非公開だった検索品質評価ガイドラインの最新版をGoogleが公開

[レベル: 中級]

検索結果の品質を評価するためのガイドラインの最新版をGoogleは公開しました。
これまでのものとは変更がない部分がある一方で、新たにモバイルに関する章が加わったことが最新版の最大の特徴となっています。

General Guidelines Part 2 & Part 3

検索品質評価ガイドラインとは?

Googleは、ユーザーのクエリに対して関連性が高くかつ高品質なページを検索結果で返すことができているかどうかを、外部の評価者(Evaluator)に常に評価させています(評価者は普通に求人として募集されているらしい。日本でさえも)。

評価者による評価は検索品質の改善のために役立てられます。
直接的にランキングを調整するためには用いられません。

どのように検索結果の品質を評価するかを説明した「General Guidelines」(一般ガイドライン)というマニュアルが評価者に提供されます。
このマニュアルは原則的に評価者だけに配布されます。
一般には出回っていません。

ところがときどき流出します。
流出が表沙汰になった時にはこのブログでも何回か取り上げてきました。

Googleは、検索の仕組みを解説したサイトの「アルゴリズム」セクションで、かつて評価ガイドラインを公開したことがあります。
しかしこれは評価者が利用する本物ではなく公開用に編集されていました。

今回公開した評価ガイドラインは、評価者が実際に使用している現物になります。

評価ガイドラインの最新版の中身

最新版の評価ガイドラインは次のような章で構成されています。

  1. General Guidelines Overview
  2. Part 1: Page Quality Rating Guideline
  3. Part 2: Understanding Mobile User Needs
  4. Part 3: Needs Met Rating Guideline
  5. Part 4: Using the Evaluation Platform

General Guidelines Overview

1つ目の「General Guidelines Overview」は、評価のための全体的な概要を説明する章です。
これまでの流出版とほぼ同じです。

Part 1: Page Quality Rating Guideline

2つ目の「Part 1: Page Quality Rating Guideline」は、品質を評価する際の指針がこと細かに説明されています。
SEOに取り組む僕たちには、非常に重要な情報が詰まっています。
Googleがどのような検索結果を追求しているか、言い換えるとユーザーがどのような検索結果やページを求めているかを知ることができます。

この章をわかりやすく日本語にまとめて、以前実施したセミナー(パンダアップデート対応セミナー)で補足資料として配布しました。
せっかくなので、僕のブログ読者にもここで提供します。
3年ほど前に作ったものですが、僕が確認した限りでは内容にほぼ変更はないはずです。
安心して参考にしてください。

こちらからダウンロードできます。

YMYL &E-A-T

「Page Quality Rating Guideline」にその後追加された「YMYL」と「E-A-T」はさらに重要な情報を得ることができます。
ブログで解説したので、まだ読んでいなければぜひ読んでおくことをおすすめします。
公開された最新版でも、「YMYL」と「E-A-T」は健在です。

Part 2: Understanding Mobile User Needs & Part 3: Needs Met Rating Guideline

3つ目の「Part 2: Understanding Mobile User Needs」と4つ目の「Part 3: Needs Met Rating Guideline」はここでは飛ばします(この後で)。

Part 4: Using the Evaluation Platform

4つ目の「Part 4: Using the Evaluation Platform」は、評価用のシステムの使い方を説明する章です。
僕たちは評価者ではないので、知っておくことにさほど大きな価値はないと僕は思います。
読みたければどうぞ、ですかね。

モバイルが新たに追加

最新版で最も目を引くのは、モバイル(スマートフォン)の検索結果に関わる章が追加された点です。
「Part 2: Understanding Mobile User Needs」と「Part 3: Needs Met Rating Guideline」が該当します。

Understanding Mobile User Needs

モバイルユーザーの検索意図や場所などの要因に応じて、どのような検索結果を返すことが想定されるかをこの章は解説しています。

たとえば「天気」と検索したならば、検索ユーザーは「今いる場所の天気予報を知りたい」はずです。
同じようなクエリですが、「札幌の天気」と検索したならば、検索ユーザーは「札幌の天気予報を知りたい」はずです。

2007年に「iPhone」と検索した場合と2014年に「iPhone」で検索した場合とでは、クエリは同一でも返すべきページが変わってきます。

これらはのほんの一例で、モバイルユーザーの要求を満たす検索結果がたくさんの事例とともに評価ガイドラインの最新版では説明さてれいます。

僕が面白いと感じたのは、ウェブページの表示だけではなく、音声検索によるアクションも取り上げてることです。

「Call to John」や「Open Facebook」という音声コマンドも評価対象になります。
Googleアプリで実行すると、前者のコマンドはJohnに電話をかけられるし、後者はFacebookアプリが開きます。

ちなみに、日本語でも機能します。
「田中に電話」や「Gmailを開く」でアクションを実行してくれます。

Needs Met Rating Guideline

この章では、モバイルの検索結果がユーザーのニーズを満たしているかどうかを5段階で評価します。

  1. Fully Meets (FullyM)
  2. Highly Meets (HM)
  3. Moderately Meets (MM)
  4. Slightly Meets (SM)
  5. Fails to Meet (FailsM)

Fully Meets (FullyM) は特別な状況においてのみ適用される評価です。
見た瞬間に求めていた情報が手に入り、ほかの検索結果を見る必要がありません。

「トム・クルーズの身長」と検索すると「170cm」というナレッジカードが出てきます。
これでユーザーの検索行動は完結します。

「トム・クルーズの身長」のモバイル検索結果

以降の評価は次のようになります。

  • Highly Meets (HM): 多くのユーザーに非常に役に立つ
  • Moderately Meets (MM): 役に立つユーザーもいるだろうけれどなかには役に立たないユーザーもいる
  • Slightly Meets (SM): ほとんどのユーザーには役に立たない
  • Fails to Meet (FailsM): ぜんぜんダメ

Part 2 と Part 3 は僕もまだ詳細には読んでいません。
モバイルユーザーの検索の種類や検索の意図、そしてそれに対してGoogleがどんな検索結果を返そうと取り組んでいるのかを探ることに役立ちそうです。
興味深い発見があればこのブログでシェアします。

検索品質評価ガイドラインの最新版はこのリンクからダウンロードできます。

僕が触れた、過去の検索品質評価ガイドラインに関してはこちらのカテゴリを参照してください。