[対象: 中級]
Googleトレンドを使ってトピックやエンティティを検索する機能をGoogleは公開しました。
改良されたGoogleトレンドは特定の人や場所、モノゴトを区別でき、自分が本当に知りたいトピックについての検索動向を調べやすくなります。
エンティティを理解し区別する
たとえば、“rice”は複数の意味を持ちます。
例を挙げると、ご飯・お米のように穀物としての“rice”と、「Rice University」(ライス大学)という組織を表す“rice”です。
従来のGoogleトレンドでは両者を区別できませんでした。
“rice”を文字列としてしか認識できなかったからです。
改良されたGoogleトレンドでは、お米のriceと大学のriceを区別して、検索動向をリサーチできます。
お米を意味するriceと大学を意味するriceの違いがわかるのです。
僕たち日本人にとって、もっとわかりすいを見せましょう。
下は「JFK」で検索したときに出てくるキーワード候補です。
空港(場所)としてのJFK、映画(モノ)としてのJFK、そして大統領(人物)としてのJFKがサジェストされています。
文字列としてはどれも同じJFKです。
しかし別々のエンティティです。
キャロライン・ケネディ駐日大使の父親は、人物としてのJFKであって、空港や映画としてのJFKではありませんね。
JFKとLAX(ロサンゼルス国際空港)をGoogleトレンドで比較すると、従来は、すべてのJFKとすべてのLAXの比較になりました(“LAX”も複数の意味を持ちます)。
しかし今は、空港としてのJFKとLAXだけの検索動向を比較できます。
ここで注意したいのは、「John F. Kennedy International Airport」の文字列で検索した結果ではないということです。
(空港としての)「JFK」を含んだ「John F. Kennedy International Airport」を意味するすべての検索が対象になります。
つまり、文字列の検索データではなく、エンティティ/トピックとしての検索データをもとにしてトレンドを表示します。
複数の文字列が与えられたエンティティを束ねる
JFKという文字列が複数のエンティティを意味するのに対し、1つのエンティティが複数の名前(文字列)を持つこともあります。
改良されたGoogleトレンドは、これを束ねることもできるのです。
米国の人気女優「Gweneth Paltrow」(グウィネス・パルトロー)を公式アナウンスは例に挙げています。
改良されたGoogleトレンドは、「Gweneth Paltrow」と「Gwen Paltro」を同一人物、すなわち1つのエンティティとして認識できます。
したがって「Gweneth Paltrow」の結果は「Gwen Paltro」の検索データを含みます。
ともすると、「Lead actress in Iron Man」(アイアンマンの主演女優)という検索データも含むかもしれません。
このほか、同じエンティティに対しては、ありがちなミススペルや他の言語での検索データが含まれることもあります。
今後の展開
エンティティとトピックを識別できるGoogleトレンドはベータ版として提供されています。
現在は70万以上のトピックを識別可能です。
世界中でのトレンドを調べられるほか、米国とブラジル、フランス、ドイツ、インド、イタリア、英国の7カ国に限定して調べることができます。
残念なことに、日本語インターフェイスで使えますが、日本語の検索には対応していません(データとしては含んでいるかもしれません ⇒ 【UPDATE】含んでいるようです)。
トピックの数とサポートする国を増やしていくとのことです。
Googleトレンドにもセマンティックが入り込んできましたね。
一般ユーザーの視点では「便利になったね」で終わりますが、僕たちSEOに取り組む人間からするとGoogleの動きを知ることができる大きな変革です。
ナレッジグラフの提供に始まり、schema.orgの利用拡大、ハミングバードの導入と、Googleの“Strings to Things”への移行は着々と進行しています。