[対象: 全員]
先々週末から先週初めにかけてSEO業界を混乱の渦に巻き込んだ不自然なリンクに対する新しい警告メッセージについて、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏が公式ブログで詳細を説明しました。
かなり長い記事で、要点を絞って僕なりにまとめると次のようになります。
要点
- 従来の不自然リンク警告を送ったサイトに対しては多くの場合、サイト全体の信頼性を減少させ検索順位を下げる措置をとっていた。
- 新しい不自然リンク警告を送ったサイトでは個々の不自然リンクに対象を絞ってそれらだけを無効化する措置をとっている。サイト全体に対してではない。
- パニックを起こす必要はないが無視していいということでもない。
- 現状サイト全体に悪影響を及ぼしてはないが、無効化されており潜在的な問題を抱えているかもしれないリンクが存在することを伝えて透明性を高めることが新しい警告の目的。
ここからはMatt Cutts氏の説明の抄訳になります。
Matt Cutts氏による公式ブログ記事での説明の抄訳
従来のリンク警告メッセージ
これまで数ヶ月間に渡って送信してきた。さまざまな形で対応してきたが、厳しい措置をとった多くのケースではサイト全体の評価を下げた。長年にわたってかなり広範囲に及ぶスパムリンクを形成してきたに違いないと判断したサイトがたとえば該当する。
このメッセージを受け取った場合は質の低いリンクやスパムリンクを可能な限り取り除き再審査リクエストを送ることを勧めている。
リンクを削除することに応じない登録型ディレクトリやブログネットワークがあることを聞いている。リンク削除に料金の支払いを請求してきたなら再審査リクエストでその旨を伝えるか、公式フォーラムに投稿するかまたはスパムレポートから通報して構わない。
新しいリンク警告メッセージ
上で説明したほど厳しくないケースにおいては、サイト全体のランキングに措置を講じるよりも不正なリンクの手段として作られた、スパム的だったり自作自演だったりする特定のリンクに標的を絞ってきた。
「サイト全体ではなく不自然なリンクに対象を絞って対応 (targeted action on the unnatural links instead of your site as a whole)」していることを新しいメッセージでは明確にしている。また新しいメッセージには、(ウェブマスターツールのなかでは)黄色の警告メッセージが付いていない。サイト全体の信頼性を下げる以前の警告ほど深刻ではないことを伝えようとしているためである。
新しいリンク警告メッセージはどのくらい重大か
サイトに対して張られているリンクの一部を評価の対象から除外していることを新しいメッセージは基本的には意味している。全体的には健全なサイトに対してスパム的あるいは自作自演のリンク(たとえば、ウィジェットベイトや有料リンク、ブログスパム、ゲストブックスパム、記事投稿サイトへの過度な投稿、過度な相互リンク、その他の種類のリンクスパムなど)が張られていることが分かったときにこの対処をすることが多い。
したがって、サイトの全体のランキングは直接的に下がる可能性は低いがいくつかのキーワードでは上位表示できなくなっているかもしれない(鈴木注: それまで評価されていたリンクが無効化されたから)。
単なる勧告や無視していいもの、また無実のサイトにだけ送られるものとしてこの新しい警告メッセージを分類したくはない。その一方で、サイト所有者にはパニックになってほしくもない。ハッキングされたサイトから「バイアグラ」のようなアンカーテキストでリンクされる無実のサイトに対しても実際に送っている。
新しいリンク警告メッセージを受け取ったらどう対処すべきか
ウェブマスターツールから「最新のリンク」レポートをダウンロードして日付順に並べ、普段とは違ったことが起こっていないか調べるといい。自分以外の関係者が不正なリンクを集めている形跡をもし発見できたら削除して再審査リクエストを送る。
もっと対処しやすくなるようにどこを見るべきか範囲を絞り込めるような具体的な例を提供できるようにするつもりだ。
