パンダ・アップデートで評価を下げられたとき、原因となっているであろう低品質なページをサブドメインに移動したとしてもリカバリできなさそうだと昨日の記事でお伝えしました。
ところがこのサブドメインへの退避作戦に成功し、パンダ・アップデートから復活したサイトがあるというのです。
Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、そのサイトはHubpages(ハブページズ)というサイトです。
Hubpagesは、ユーザーがコンテンツを投稿できる、いわゆるUGC(User Generated Content)系のサイトです。
アメリカでは人気のあるUGCサイトで、良質なコンテンツもたくさん投稿されています。
しかし誰でも投稿できるということで低品質なコンテンツも多かったためか、サイトワイドで評価するパンダ・アップデートの影響を受けてアクセスを大きく減らしていた「パンダ負け組」サイトの1つです。
※先月オンライン配信したパンダ・アップデート解説セミナーに参加していた人は、パンダ・アップデートのダメージを受けたサイトの例としてHubpagesを僕が挙げたのを覚えていますかね?
Hubpagesは、試験的に低品質なコンテンツの一部を数回に分けてwwwドメインからサブドメインへ移動しました。
するとパンダ・アップデート以前に近い水準までトラフィックが回復したのです。
この件に関して、GoogleのスポークスマンはSearch Engine Landに次のようにコメントしています。
Subdomains can be useful to separate out content that is completely different from the rest of a site — for example, on domains such as wordpress.com. However, site owners should not expect that simply adding a new subdomain on a site will trigger a boost in ranking.
サイトの他のものと完全に違ったコンテンツを切り出すのにサブドメインが役立つこともあります。たとえば、wordpress.comのようなドメインの場合です。
ですが、たんに新しいサブドメインを追加したからといって必ずランキングが上昇するきっかけになるとサイト管理者は期待してはいけません。
質の低いコンテンツをサブドメインに移動すればパンダ・アップデートによるマイナス影響を回避できる可能性はありそうです。
こう聞くと喜びたいところですが、どんなケースにも当てはまるとは言えないようです。
Googleのスポークスマンが例に挙げたWordPress.comやHubpagesは、非常に大規模なUGC系のサイトで数多くのユーザーがコンテンツを提供しています。
質の高いものも質の低いものも“そこそこ”のものも、まさしく玉石混交です。
ライブドアブログやアメブロなど日本の無料ブログを想像してください。
更新が楽しみなくらい役に立つ記事を書いているブログもあれば、(失礼かもしれませんが)内容のない記事を垂れ流しているブログもありますよね。
不特定多数のユーザーが大量にコンテンツを作成するサイトではサブドメイン作戦が効果を生むのかもしれません。
でも1人または数人の管理者でコンテンツ提供しているようなサイトには該当しない可能性が高そうです。
どのコンテンツもあなた(と仲間)が作っているわけですからね。
また別の問題があります。
Hubpagesがトラフィックを回復したのは、サブドメイン作戦によるものではないのかもしれないということです。
パンダ・アップデートは常に更新されるわけではありません。
40〜50日程度の間隔を空けての更新になります。
なんらかの対策を行ったとしても次の更新までは反映されないので結果が分からないのです。
※すぐに結果が出ない特徴もパンダ・アップデートのやっかいな点です。セミナーでお話ししました。
先月の下旬にパンダ・アップデートv2.2が実行されましたがその後、パンダ・アップデートが更新されたという情報はありません。
Hubpagesがサブドメイン作戦を実行したのはパンダ・アップデートv2.2の後です。
サブドメイン作戦が反映されているのか果たして疑問です。
トラフィックが回復したのは別の要因によることもおおいに考えられます。
さらに問題があります。
リカバリが永続するのかどうかです。
Hubpagesがトラフィックを回復したのは今月の上旬です。
昨日の記事でも書いたように、サブドメイン作戦でランキングがいっときだけ回復したサイトもあったのですが、その後再び順位が下がっています。
同じように、Hubpagesもパンダ・アップデート直後のレベルにまで再びアクセスが落ち込むかもしれません。
サブドメイン作戦の効果を測るにはもう少し時間が必要です。
最後、まとめます。
- サブドメイン作戦によってHubpagesはパンダ・アップデートの被害から復活したように見える。
- 質の低いコンテンツをサブドメインへ移動することは役立つこともあるとGoogleも推奨しているが、大規模UGC系サイトに限られそう。
- パンダ・アップデートの更新パターンから考えると、Hubpagesがサブドメイン作戦によってリカバリしたとは断定できず、仮にそうだったとしても一時的なリカバリかもしれない。
【参照】
- Site Claims to Loosen Google "Death Grip" – Digits – WSJ
- Can You Dig Out Of Your Google Panda Hole By Offloading To Subdomains?
- Did Hubpages Really Recover From Google Panda With Subdomains?
- A subdomains fix for Panda – Matt Cutts suggestion to HubPages Google SEO News and Discussion forum at WebmasterWorld