Google、2023年9月のヘルプフルコンテンツアップデートを実施。寄生サイト対策を強化

[レベル: 中級]

Google は、Helpful Content System(ヘルプフル コンテンツ システム)のアップデートを 9 月 14 日(太平洋時間)に実施しました。
検索セントラルの X 公式アカウントがアナウンスしています。

2023 年 9 月のヘルプフル コンテンツ アップデートは、改善された分類器とともに展開しています。配信完了までには約 2 週間かかる見込みです。配信が完了した際は、ランキングリリース履歴ページを更新します: https://status.search.google.com/products/rGHU1u87FJnkP6W2GwMi/history

ヘルプフル コンテンツ システムは、ユーザーの役に本当にたつコンテンツを上位表示し、検索エンジンの上位表示を主な目的として作成されたコンテンツの評価を下げるランキングシステムです。
2022 年 8 月に英語コンテンツを対象に導入されました。
同年 12 月にアップデートが実施され、日本語を含む全言語が対象になってています。

ドキュメントの更新

アップデートのタイミングで、ヘルプフル コンテンツ システムを解説するドキュメントに更新が入りました。
📝すずき注:この記事を書いている時点では日本語ドキュメントは未更新

寄生サイト対策

まったく無関係のサイトのサブドメインやサブディレクトリを間借りして、第三者がアフィリエイトを展開する、蔑称「寄生サイト」に関する言及が追加されました。

If you host third-party content on your main site or in your subdomains, understand that such content may be included in site-wide signals we generate, such as the helpfulness of content. For this reason, if that content is largely independent of the main site’s purpose or produced without close supervision or the involvement of the primary site, we recommend that it should be blocked from being indexed by Google.

メインサイトやサブドメインで第三者のコンテンツをホスティングしている場合、そのようなコンテンツは、コンテンツの有用性など、サイト全体のシグナルとして含まれる可能性があります。そのため、第三者コンテンツがメインサイトの目的と大きく無関係で、またはメインサイトからの緊密な監督や関与なしに作成されている場合は、Google によるインデックスから除外することをお勧めします。

ヘルプフル コンテンツ システムは、ページ単体ではなくサイト全体でコンテンツの有用性を評価するランキングシステムです。
寄生サイトのコンテンツに問題がある場合はそれがサイトの一部分だったとしても、本サイトにも悪影響を及ぼすことがあると注意喚起しています。

これに関して、Gary Illyes(ゲイリー・イリース)氏は LinkedIn で次のようにコメントしました。

一部のサイトが、サブドメインや場合によってはサブディレクトリをサードパーティに「貸し出して」いることが判明しました。これらの新しいマイクロサイトは、通常、親サイトとは何の関係もなく、低品質なコンテンツが掲載されており、親サイトからのリンクはほとんどありません。親サイトは、これらの疑わしいマイクロサイトを推奨したいわけではないのです。これらの怪しげなマイクロサイトの所有者がサブスペースを借りる唯一の理由は、検索結果を操作することです。

この件についてお知らせくださった皆様、多くの例をお送りくださった皆様、ブログに書いてくださった皆様、本当にありがとうございます。たいへん助かりました。

サイトのサブスペースを第三者に貸し出し、コンテンツを監督していない皆様にお願いします。

「メインサイトまたはサブドメインでサードパーティのコンテンツをホストしている場合は、そのコンテンツがサイト全体のシグナル(コンテンツの有用性など)に含まれる可能性があることを理解してください。そのため、そのコンテンツがメインサイトの目的から大きく逸脱しているか、厳密な監督やメインサイトの関与なしに作成されている場合は、Googleによるインデックス登録をブロックすることをお勧めします。」

寄生サイトに対しては、Google も認識して対応してきましたが不完全でした。
今回のアップデートでどのくらいの成果が出ているか注目しましょう。
📝すずきからのお願い:今週参加する Pubcon でゲイリーに会ってきます。寄生サイトの順位が下がっているとか、まだ残っているとかなど最新の情報をお持ちでしたら教えてください。直接フィードバックしてコメントをもらってきます。X またはフォーム経由でお聞かせください🙇

【UPDATE (2023/09/20)】
寄生サイトに関する警告は純粋な警告であって、ヘルプフル コンテンツ システムに、寄生サイトの順位を下げるシグナルが加わったわけではないとのことです。
ゲイリーがはっきりと言っていました。
将来的には、ヘルプフル コンテンツ システムのシグナルに組み込むつもりではあるけど、現時点ではまた組み込まれていません。

