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ローカル検索に “neural matching”(ニューラル マッチング)を 11 月初旬に取り入れたことを、Google 検索の広報アカウントである Google SearchLiaison が Twitter で発表しました。
In early November, we began making use of neural matching as part of the process of generating local search results. Neural matching allows us to better understand how words are related to concepts, as explained more here: https://t.co/ShQm7g9CvN
— Google SearchLiaison (@searchliaison) December 2, 2019
“November 2019 Local Search Update” と名付けています。
Neural matching in local search — which we call the Nov. 2019 Local Search Update — has now fully rolled out. However, as with web search, results can change as there are smaller updates that happen all the time, as well as content itself that constantly changes…
— Google SearchLiaison (@searchliaison) December 2, 2019
ニューラルマッチングをローカル検索にも適用
「ニューラル マッチング」もしくは「ニューラル ネットワーク」は、簡単に言うと、言葉そのものではなくその言葉の背後にある意図・意味・概念を理解する人工知能的な機能です。
ウェブ検索では 2018 年からすでにニューラル マッチングが導入されています。
創設 20 年時に公開したブログ記事で、Google はニューラルマッチングの検索への導入について次のように説明しています。
こうした変化はそれぞれ AI の進歩によって支えられています。Google が創業した当時には不可能だった水準にまで、AI の進化は言葉の理解を可能にしています。これはとてもエキサイティングなことです。20 年以上前、私が学生時代に触れたニューラルネットワークはまったく使えたものではありませんでした。
そして今、私たちはニューラルネットワークが「単語の理解」から「概念の理解」を可能にする、大きな飛躍の局面を迎えています。ニューラルネットワークの分野で開発された neural embedding と呼ばれる手法は、言葉をより曖昧な、根本的な概念へと変換することで、検索クエリの概念と文書の概念を対応づけることができます。私たちはこの手法を「ニューラル マッチング」と呼んでいます。これにより、たとえばユーザーが「テレビが変なんだけどなぜ?」といったような質問をした場合、質問の単語がページに含まれていなくても、対象となるページを表示することができるようになります。 (なお、テレビの写りが変な理由としてソープオペラ効果という現象が挙げられます)。
ウェブ検索へのニューラルマッチング導入は、30 %のクエリに影響を与えたとのことでした。
このニューラルマッチングをローカル検索にも Google は採用したのです。
すでに展開は完了しています。
ニューラルマッチングが適用されたローカル検索とは
ニューラルマッチングが適用されるローカル検索とは、たとえばローカルリスティングのような地図結果です。
説明したようにウェブ検索結果ではニューラルマッチングは導入済みです。
それ以外のローカル系の検索結果に関わる部分にもニューラルマッチングが現在は使われるようになりました。
グローバル展開
ローカル検索のニューラルマッチング採用は、グローバルでの導入です。
世界中の国と言語が対象です。
日本も当然含まれているでしょう。
For those who have asked (and thanks for the good question), this was a global launch covering countries and languages worldwide.
— Google SearchLiaison (@searchliaison) December 2, 2019
BERT や RankBrain、ハミングバードとは異なる
人工知能や機械学習を利用して言葉の意味を理解するというと、最近では BERT(バート)。 が導入されました。
少し遡ると、RankBrain(ランクブレイン) や Humming Bird(ハミングバード)といったアルゴリズムが導入されています。
重なる部分はあるかもしれませんが、それぞれ異なる役割を担っています。
- ニューラルマッチング: (クエリに含まれる)単語と概念の関連付け
- RankBrain: ページ(のコンテンツ)と概念の関連付け
- Humming Bird: すべての単語を考慮したクエリの理解
- BERT: 自然言語の理解 ※日本語のウェブ検索では未導入
※僕自身も 100% 理解しているわけではないので、この分野に詳しい方がいたらもっと適切に説明してください。
ローカル検索のニューラルマッチングはクエリの理解にもページのコンテンツの理解にも関わってくるとのことです。
Yes, though it helps with understanding both queries and content
— Danny Sullivan (@dannysullivan) December 2, 2019
スパム対策ではない
結果としてスパムを排除することにつながるかもしれませんが、ニューラルマッチングの導入はローカル検索のスパム対策を目的としたものではありません。
クエリとコンテンツをより適切に理解し、ローカル検索結果の品質を高めることを目的としています。
It's not spam-specfic. It's about better understanding overall. But potentially that may help with spam, especially of that type and generally maybe helping businesses not feel pressure they have to shove every keyword into their name.
— Danny Sullivan (@dannysullivan) December 2, 2019
特別な対策は不要
ニューラルマッチングほか、BERT や RankBrain などさまざまな技術で言葉の理解力を Google は高めています。
どれにもあてまはることですが、特別な対応は不要です。
ユーザーの検索意図にそったコンテンツを提供していくことは今までとまったく変わりません。
“ニューラルマッチングに対応した MEO” なんていうサービスが仮に出てきたとしてもさらっとスルーしましょう。
Google が公開しているローカル検索の最適化を確実に実行することが今後も最重要です。