ドメイン名変更をともなうサイト移転では、すべてのURLを一度に転送したほうがいい

[レベル: 中級]

ドメイン名の変更をともなうサイト移転では、一度にすべてのURLを移転したほうがいいとGoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)が推奨しました。

徐々に移転するよりも一度に移転すべき

徐々にサイトを移転するとしたら問題があるか?

英語版のオフィスアワーで参加者の1人からこのような質問をミューラー氏は尋ねられました。

問題ないとしつつも、ミューラー氏は一度に移転することを勧めています。

一度に移転すべき理由

一度に移転することをミューラー氏が勧めるのは次のような理由によります。

  • 基本的に、部分的な移動だと、それは完全なサイト移転ではない証拠だとGoogleがみなす
  • (完全な)サイト移転だと認識すると、すべてのURLを取得するために普段よりも速くGooglebotがクロールする
  • ウェブマスターツールのアドレス変更ツールを利用できる

完全なサイト移転だと認識させるため

全URLではなく一部のURLだけを変更した場合は、サイト全体の移転だとはGoogleは認識しません。

これは道理的にかなっていますね。
一部の変更をサイト全体の移転に受け取られたら逆に困ります。

サイト全体の移転だというシグナルをGoogleに送るには、すべてのURLを新しいURLに転送したほうがいいのです。

Googlebotのクロールを増やすため

サイト全体の移転であることをGoogleが認識すると、すべてのURLの変更(通常は301リダイレクトによる新URLへの転送)を検出するためにクロール速度が上昇します。
結果として、移転処理の完了が早まります。

僕のブログは今年の1月3日にHTTPからHTTPSへと移行しました。
301リダイレクトを設定して一度にURLを変更しています。

直後に、Googlebotがクロールしたページ数がたしかに増えています。
クロールされたページ数の上昇

グラフではわかりづらいかもしれませんが、普段の2倍近くに上昇しています(ちなみに、12月半ばに急激に落ちているが理由は定かではない。その前の1ヶ月ほどの間はクロールするページ数が異様に多かった)。

アドレス変更ツールを使用するため

アドレス変更ツールは、(ルートレベルの)ドメイン単位でだけ使用できます。
URL単位やサブディレクトリ単位では使用できません。

アドレス変更ツールの使用は必須ではありません。
しかしドメイン全体を一度に転送ができるなら、アドレス変更ツールを使ってGoogleの移転処理をさらに促進させることが可能です。

なお、HTTPからHTTPSへの移転にはアドレス変更ツールは使用できません

以上のような理由から、一度に移転することをミューラー氏は推奨しています。

Googleのヘルプ記事も同様に一度の移転を推奨しています。

一度にすべての URL を移転する:移転作業はセクションごとに行うのではなく、サイト内の全 URL について同時に行うことをおすすめします。そうすることで、ユーザーが新しい形式のサイトを使いやすくなるともに、Google のアルゴリズムでより迅速にサイト移転が検出されインデックスが更新されやすくなります。

可能であれば一度にすべて移転を

GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏は、検索順位を落とさないためのサイト移転の実行方法として、サブディレクトリ単位のように部分的に進めていくことを勧めていたことがありました。

順位下落が発生していないかどうかを確認しながら進めていくことと、トラブルが発生したときの影響を最小限に抑えること、またそうしたときに元に戻しやすくすることが大きな理由です。

これも道理にかなっています。

技術面や運用面で困難な場合はもちろん段階を経て徐々に移行してもかまいません。
時間がかかることがありうるとしても、正しく設定ができていればGoogleの移転処理はいずれ完了します。

とはいえ、テスト環境で十分に検証を行った場合や僕のブログのようにさほどサイト規模が大きくない場合は、一度に移転したほうがメリットが多そうです。

【UPDATE】
どんな環境においても一度で移転したほうがいいということではありません。
条件が合えば、一度に移転したほうがメリットがあるということです。