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Google の Search Generative Experience (SGE) は、オンライン出版業界に大きな影響を及ぼすと考えられています。
その脅威について Adweek が報じています。
深刻なトラフィック減、広告収入減の可能性
メディア関係者や SEO 専門家によると、SGE の導入により、出版社のオーガニック検索トラフィックが 20% 〜 60% 減少する可能性があるとのことです。
これは、年間 20 億ドル(約 3,000 億円)の広告収入の減少につながる恐れがあります。
広告販売会社 Raptive の上級副社長 Marc McCollum(マーク・マッカラム)氏は、SGE により同社の 5,000 の出版社ネットワークで 25% の検索トラフィックの減少が予想されると述べています。
さらに Raptive の分析では、旅行やファミリー関連のウェブサイトでは 29%、料理関連では 20% のトラフィック減少が見込まれています。
一方で、60% を超える深刻な検索トラフィックの減少を懸念する出版社もあります。
出版社の SGE 対抗策
このような影響に備え、SEO 戦略の見直し、コンテンツ制作への投資、検索エンジン以外の集客ルートの多様化などの対策を出版社は講じています。
一部の出版社は OpenAI とのライセンス契約を締結するなど、コンテンツの有料化を模索しています。
また、著作権侵害に対する法的措置も検討されています。
さらに、購読やニュースレターなどで集客を図るとともに、一部では自社のAIチャットボットへの投資にも出版社は乗り出しています。
Money.com は、質問に答える形式の機能をウェブサイトに組み込むことで、SGE の検索結果に表示される可能性を高める戦略を採っています。
出版社は SGE の検索結果が従来の自然検索結果の上位に表示されることを「新たな発見の機会」とは考えていません。
また、SGE の検索結果では Google 広告が SGE のスナップショットよりもに表示されることから Google の広告収入が減少するため、特定のクエリに対する SGE の表示が制限される可能性も指摘されています。
SGE は、ウェブコンテンツの発見とコンテンツの消費のあり方に大きな変化を引き起こしかねません。
Google 検索に依存した現行のビジネスモデルと収益構造に対する脅威となるため、出版社には大きな影響を及ぼす可能性があり、素早い適応と戦略の修正が求められます。
SGE が現状のまま導入されるとしたら、この変革への対応が避けられない課題となっています。
もっとも、SGE がどのように正式導入されるかは不透明です。
それどころか、一般公開される保証すらありません。
試験機能のまま終了する可能性も否定できません。
コンテンツ発行者への検索トラフィックを過度に減らすことは Google も望んでいないはずです。
そして、検索広告の収益が減ることは Google にとっても痛手です。
最近は、SGE に関して目立った動きがありません。
淡々と試験を続けているのか、それとも嵐の前の静けさなのか気になります。