Google検索品質チームのトップ、Amit Singhal氏とのインタビュー 〜 パンダ・アップデートとSearch plus Your World、透明性について

[対象: 全員]

Googleのサーチクオリティ チームのトップ、Amit Singhal (アミット・シンガル)氏にState of Searchがインタビューしその内容が記事として公開されています。

日本語に訳したので参考にしてください。

パンダ・アップデートについて

Q: パンダ・アップデートのリリースから1年がたつがどう感じているか。同様の更新が今後もあるか。

A: 「クエリに対してもっとも関連性が高い回答を可能な限り速くユーザーに与えること」が私たちが目指す検索のゴールだ。新しいコンテンツが登場するなかで良いコンテンツもあればさほど良くないコンテンツもある。たえずアルゴリズムを調整する必要がある(たとえば、520以上の改良を昨年は加えた)。

質の低い結果を検索結果で見たくないという要望をユーザーから聞いていた。検索結果の質を向上させるもっとも意義深い更新の1つがパンダだ。(パンダに対してユーザーから)得た反応には満足している。

実際に、より質の高いサイトをユーザーは検索結果で見つけられるようになっている。質の高いコンテンツ作者のエコシステムの上にGoogleの成功は成り立つ。したがってこれらの変更によって質の高いコンテンツ作者が検索でさらに多くのトラフィックを得られるのは喜ばしいことだ。

Search plus Your Worldについて

Q: SPYWが米国で始まってから数ヶ月たつ。導入のやり方には今のところ満足しているか。

A: Search plus Your Worldに対するユーザーの反応は本当にポジティブだ。いろいろな形で拡大できるよう取り組んでいる。

Q: 米国以外の国でのスケジュールについて何か教えてほしい。

A: 世界中でこの機能を展開するつもりだがはっきりとしたタイムラインは今の時点では言えない。

Q: Googleが検索結果をパーソナライズ化すると“標準”の検索結果を見ることができないと感じる人たちがいる。いわゆる“filter bubble(フィルター・バブル)”だ。ニーズだけに検索結果がフォーカスされると、たくさんのいい情報を見逃してしまうと感じている。そういう人たちに対しては何と説明するか?

A: 「コンテキスト」(context)と「パーソナライズ化」(personalization)はしばしば混同されるが別ものだ。言語や場所、1年のなかの時などの要因がコンテキストには含まれる。ユーザーに合わせて調整すれば。すぐ近くの通りにあるレストランだったり自分の言語での検索結果だったりというように、生活や必要性に合わせた回答を見つけ出す手助けになる。

パーソナライズ化に関しては、検索結果におけるセレンディピティ(serendipity、別のものを探しているときに偶然にすばらしい物・事を発見すること)にもユーザーが価値を感じている。よってパーソナライズ化に明確に制限をかけ検索結果ページに多様性を持たせるアルゴリズムも実際に整えている。

検索史上かつてないコントロールをこの前のパーソナライズ化(SPYWのこと)では提供した。検索結果ページの右上にあるボタンでパーソナライズ化されていない結果に1クリックで切り替えること可能だ。検索設定でオプトアウトすることもできる。

Googleの情報公開について

Q: 数年前に比べるとGoogleはかなりオープンになったように見える。毎月のアップデート情報を公開しているし、サーチクオリティ ミーティングのビデオまでも公開した。開示性の裏側にあるものは?

A: Googleには何から何まで透明性がないというのは少々誤解だと考えている。サイトをランク付けする方法や理由についてウェブマスターとユーザーとは常にコミュニケーションを取ってきた。

検索に関する研究論文を何百も公開しているし、秘伝のPageRankでさえ、実際には秘伝でなくここで見ることができる。ビデオにしたサーチクオリティミーティングは、それを見た人たちがどう思うかを確かめるための実験でもあったが、非常にうまくいったように思える。

検索における問題にどのくらい気をかけているか、そしてそれを改善するためにどんなことをしているかを示す新しい手段を模索し続けたいと思っている。こういったプロジェクトをもっと多くやることで将来的にさらに透明性が増すと確信している。

以上、「パンダ・アップデート」と「Search plus Your World」、「透明性」についてのAmit Singhal氏のインタビュー発言でした。
この他ヨーロッパにおけるGoogle事情についても応答がありますが僕たち日本には直接関係しないので省略します。

パンダもSPYWも日本には来ていませんね。
SPYWのユーザー満足度が高いというのは信じがたいのですが、パンダはそうなんだろうと思います。
待ち遠しいですね。

シンガル氏はMatt Cutts (マット・カッツ)の上司でもあり、昨年11月のPubCon Las Vegasでは2人のセッションを目の前で聴いてきました。

来月、英ロンドンで開催されるSMXに参加します。
キーノートスピーチでシンガル氏が登場するので何か新しい情報が手に入るかもしれません。
ブログでレポートするので楽しみにしていてください。

なお、SPYWのところで出てきた「コンテキスト」と「パーソナライズ」に違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
『Googleパーソナライズ検索の詳細解説×7項目』