはどんなサイトであっても十分な問い合わせ情報を提供していなければなりません。ユーザーにパスワードを作るように依頼したり個人情報を提供したり金融取引を実行したりするサイトもこれには含まれます。

メインコンテンツのウェブサイトや作成者についての情報がまったくない状態で機密データを扱う YMYL サイトやウェブサイトは、最低品質に評価されます。

Think about the purpose of the page and the purpose of the website. What type of content creator or website information would people expect or demand in order to feel comfortable using the webpage? If the website or page lacks critical information about who is responsible for the content to the extent that it feels untrustworthy, it should be rated Lowest.

そのページの目的とそのウェブサイトの目的について考えてみてください。ウェブページを安心して使うために、コンテンツ作成者やウェブサイトついてどんな種類の情報を人々は期待しているでしょうか?、また求めるでしょうか? 信頼できないと感じられるほどに、そのコンテンツに対してだれが責任を負っているのかに関する重要な情報がウェブサイトやページに欠けているとしたら、最低品質として評価されるべきです。

だれの責任においてそのサイトが運営されているのかとコンテンツが提供されているのかが明確にサイト上で示されていなければ、評価者には高品質として評価してもらえません。
これが、さらに鮮明になりました。

メインコンテンツを見えにくくする広告やインタースティシャルは低品質の証

“7.4.4 Deliberately Obstructed or Obscured MC”(意図して遮られていたり見えなくされているメインコンテンツ)に相当する内容は、以前のバージョンではほかのセクションの一部でした。
改訂版の品質評価ガイドラインでは、独立したセクションになりました。

低品質だとして評価される、メインコンテンツを見えにくくする広告やインタースティシャルを今までよりも詳しく説明しています。

Pages are untrustworthy if the MC is deliberately obstructed or obscured due to Ads, SC, interstitial pages, download links or other content that is beneficial to the website owner but not necessarily the website visitor. Attempts to manipulate or coerce users away from the MC is evidence of untrustworthiness, which makes the Lowest rating appropriate.

Here are some examples of pages with deliberately obstructed or obscured MC that should be rated Lowest:

  • Ads that continue to cover the MC as the website visitor scrolls down the page. The Ads are virtually impossible
    to close without clicking on the Ad
  • Pop-ups that obscure the MC and cannot be closed without taking an action that benefits the website
  • An interstitial page that attempts to coerce a download or click that does not benefit the website visitor
  • Ads that push the MC down so far that many users would not notice the MC
  • MC in white-on-white text or MC presented so that it is difficult for a human being to read

Logins or paywalls on otherwise trustworthy sites should not be considered untrustworthy, deceptive, or  coercive. Many high quality sites such as newspapers or magazines cannot exist without monetization through subscriptions and paywalls. Some types of MC should be login protected, such as pages with personal information online banking websites or private pages on social network websites.

MC may be inaccessible for non-deliberate or non-coercive reasons, such as content that doesn’t load or content that is unavailable in a country or region. These are not reasons for Lowest.

Use your judgment to assess whether the page is designed to deceive or coerce users into taking actions that benefit the website. If you are unsure, look at other pages on the same website, conduct reputation research, etc.

Remember many websites need monetization to share content with users. The presence of Ads alone is not enough for Lowest. The important criteria for Lowest is deception, manipulation or other coercive attempts to get people to engage with monetization or Ads rather than the MC.

広告やサブコンテンツ、インタースティシャル ページ、ダウンロードリンクなど、ウェブサイトの所有者には利益があっても訪問者には必ずしも利益がないようなその他のコンテンツによって意図的にメインコンテンツが見えなくなっていたり遮られていたりしたら、そのページは信頼できません。メインコンテンツからユーザーをそらすように操ったり強要したりする試みは信頼できない証拠です。最低品質が妥当です。

メインコンテンツを意図的に見えなくしたり遮ったりしている、最低品質として評価されるべきページの例をいくつか示します。

  • ウェブサイト訪問者がページをスクロールするのに合わせてメインコンテンツを覆い続ける広告。広告をクリックしない限りは、その広告を閉じるのが実質的に不可能
  • メインコンテンツを見えなくし、ウェブサイトの利益になるアクションを実行しないと閉じられないポップアップ
  • ウェブサイト訪問者の利益にならないダウンロードやクリックを強要しようとするインタースティシャル ページ
  • 多くのユーザーがメインコンテンツに気付かないだろうと思われるほどにメインコンテンツを下に押し下げる広告
  • 白の背景に白の文字や、人間が読むのが難しいように表示しているメインコンテンツ

そのほかの点においては信頼できるサイトのログインやペイウォールは、信頼できないとか騙している、強要しているとしてみなさなくても大丈夫です。ニュース系や雑誌系のような多くの高品質サイトは、購読とペイウォールによる収益化なしでは存続できません。メインコンテンツのタイプによってはログインで保護されていることがあります。たとえば、オンラインバンキング サイトの個人情報ページやソーシャルネットワーク サイトの個人ページです。

意図的ではなかったり強要的ではなかったりする理由でメインコンテンツにアクセスできないかもしれません。たとえば、アクセスする国や地域によっては読み込めなかったり利用できなかったりするようなコンテンツです。

ウェブサイトの利益になるアクションをユーザーに起こさせるために、騙したり強要したりするようにそのページが設計されているかどうかを査定する際には自分自身の判断に従ってください。確信が持てない場合は、同じウェブサイトのほかのページを見て評判調査などを実行してください。

ユーザーにコンテンツを共有するために多くのウェブサイトが収益化を必要としていることを忘れてはいけません。広告が存在するということだけでは最低品質の十分な理由にはなりません。メインコンテンツよりも収益化や広告に人々を関わらせようとする、ごまかしたり誘導したり、そのほかの強要を強いる試みが最低品質の重要な基準です。

そのページの記事を素直に見せてくれないサイトにたまに遭遇しますね。
画面が広告だらけでスクロールするのと一緒にずっと着いくるサイトやページを表示した瞬間に画面を覆い尽くすインタースティシャル広告は非常にウザいものです。

広告自体は健全な経済活動です。
それだけでは低品質の証拠ではありません。
メインコンテンツの閲覧をジャマする広告が悪なのです。
広告に限らず、ユーザーを騙したり何らかのアクションを強制する企みは低品質サイトの要素としてみなされます。

この記事で取り上げた更新箇所はほんの一部分です。
それでも、低品質サイトとして評価者に判定されないようにするための重要な注意点が手に入ったはずです。

次の 2 点です。

  • コンテンツの作者とウェブサイトの情報を詳しく提供することが大切
  • メインコンテンツの利用をわざとジャマして、ウェブサイト側だけのメリットになるようなアクションを起こさせるサイトは最低品質に分類される

品質評価ガイドラインを読むときに絶対に知っておかなければならないことに最後に触れておきます。

品質評価ガイドラインの評価は検索ランキングには直接影響しません。
ガイドラインは、評価者が検索結果を評価する際の指針となる、いわばマニュアルです。
ガイドラインに従ってサイトやページの品質を評価者は評価します。
その評価を参考にして、検索アルゴリズムが期待どおりに機能しているかどうかを Google は査定します。
想定どおりに機能していなければ、今後のアルゴリズム改善に役立てます。

個々のページやサイトの順位を調整することが品質評価ガイドラインの目的ではありません。
検索アルゴリズムが全体として、品質を保った検索結果を提供できているかどうかを調査するために使われます。

それでも僕たちにとってガイドラインが有用なのは、高品質サイトに仕上げるためのヒントがたくさん詰まっているからです。