影響を受けた際の対処

ヘルプフル コンテンツ システムに影響を受けたときの対処の説明が追加されました。

有用なコンテンツを作成している場合は、特に何もする必要はありません。実際、このシステムは有用なコンテンツを評価するように設計されているため、サイトにメリットがある可能性があります。

このシステムに関連していると思われるトラフィックの変化に気付いた場合は(たとえば、システムへのランキング更新が公開された後など)、コンテンツを自己評価し、役に立たないと思われるものは修正または削除してください。有用で信頼できる人向けのコンテンツを作成する方法に関するヘルプページには、コンテンツを自己評価し、ヘルプフル コンテンツ システムで成功するための質問が記載されています。

自然な疑問として、有用でないコンテンツを削除した場合に、サイトの掲載順位の改善までにどれほど時間がかかるのか、気になる方も多いでしょう。このシステムによって識別されるサイトでは、数か月にわたってシグナルが適用される場合があります。Google の分類器は継続的に実行され、新たにリリースされたサイトと既存のサイトを監視します。有用でないコンテンツが長い間返されていないと判断されると、分類は適用されなくなります。

Google は定期的に、分類器で有用でないコンテンツを検出する仕組みを見直しています。重要な変更については、Google 検索のランキングの更新に関するページで「ヘルプフル コンテンツ アップデート」として共有しています。このようなアップデートのロールアウトが終了した後、見直された分類器によってコンテンツの改善が確認されると、以前の分類器による有用でない分類は適用されなくなる可能性があります。

📝すずき補足:1・2 段落目が追加。3・4 段落は前からある

ものすごく有用というわけではないようにも思いますが、影響を受けたときは参考にしてください。

コンテンツ削除と日付変更について

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成を解説するドキュメントの「検索エンジンを第一に考えたコンテンツ作成を回避する」セクションに次の 2 項目が加わりました。

  • コンテンツが大幅に変更されていないのに、ページの日付を変更して新しく見せていますか?
  • 検索順位全体を向上させるために、サイトを「新鮮」に見せかけるために、多くの新しいコンテンツを追加したり、古いコンテンツを大量に削除したりしていませんか? (そのようなことはありません)

中身を更新していないのに日付を変えて新しいコンテンツに見せかけるトリックを実行している人がいます。
また、古いコンテンツを削除すればサイトが常にフレッシュだと認識され Google の評価が上がると信じている人もいます。

こうした行為は、ユーザーを見ておらず検索エンジンを向いたごまかしです。
ヘルプフル コンテンツ システムが目指すものに反しています。
実行すべきでない行為として明記されました。

「人間が作成した」を削除

ヘルプフル コンテンツ システムを解説するドキュメントは次の段落で始まります。

Google 検索のヘルプフル コンテンツ システムでは、シグナルが生成され、自動ランキング システムで使用されます。これにより、人間が人間のために作成した独自性のある有用なコンテンツが検索結果に表示されやすくなります。このページでは、ヘルプフル コンテンツ システムの仕組みと、コンテンツの評価・改善の方法について説明します。

強調した部分が削除されました(日本ドキュメントは未更新)。

つまり、ユーザーのために作成した独自で役立つコンテンツであれば、人間が作ったかどうかは問わないということです。
明らかに、AI 生成コンテンツの普及を意識した変更です。
AI が作ったか人間が作ったかどうかは問題ではなく、有用かどうかが判断基準です(とはいえ、AI丸投げで人間の手がまったく入っていないコンテンツが本当に有用かどうかは、少なくとも現状では疑問ですが)。

この記事で紹介した以外にも小さな更新がいくつかドキュメントには入っています。
更新日が 9 月 14 日以降になっていれば新しくなった証拠です(この記事を書いている時点の更新日は 7 月 31 日)。
更新されたことを確認できたら、一読しておきましょう。

と同時に、管理サイトのランキングに目立つ変化が起きていているかどうかも確認しましょう。
良い変化が起きていれば正しい SEO をやれている証です。
逆に、悪い変化が起きていたらドキュメントを見返して対処に取り組んでください。

【UPDATE (2023/9/29)】
2023 年 9 月 28 日(太平洋時間)の時点で展開は完了しています。