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中古ドメインを悪用したスパムの問題点を TechCrunch が追求しました。
この記事のなかで、Google 検索リエゾンの Danny Sullivan(ダニー・サリヴァン)氏がコメントした中古ドメインに対する Google の扱いが引用されています。
購入ドメインのサイトは必ずしもスパムではない
スパマーは、SEO に有利に働くことを期待して中古ドメインを購入します。
📝すずき補足: 具体的な手法にはここでは言及しません
しかし、別の人から購入したドメイン名で公開するサイトが必ずしもスパムとは限りません。
サリヴァン氏は次のように述べています。
もしサイトを購入するとしたら、ドメイン登録事業者が変わるはずだ。しかし、そのサイトがやっていることの本質は変わらないし、提供しているコンテンツや運営の仕方も変わらない。ドメイン名の所有者が変わったことを Google は理解できる。
根本的な構造やネットワーク構成が変わることなくコンテンツが変わることもありうる。サイトがリブランド(ブランド再生)することもありうるだろうが、リブランドしたからといって、そのサイトがやってきたことの基本的な機能が変わったわけではない。
リブランディングほか企業の吸収合併や社名変更などによって、別の所有者にドメイン名が移ることがあります。
これは正当な理由によるものです。
こうしたケースを Google は認識するので、スパム扱いはしないとのことです。
検索結果に出てくるスパムはごく一部
一方で、中古ドメインを悪用したスパムが存在するのは事実です。
それでも、中古ドメインスパム(を含めたウェブスパム全般)が検索結果に表示されるのは稀だとサリヴァン氏は弁明しています。
購入されたサイトのすべてがスパムだとか、スパムとして扱われるべきだと言うのは公平ではない。
Google の堅牢なスパムフィルタは検索ユーザーを保護するようにできている。実際にスパムが起こると、山ほどの数のスパム対策システムを稼働させる。1 億ではないとしても、何百万ものサイト、ページを検索上位から絶えず排除している。
スパム対策のためにどのくらい一生懸命私たちが取り組んでいるかを理解してもらうのに私が好んで使う比喩がある。
迷惑メールフォルダに移動してみたら、あなたはこう言うだろう。
「ええっ!、こんなにたくさんの迷惑メールがあるなんて気付かなかった」
スパムメールは存在してはいるが現れないものだ。なぜなら、スパムメール対策システムが、このメールはあなたには関係ないものだと判断するからだ。
同じことが検索でも常に起きている。堅牢なスパムフィルタを私たちがもし設置していなかったとしたら、迷惑メールフォルダで見たのと同じようなことに検索結果はなるだろう。非常に多くのスパムがあり、それを捕まえるように私たちのシステムは構築されている。
迷惑メールフォルダを覗くと大量のスパムメールが日々届いているのがわかります。
しかし、意図してこまめにチェックしない限りはスパムメールの存在には気付きません。
通常は、ほぼ “スパムフリー” でメールを利用しているはずです。
検索も同じだとサリヴァン氏は説明しています。
もしスパム対策のシステムがなかったとしたら、検索結果はスパムだらけになります。
でもそうなっていないのは、Google がスパムサイトを排除しているからです。
とはいえ、スパムフィルタから漏れて通常のメールボックスに迷惑メールがときどき届いてしまうことがあるように、検索でもスパムサイトが出てきてしまうことがあります。
スパム対策システムが捕獲に失敗したサイトを僕たちは目にしてしまうのです。
Google に言わせれば、僕たちが目にするウェブスパムはほんのごく一部に過ぎず、大部分を排除できています。
2021 年のスパムレポートでは次のように報告しています。
- ハッキングスパムを 70% 削減
- ホスティングサービスに公開された意味をなさないゴミコンテンツを 75% 削減
- 破壊的で害を及ぼす行為を検出する能力にも優れ、99% の検索をゼロ スパムに
そうは言えど、100% ではありません。
ところが、100% ではないがために、逆に、検索結果に出てきてしまった少数のスパムが目立ってしまい、非難の的になるとも Google は釈明することがあります。
中古ドメインスパムもきっと大部分は排除されているでしょう。
それでも、賢い(?)スパマーは Google のスパム対策アルゴリズムの網の目をくぐり抜けているわけです。
Spambrain や MUM などの AI も導入してスパム対策に Google は発展的に取り組んでいます。
100% スパムフリーにどこまで近づけるでしょうか。