[レベル: 中級]
Google 検索結果を生成するプロセスで JavaScript の実行が要求されるようになりました。
結果として、ランキングチェックツールのなかには正常に機能しなくなるものが出ています。
異常なデータを示すランキングチェックツール
2025 年 1 月 11 日頃から普段には見られない特異なデータを示すランキングチェックツールが頻出しています。
どのツールも順位変動が普段よりもかなり穏やかな状態を示しています。
なかには、明らかに計測に異常を期待していたり計測不能になったりするツールもでていたようです。
原因は Google 検索の JavaScript
ランキングチェックツールが正常に機能しなくなった理由は、Google 検索が JavaScript の実行を必要とするようになった仕様変更です。
JavaScript が無効な状態で検索を実行するとエラーページが返されます。
検索を続行するには、JavaScript を有効にしてしてください
このように要求されます。
検索で JavaScript が必要になった仕様変更に関して、Google は TechCrunch に次のコメントを提供しています。
the change is intended to “better protect” Google Search against malicious activity, such as bots and spam, and to improve the overall Google Search experience for users.
without JavaScript, many Google Search features won’t work properly and that the quality of search results tends to be degraded.
Enabling JavaScript allows us to better protect our services and users from bots and evolving forms of abuse and spam, and to provide the most relevant and up-to-date information.
順に日本語訳します。
この変更は、ボットやスパムなどの悪意のある行為から Google 検索を「より適切に保護」し、ユーザーの全体的な Google 検索体験を向上させることを目的としています。
JavaScript がないと、多くの Google 検索機能が正しく動作せず、検索結果の品質が低下する傾向があります。
JavaScript を有効にすることで、ボットや進化する形態の悪用やスパムからサービスとユーザーをより適切に保護し、最も関連性の高い最新の情報を提供することができます。
Google 検索に自動生成クエリを送信する機械生成トラフィックをスパムポリシーおよび利用規約に違反するとして Google は明確に禁止しています。
ランキングチェックツールを含む自動生成と判断されるトラフィックに対して Google はそれなりに対処しているものの、多くの自動化ツール、いわゆるボットが稼働しているのが実情です。
しかしながら、こうしたボットにさらに厳格に対処するために JavaScript を要求するようになりました。
多くのボットは JavaScript を実行できないからです。
実行できたとしても、Google 検索で必要とされる処理を実行できなかったツールもあったようです（もっとも、すでに対応を完了させたツールもあるようなので、効果は限定的にも思われますが）。
JS 有効化でも人間のユーザーへの影響は微小
JavaScript の有効化が検索で必要になっても人間のユーザーに与える影響は微小とのことです。
Google は次のように TechCruch に説明しています。
on average, “fewer than .1%” of searches on Google are done by people who disable JavaScript.
平均して、Google での検索の「0.1%未満」が JavaScript を無効にしているユーザーによって行われています。
約 85 億の検索が毎日行われているとも言われる Google 検索では、たとえ 0.1% でも膨大な数です。
それでも、全体からみれば影響は無視できる程度なのでしょう。
ということで、Google 検索で必要とされる JavaScript を実行できないランキングチェックツールは機能しなくなりました。