ちなみに新しいメッセージを受け取ったのは20,000ドメインよりも少なく、通常の月に送るメッセージの数の10分の1以下に過ぎない。過去に遡ってバックリンクを無効化したすべてのサイトに送っているからこの数字になったのであって、今このメッセージを受け取るのは1日平均ほんの10サイト以下になるだろう。
まとめ
このメッセージを受け取ったからといってパニックになることはないが、だからといって完全に無視すべきということでもない。
現状では、Googleによるサイト全体の評価に影響を与えてはおらずサイトに張られている一部のリンクに影響を与えており、結果としていくつかのキーワードでは以前ほど順位がよくなくなっているかもしれないことを伝えている。
穏やかな重大性をこのメッセージは反映してる。過度に強調しすぎることなく潜在的な問題をサイトが抱えているかもしれないことをユーザーに喚起するのに適切な手段を我々は模索している。現在のリンク状態をサイト管理者が見たいと思ったときに教えることができるようにいっそうの透明化を図って一歩進めかった。
具体例
Matt Cutts氏は、他にもウィジェットベイトによるリンクと有料リンク、レピュテーション・マネジメント(評判管理)が原因で新しい警告メッセージが送信された具体例を紹介しています。
こちらの日本語訳は割愛するので原文を読むか英語のできる人に頼んで訳してもらってください。
上手な日本語訳を提供してくれたらこの記事に追加します。
あるいは自分のブログで訳を記事にした人がいたら連絡をください。
リンクを張ります。
僕(すずき)が感じたこと
ようやく背景がクリアになりましたね。
冒頭の要点にも書いたように、
- 従来の警告はサイト全体の評価を下げランキングも全体的に下げていたケースがある
- 新しい警告は不自然なリンクのみを評価の対象から外しているだけでサイト全体の評価には影響していない
- 無視して良いわけではなく調査して削除すべき
- 完全に無実の場合もないわけではないからパニックにならない
- 透明化のために無効化したリンクがあることを伝えるのが目的
ということでした。
サイト全体の評価は下げずに怪しいと判断したリンクだけを評価しなくなってることを新しいメッセージは伝えています。
今までは裏側でひっそり処理していたけれど僕たちに教えるようになったのです。
内容は同じではないのに同じ文面で送ってきたことがまず第一の混乱の元でしたね。
リンク単体を対象にしたからといってスルーしていいということでもありません。
今はよくてもGoogleの判断が変わったり他の要因と混ざることで重大な問題に発展する可能性は否定できません。
これまでの警告と同様に問題となるリンクを調べて取り除き、再審査リクエストを送るべきです。
まったく無実のサイトに送ることも確かにあるようですが、警告を送ったすべてのサイトを「シロ」だと認めているということでは決してありません。
にもかかわらず「無実のサイトにも送っている」とペラッと書いたのが第二の混乱の元でしたね。
勘違いしてはいけない点を繰り返します。
新しい警告は、問題となるリンクの評価を今のところはなくしているだけであって、状況が今後変化し「クロ」認定されて手動措置(ペナルティ)に引き上げられる因子を保持していると認識しておくべきです。
自分のサイトに張られたバックリンクを調査し、必死で削除に取り組まなければならないことにやはり変わりはありません。
本当に本当に本当に、誰がなんと言おうと身に覚えのない第三者によるスパムリンクが原因だと絶対に確信が持てるのだったら無視してもいいのかもしれませんが、その場合でもできることなら削除の取り組みは行いたいところです。
SEOを外注していたり複数人で施策したりしている場合は、自分の知らないところで不正なリンクが集められていないかも入念にチェックしたほうがいいでしょう。
サイト全体に影響していようが一部のリンクだけに影響していようが、不自然なリンクの調査と削除には多大な時間と労力がかかります。
精神的にも苦痛です。
どんなにGoogleのアルゴリズムが洗練されても、不自然なリンクを100%の精度で検出することは不可能でしょう。
透明化のためと言っていますが、新しい通知により不自然リンク警告の適用範囲を拡大することで不正な手段に頼ってリンクを集めようとする悪巧みを事前にくじく抑止目的も兼ねているようにも僕には思えます。
【UPDATE】
日本版公式ブログが翻訳を公開しました。