HubspotブログがGoogleコアアップデートで大幅ダウン、原因は?教訓は?

[レベル: 中級]

Ryan Law(ライアン・ロー)氏によって Hubspot ブログのオーガニック検索トラフィックの大幅な減少が明らかになり、SEO コミュニティ内で議論を呼び起こしました。
このトラフィック減少の詳細を掘り下げ、その原因や影響、SEO戦略における意味について Aleyda Solis(アレイダ・ソリス)氏が分析しています。

この記事では、ソリス氏の分析の概要とその分析から学べることを共有します。

HubSpot に何が起きたのか?

HubSpot(ハブスポット)は、顧客管理や営業管理、MA、CMS などマーケティングツールを提供する業界最大手の企業です。
本社は米国ですが、日本法人もあります。
📝すずき注:今回は、米国サイトのお話

www.hubspot.com のドメイン名で運用される本サイトに対して、blog.hubspot.com サブドメインで運用される Hubspot ブログは、Google の12月のコア アップデートと同時期にオーガニック検索ランキングの大幅な低下を経験しました。

しかし Sistrix のデータによると、ブログの検索結果での露出は以前から変動しており、過去の Google コア アップデートでも影響を受けていました。
2023 年 8 月に低下、11 月に上昇、2024 年 3 月に再び低下しています。
そして 2024 年 3 月以降、減少傾向が続いており、今回の減少は孤立した出来事ではなく、継続的なトレンドの一部であることを示しています。

2024 年 1 月時点で、ブログサブドメインは Hubspot 全体のオーガニック検索トラフィックの 77%(394万件)を占めていましたが、同年 12 月には 42%(110万件)にまで落ち込みました。
一方、メインの www サブドメインは 30%(81.9万件)を占めています。

トラフィックが減少したページとクエリの分析

Ahrefs のデータによると、過去 6 か月間にトラフィックが減少したブログページの多くは、Hubspot のビジネスに直接関連性の低い、一般的に人気のあるトピックに集中していました。
たとえば、次のようなクエリです。

  • Famous Quotes(有名な名言)
  • Shrug Emoji(肩をすくめる絵文字)
  • Weaknesses in an Interview(面接での弱み)

これらの記事は、一般的な検索語で高いランキングを得ていたものの、Hubspot の主要なビジネス提供内容とは整合性が低いものでした。
一方で、次のようなより関連性の高いトピックではランキングが向上しています。

  • Email Analytics(メール分析)
  • Landing Page Habits(ランディングページの習慣)
  • PowerPoint Presentation Examples(PowerPointプレゼンテーションの例)

SimilarWeb の分析では、Hubspot のオーガニック検索クリックが特定のクエリで減少する一方、Microsoft や、Adobe、Reddit、Zapierといった競合他社が増加していることが示されています。
たとえば、2024 年 12 月において Microsoft のオーガニック検索クリックシェアは 7% に増加し、Hubspot は3%に減少しました。
Microsoftはサポートセンターのコンテンツを活用してExcel 関連のクエリでより良いランキングを獲得しています。

Hubspot の対処

Hubspotは、関連性の低いページ(「肩をすくめる絵文字」や「有名な名言」のガイドなど)を一時的に 302 リダイレクトで「Content Audits Guide(コンテンツ監査ガイド)」に移行することで、この問題に対処しているようです。

この対応は、「What to do when hit by a Google Core Update(Google コアアップデートで影響を受けた際の対処方法)」と題してソリス氏が作成したフローチャートに沿っており、関連性の低いトピックを対象としたページの削除を推奨しています。

What to do when hit by a Google Core Update

全体的なトラフィックは好調を維持

Hubspot ブログの blog サブドメインがオーガニック検索トラフィックの著しい減少を経験した一方で、メインの www ドメインは異なるパフォーマンスを示している点に注目することが重要です。

すでに触れたように、www ドメインは、「hubspot crm」「marketing automation(マーケティングオートメーション)」「email marketing(メールマーケティング)」といった Hubspot の収益源に直接関連する商業的に重要なクエリで、好調ななランキングを依然として維持しています。
これは、直接的なビジネス価値を生み出すページがランキングにおいてほとんど影響を受けていないことを示しています。

Similarweb のデータによると、2024 年 1 月から 2024 年 12 月にかけて Hubspot の総訪問数が 1460 万から 1120 万へと減少したことは(23.2%の減少)、確かに重要な変化です。
この減少は主に、前述のブログトラフィックの低下によるものと考えられます。
この期間中、直接トラフィックおよびオーガニック検索トラフィックの両チャネルが減少し、サイト全体の訪問数に影響を与えました。

しかし、Hubspot で以前働いていた David Ly Khim(デイビッド・リー・キム)氏の専門的な洞察によれば、Hubspot の SEO 戦略は、大量のボリューム数のトラフィックを通じてリード獲得やコンバージョンを促進するよう設計されていました。
この戦略において、ブログは主要な役割を果たしていました。

ブログのトラフィック量が減少している一方で、商業的に重要な用語での www ドメインのランキングの堅調さは、高価値の顧客を引き付けるコアモデルが依然として健全であることを示しています。
検索トラフィックの減少は、トラフィックのタイプやボリュームの変化に関するものであり、アルゴリズムの変更によりビジネスにおいて重要性の低いブログトラフィックがより大きな影響を受ける一方で、商業的に不可欠なトラフィックは安定していることがわかります。

Hubspot 事例から学べる教訓

Hubspot 事例から次のような教訓を学べます。

  • 関連性を最優先:単に人気のあるトピックを追いかけるのではなく、自社のビジネスやターゲット層に直接関連するコンテンツの作成に注力する。関連性のないトラフィックはビジネス成功につながらない
  • 定期的なコンテンツチェック:コンテンツを定期的に監査し、成果が出ていないものやトピックから外れたものを削除・更新して、Google のアップデートに適応する
  • ビジネス目標を最優先:SEO は単にトラフィック獲得が目的ではない。顧客や収益につながるトラフィックを獲得することに集中する
  • ブランド力だけでは不十分:大企業であっても、関連性が高く質の高いコンテンツを維持する必要がある。ブランド力だけではランキングは保証されない
  • 「見かけだけ」のトラフィックを避ける:一見良さそうに見えるがビジネスに寄与しないトラフィックには依存せず、実際の成果を生む「正しい」トラフィックの獲得を目指す