[対象: 全員]
Googleは、HTTPS (SSL/TLS) を検索順位を決めるアルゴリズムとして利用することをアナウンスしました。
HTTPSを使っているページは、HTTPのページよりも評価が上がります。
つまりランキングが上がる要素として考慮されます。
GoogleがSSLをランキング要因に組み込むんじゃないかという僕の妄想が、こんなに早く現実のものとなってしまいました。
検索結果に与える影響
HTTPSであることは、ランキングシグナルとしては非常に軽微な影響力しか持ちません。
グローバルでクエリの 1% 未満にしか影響しません
全体的に見ると、このシグナルは良質なコンテンツであるといった、その他のシグナルほどウェイトは大きくありません
ページの表示速度を考慮するアルゴリズムのように、関連性と品質がほぼ同等のページが2つあって片方がHTTPもう片方がHTTPSだったとしたら、HTTPSのページの方を上にする、こんな感じじゃないですかね。
ただし次のようにも言っています。
これから長い期間をかけて強化していきます
状況を判断して、もっと強いランキングシグナルとして利用する可能性が将来的にあることを示唆しています(日本語では「強化していきます」と言い切っていますが、原文では “may decide to strengthen it” と書かれているので、強くするかもしれないよという推量です)。
サイトを完全HTTPS化すべきか
さて、こんなニュースを聞いたら今すぐにでも完全にHTTPSに移行したくなりますね。
でも待ちましょう。
今のところは、ランキングシグナルとしては非常に小さな要因です。
HTTPからHTTPSに変えるということはURLが変わるので、ドメイン名の変更を伴うサイトの移転と同じことになります。
特に大規模サイトでは、一時的にせよ、反対に検索順位が下がることがあり得ます。
そして何よりもTLSの導入は、経験していない限りは、難しい作業になる人も多いはずです。
また、導入に際して疑問が出てくるはずです。
自分では気づかなかった問題が出てくるかもしれません。
情報が豊富に出そろい、安心して移行できる環境が整ってからでも十分間に合います。
Googleは次のようにも言っています。
Google は、みなさんがより簡単に TLS を導入し、よくある失敗を避けられるように、今後数週間のうちに詳細なベスト プラクティスを公開する予定です。
ヘルプドキュメントがさっそく1つ公開されました。
少なくとも、このヘルプを完全に理解できないうちは移行に踏み切るべきではいでしょう。
英語がわかる人は、次も見ておくことをおすすめします。
- got tls? (プレゼンテーションスライド)
- HTTPS Everywhere(動画)
ヘルプにも同じことが書いてありますが、特に、HTTPS Everywhere の動画は非常に勉強になります。
HTTPS導入のために必要なサーバー証明書を売ろうとするセールスが来ることが予想されます。
HTTPSへの移行に必要なことをきちんと理解しない状態で、慌てて飛びつくことのないように十分に気を付けてください。
最終的にはHTTPSを導入すべき
とはいえ、最終的にはサイトを完全にHTTPSに移行すべきでしょう。
SMX Advancedのレポートでも書いたように、ウェブの世界は完全にHTTPSへ向かっています。
ユーザーは安心してウェブを利用できるよりセキュアな環境を求めるようになってきています。
その流れに乗るべきでしょう。
サーバー証明書の取得など費用がかかりますが、安定したサーバー、パフォーマンスの良いサーバーを利用することにお金をかけることが当然なように、ユーザーのセキュリティを確保するための必要経費だと考えましょう。
「自分のサイトは機密情報を扱っていない」としてもHTTPSにしたほうがいいと僕は思います。
仮にあなたが、朝の通勤電車の中で、僕が書いたこのブログ記事をスマホで読んでいたとします。
隣にいる人が覗き見していたらどう感じますか?
他人に見られて困るような記事ではないし(ないですよね?)、ましてあなたの個人情報がバレるわけでもありません。
でも、覗き見されたらいい気分はしないはずです。
同じように、HTTPの状態ではあなたの通信が覗き見される可能性があるのです。
一般的なユーザーはそれに気付いていないだけの話です。
今後セキュリティに対する理解が深まれば、ユーザーはHTTPSのサイトを好むようになることだって考えられます。
それになんだかんだいっても、僕たちにSEOは重要です。
SEOのためにHTTPSを導入したっていいじゃないですか。
最終的にはユーザーのためになるんですからね。
今すぐにHTTPSに移行することはないにしても、将来的な移行を念頭に置いてサイトを運営していってほしいと僕は望みます。