Google、スパムレポートの利用方法を変更。検索アルゴリズム改善のみに利用、手動対策には利用せず

[レベル: 中級]

Google の検索結果でスパムサイトを発見した場合は、スパムレポートから通報できます。
このスパムレポートの Google 内部での使い方に関する説明を Google は明確化しました。

ユーザーから送信されたスパムレポートは手動による対策のためには利用しません。
スパム検出のためのアルゴリズム改善のみを目的として利用します。

ガイドラインを更新

スパムレポートによってスパムサイトが報告された際には、Google のスパムチームの人間が調査したうえで、多くは手動による対策で処理されていました。
しかしながら、スパムレポートに起因する手動による対策は、全体のごく一部です。

実際には、手動による対策の大半はスパムチームの日常的な作業により実行されています。
スパムレポートは、手動による対策についてはさほど大きな役割を担っていません。

この点を明確にするために、品質に関するガイドラインでのスパムレポートに関する説明を Google は更新しました。

▼更新前

Google の品質に関するガイドラインに準拠していないと思われるサイトを見つけた場合は、スパム報告で Google にお知らせください。個別の不正行為対策を最小限に抑えられるよう、Google では拡張可能で自動化された解決方法の開発に努めています。

Google では、すべての報告に対して手動による対策を講じるとは限りませんが、ユーザーへの影響度に応じて各スパム報告に優先度を設定し、場合によってはスパムサイトを Google の検索結果から完全に削除することがあります。

ただし、手動による対策を講じた場合には必ずサイトを削除する、というわけではありません。また、報告を受けたサイトに対して Google で対策を講じた場合でも、その効果があったかどうかが明確にならないこともあります。

※読みやすくなるように改行を入れてあります

▼更新後

Google の品質に関するガイドラインに準拠していないと思われるサイトを見つけた場合は、スパムレポートで Google にお知らせください。Google では拡張可能で自動化された解決方法の開発に努めており、ご提出いただいたレポートは、スパム検出システムの改善に役立たせていただきます。

手動による対策に関係する記述(2 段落目、3 段落目)がごっそり削除されています。

スパム、有料リンク、マルウェアを報告する』のヘルプ記事にも更新が入っています。

▼更新前

スパム
スパム サイトがあった場合はご報告ください。Google ではスパムを非常に悪質なものと考えており、ご報告のあったサイトについては調査を行います。この報告は Google の Webspam チームに直接送信され、拡張性のあるスパム対策ソリューションの開発に役立てられます。

▼更新後

スパム
スパム サイトがあった場合はご報告ください。Google では拡張可能で自動化された解決方法の開発に努めており、ご提出いただいたレポートは、スパム検出システムの改善に役立たせていただきます。

(スパムチームのひとが)調査しますよという記述がなくなっています。

スパムレポートはアルゴリズム改善にのみ利用

現状では、アルゴリズムの改善のためだけにスパムレポートを Google は利用します。
手動による対策のきっかけとしては用いません。

主な理由は次の 2 つです。

  • 手動による対策の大部分は、スパムレポートに頼らずにウェブスパムチームが定期的な監視によって発見し実施しているから
  • アルゴリズムによって自動化したほうが大規模に対策できるから

アルゴリズムがすべてのスパムを完璧に検出し対応できるのが理想です。
ですが、実際問題として難しいことです。
スパムレポートによる報告は、アルゴリズムが見抜けなかったスパムを分析し対策するための貴重なデータとして役立てられます。
手動による対策としては利用されなくなったとしても、Google にとっては貴重な情報源であることに変わりはありません。

検索結果でスパムを発見したときには、Google に通報している人も少なからずいることでしょう。
通報しても検索結果に残ったままだからスパムレポートには意味がないと憤慨することはありません。
手動での削除のように即効性はないかもしれません。それでも、アルゴリズムの改善には確実に役立っています。
そのスパムサイトも含めて、同じような手法を使っているスパムサイトが包括的に検索結果に出なくなるようなアルゴリズム改良につながっているのです。

Google からの公式アナウンスはこちらです。
日本語訳記事ももう出ています。