Google News Showcase が日本でも近々開始か?

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NHK が報じるところによると、日本の複数の報道機関と Google が、Google News Showcase(グーグル ニュース ショーケース)のサービスを日本で開始することで合意したとのことです。

News Showcase とは

News Showcase とは、Google ニュースで配信する記事をパブリッシャーが自分たちで選択できる機能です。
Google はパブリッシャーに対価を支払います。

通常、Google ニュースに掲載される記事は Google が自動で取得します。
これに対して、News Showcase では、読者に届けたい記事をパブリッシャーが独自の視点でキュレートします。

こちらは、Financial Times が選んだ記事が掲載された News Showcase です。
新型コロナウイルスに関する記事だけを Financial Times はこの例では集めています。

Google News Showcase

News Showcase には、提携しているパブリッシャーのキュレーション記事がカルーセル形式で掲載されます。

Financial Times は新型コロナの記事だけを選んでいましたが、その日の朝あるいは夕方のヘッドラインニュースを選んでいるパブリッシャーも見えます。
どんな記事を選ぶかは、パブリッシャー次第です。

Google は対価を支払う

News Showcase に掲載するパブリッシャーに対して Google は、契約を結んで毎月対価を支払います。

Google ニュースは Google が記事を(勝手に)掲載します。
ユーザーが無料で Google ニュースを利用できるので、パブリッシャーに直接の収益は生まれません。
しかしながら、News Showcase に対しては 掲載料を Google が支払ってくれるのです。

また、無料記事だけではなく有料記事をパブリッシャーは Showcase に含めることもできます。
購読者を増やす機会も増やせます。

パブリッシャーにとっては、News Showcase はメリットが多いサービスと言えるでしょす。

News Showcase を Google が開始した背景

News Showcase の提供を Google が始めた背景についてごく簡単に触れておきます。

特に EU 加盟国を中心に、Google に対する風当たりが強くなっています。
Google が市場を独占することにより、地域の企業の収益(=国の税収)が脅かされているからです。
Google 検索に掲載するメディアにお金を支払うように多くの国が要求するようになってきました。

極端な例でいうと、オーストラリア政府は、報道機関の記事を表示する際には使用料を支払うようにする法案を成立させようとしています。
この動きに対して Google は、オーストラリアからの検索サービスの撤退も辞さない構えでした。

パブリッシャーとしては、Google によって収益が低下するとはいえ、検索結果に掲載されなくなってしまえば Google からのトラフィックを完全に失います。
これはこれで、収益が減る原因になります。

一方 Google としては、パブリッシャーと仲良くやっていくことが重要です。
世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにするという使命を達成するにはニュース記事の取得は必要不可欠です。

このほかにもさまざまな理由がありますが、パブリッシャーと Google の双方にとって有効な解決策(の 1つ)として生まれたのが Google News Showcase です。

Showcase が提供されている国

この記事を公開している時点で、News Showcase が提供されている国は次のとおりです。

  • ドイツ
  • ブラジル
  • アルゼンチン
  • イギリス
  • オーストラリア

ここに日本が近い将来に加わることになりそうです。
Google と合意した報道機関の名前は具体的には明かされていないとことです。

ニュース アプリと Discover で News Showcase は利用できます。

Google News Showcase の日本での提供開始は SEO とは直接関係のないトピックでしたが、僕たちコンテンツ発行者も知っておくべきニュースだと判断したので今日は取り上げました。