[レベル: 上級]
「Multitask Unified Model」、略して「MUM」という新しい検索技術の開発に Google は取り組んでいます。
MUM は、検索ユーザーが必要とするであろう情報をより多く、より適切に提供する仕組みです。
何が必要かを判断する MUM
たとえば、アダムズ山に登山したことがある人が、次の秋に富士山に挑戦しようと決めて検索で情報を集めるとします。
その人は、アダムズ山のときと比べて次のような情報を探すかもしれません。
- 標高
- 秋の平均気温
- 登山コースの難易度
- 適切な装備
こうした情報を得るために検索者は検索を何度も繰り返さなければならないでしょう。
しかし、MUM では必要だと思われる情報をすべて提供してくれます。
次のように検索ボックスに打ち込んだとします。
I’ve hiked Mt. Admas and I now want to hike Mt. Fuji next fall, what should I do differently to prepare?
アダムズ山に登山したことがあって、次の秋に富士山に登山したい。前とは違って何を準備すべきか?
このクエリの意味と検索者の意図、さらにはアダムズ山と富士山とは何か、登山とはどういったものなのかなどを MUM は理解し、次のような情報も提供するかもしれません。
- その地帯に登るための体力づくり
- 秋の天候に適した装備
- 吉田ルートがいちばん難易度が低いコース
- 富士山の公式の開山期間は 7 月 〜 9 月
- 登山病にかかるかもしれない
MUM は画像も理解
MUM が理解するのは文字情報だけではありません。
画像も理解します。
アダムズ山を登るときに履いた登山ブーツを見せて、富士山登山でも使えるかを尋ねると回答してくれます。
さらには、富士山登山におすすめの装備をまとめたブログ記事もあわせて紹介してくれるかもしれません。
将来的には、動画や音声も理解できるように取り組んでいます。
言語の壁も MUM は克服
富士山登山に関連する情報は圧倒的に日本語で書かれたものが多いはずです。
MUM は検索ユーザーが利用する言語に情報を訳してくれます。
BERT の 1000 倍強力な MUM
気付いているかと思いますが、当然のことながら MUM は AI(人工知能)の基盤の上に成り立っています。
Google によれば、BERT の 1,000 倍強力だそうです。
MUM は 75 の言語でトレーングされ、言語を理解するだけではなく言語を作り出すことも可能です。
MUM はこれからの導入
MUM はまだ検索には導入されていません。
今後、数か月、数年ののちに導入が進められます。
MUM が検索にどんな変化をもたらすか楽しみです。
「MUM 対策 SEO」が間違いなく今後数か月は湧いて出てくるでしょうが(笑)、僕たちがやるべきことはかわりません。
ユーザーが求めている(以上の!)情報を提供するだけです。
MUM によって Google の理解力が高まるのであれば、検索エンジンではなく本当にユーザーだけに意識を向けてコンテンツを作ることに専念できます。
MUM についての公式ブログの紹介記事はこちらです。