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告知していたように、2024 年 3 月 12 日に INP (Interaction to Next Paint) が FID (First Input Delay) と置き換わって、Core Web Vitals(コア ウェブ バイタル)の指標に組み込まれました。
Google 検索セントラルの X 公式アカウントがアナウンスしています。
The Core Web Vitals now officially has a new member: INP (interaction to next paint) replaces FID. We announced this change in January, and have been reporting on INP in Google Search Console since last June.https://t.co/fz0FD2uCH3
— Google Search Central (@googlesearchc) March 12, 2024
Core Web Vitals に、新たな指標 INP (Interaction to Next Paint) が正式に追加され、従来の指標 FID (First Input Delay) と置き換えられました。この変更は 1 月に発表されており、Google Search Console では昨年 6 月より INP のレポートが提供されています。
https://support.google.com/webmasters/answer/9205520
ランキングアップ目的の改善は不要
INP と CLS、LCP を指標とする Core Web Vitals はページ エクスペリエンスの要素の 1 つとしてコア ランキング システムがページの評価に利用します。
しかしながら、ランキングに実際に与える影響は極めて軽いものです。
評価が高まり順位が良くなるという期待で改善しても、その期待は叶わないでしょう。
ページ エクスペリエンスの Google 検索結果への影響について解説するドキュメントが、INP 導入にあわせて更新されました。
よくある質問の「Core Web Vitals は重要ですか?」の説明が変わっています。
以前の説明はこうでした。
検索結果でのランキングを上げ、全般的に優れたユーザー エクスペリエンスを提供できるよう、サイト所有者の皆様には、Core Web Vitals を改善することを強くおすすめします。ただし、優れたページ エクスペリエンスに関係するのは、Core Web Vitals だけではありません。Search Console の Core Web Vitals レポートのデータやサードパーティの Core Web Vitals レポートの結果が良好な状態であっても、高いランキングが保証されるわけではありません。
更新後はこのようになりました。
Core Web Vitals は Google のランキングシステムで利用されている指標です。優れた検索結果での表示と、全般的に良好なユーザー体験のために、サイトオーナーの皆様には Core Web Vitals で良いスコアを達成することをおすすめしています。ただし、Search Console の Core Web Vitals レポートやサードパーティ製のツールで良い結果が出たとしても、それだけで Google 検索結果の上位に表示される保証はありません。優れたページ体験は、Core Web Vitals のスコアだけでは決まらないからです。これらのスコアは、あくまでもユーザーにとって全体的により良いサイトにするための指標です。SEO のためだけに完璧なスコアを目指そうとすると、時間の無駄になる可能性があります。
Core Web Vitals 以外のページ体験の要素は、直接的に検索順位を上げるわけではありません。しかしながら、それらを改善することでウェブサイトをより快適に利用できるようになります。快適なユーザー体験は、Googleのランキングシステムが重視する点と大きく重なります。したがって、ページ体験全体の向上に取り組むことは、十分に価値のあることです。
また、John Mueller(ジョン・ミューラー)氏は、LinkedIn で次のように投稿しました。
今日、Core Web Vitals に正式に INP (Interaction to Next Paint) が加わりました。Google は検索結果の評価にも CWV を使っています。みなさんのサイトにどう影響するのでしょうか?
PageSpeed Insights や Google Search Console でこの指標を追跡できるようになってからしばらく経ちました。みなさんもすでにスコアを確認し、現状を把握されていることでしょう。
そうです、Google 検索では Core Web Vitals が使われています。しかし、SEO のためだけにスコア向上に過度に注力する必要はありません。
SEO では客観的な指標を数値で測定できる部分が少ないことは承知していますが、それにのめり込みすぎないよう気をつけましょう。小数点以下の数値一つ一つにこだわる必要はありません。最後の残り数パーセントの改善を達成するには多大な労力が必要になります。そこまでの時間を割く価値があるかどうかはご判断ください。
完璧なスコアを目指したいのは技術的なチャレンジとして楽しいですし、私も自分のサイトでやった経験があるので、その気持ちはわかります。でも、それによってサイトの順位が大きく跳ね上がるわけではない、ということは覚えておいてください。
検索セントラルのドキュメントもミューラー氏のコメントも、ランキング上昇を目的として Core Web Vitals を改善することを推奨していません。
優先度を上げて INP を含む Core Web Vitals を改善する必要があるのは次のようなケースでしょう。
- レポートやツールで計測するとサイト内の半分以上のページのスコアが不良
- 複数の環境(特にモバイル通信や低スペックのデバイス)で実際にアクセスしてみて、本当に反応が遅いと体感できる
これ以外であれば慌てる必要はないと僕は考えます。
もちろん、INP が良いに越したことはありません。
(幸運なことに)リソースを割ける環境があるなら、さらなる改善に取り組むのは決して悪いことではありません。