GoogleのMatt Cutt(マット・カッツ)氏が301リダイレクトによってPageRankが失われると発言したことは、SEOの業界に少なからずインパクトを与えていそうです。
301リダイレクトを使うのをストップするべきだということではありませんが、それでもリンクジュースが減ると聞いて、導入に二の足を踏むウェブマスターもいるのではないでしょうか。
「PageRankが減少する」と言ってもいったいどのくらい減少するのでしょうか?
WebmasterWorldのtedsterは「元の85%程度しか渡らない」、つまり15%前後が失われると分析しています。
またSEOmozのRand Fishkin(ランド・フィッシュキン)氏は、1~10%がなくなるとコメントしています。
ただし2人とも根拠となる具体的なデータを提示しているわけではありません。
しかし適当な数字を入っているはずはなく、2人とも多くの著名な企業のクライアントをかかかえたSEOコンサルタントですから、たくさんの事例から得た実体験をもとにしての結論でしょう。
僕は疑いません。
とは言っても、やはり具体的な計測結果が知りたいものです。
Seer Interactive SEO Blogで、301リダイレクトによってどのくらいPageRankが失われたのかを、データを元に検証した結果が公開されました。
新しいドメイン名へサイトを丸ごと移転したクライアントのデータになります。
移転の前後でのサイト全体のトラフィック比較です。
新しいドメイン(赤)の方が平均化されていますが、全体としては若干下がった程度でしょうか。
301リダイレクトによってトラフィックが減る空白期間がほとんど存在せず、比較的速やかに移行処理が進んだように見えるのはポイントの1つです。
ただこちらのデータは季節性の要因(突出して上昇している部分は年末年始の休暇)が絡んでくると思われるで、あまり参考にはならないとのことです。
次のグラフは注目に値します。
月間検索数が550,000回のトップキーワードでの検索アクセスをGoogle、Yahoo!、Bingに分けてグラフ化しています。
真っ先に気づくのはGoogleと他の2つのサーチエンジンの違いです。
Googleは、301リダイレクトを見事に処理している、つまりPageRankを完全に渡しているように見えます。
それどころか、トラフィックはわずかながら上昇しています。
これに対してYahoo!は波があり、直後の一時点ではそこそこ戻っていますが、徐々に下がってしまっています。
Bingはおそまつです。
「どうしちゃったの?、大丈夫?」と心配になりますね。
Bingウェブマスター向けフォーラムの管理者Brett Yount(ブレット・ヤント)氏は、Bingは301リダイレクトを処理するのに2、3回のクローリングが必要だとコメントしていて時間がかかるのかもしれません。
ただBrett Yount氏は、Bingは301リダイレクトに何の問題も抱えていないし4回のチェーンリダイレクトまで処理できると自信あり気にコメントしています。
Bingはやっと301を上手に処理できるようになったというレポートもありますが、ちょっと怪しいところですね。
この分析をしたブログ記事投稿者が得た結論の重要点をまとめます。
- 301リダイレクトによってPageRankを含めて何らかの情報は失われているのかもしれないが、トラフィックは減少しなかったし それどころか上昇した。
- つまり、301によって移転前のドメインの評価は移転後のドメインに上手に渡される。
- ただし、Yahoo!とBingには当てはまらない。
トラフィックが減ることがなく、逆に上がったのは全体の検索ボリュームが伸びた可能性もあるし、移転後にバックリンクが増えたなどの理由で検索順位が上がったのかもしれません。
したがってデータ分析の条件は完全なものとは言えません。
これは分析者も認識しています。
ですが、貴重なデータとして参考になることは間違いないでしょう。
【Source】
301 Redirect Test: How Much Link Juice are YOU Losing? – Seer Interactive SEO Blog