[対象: 全員]
あの悪名高い、不自然なリンクに対する警告メッセージを7月20日にGoogleがまた大量に一斉送信しました。
ふたたび(三たび?四たび?)襲った恐怖の背景にいったい何があったのでしょうか。
GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏がGoogle+で説明しています。
サイトに張られている不自然なリンクに対するメッセージを昨日受け取ったとしてもパニックにならないでほしい。
これまでは、サイト全体に対してアクションを起こしたときにこのメッセージを送っていた。昨日、我々は透明性をさらに増すための一歩を踏み出し、サイトに張られている個々のリンクのいくつかが疑わしいと判断したときにもメッセージを送り始めた。
そのサイト(メッセージを受け取ったサイト)がスパム的な行為を行なっている可能性があることを示唆していることがある一方で、無実な理由によることもありえる。たとえばハッキングされたサイトから罪のないサイトに張られたリンクを疑わしいと検知したときにもこのアクション(通知)を起こすかもしれない。
罪のないサイトがこのメッセージを受け取るようになったのは我々がもっと透明性を増すために前進したからだ。しかしそれが、自動的に何か心配しなければならないということに必ずしも繋がるわけではない。
警告を送ったサイトに対してもっと厳しい対応を我々が与えたとしたら検索トラフィックが下落したことに気付はずだ。たとえばそれはGoogleウェブマスターツールの「検索クエリ」レポートで調べることができる。手動によるスパム対応を受けてしまいガイドラインにもう違反していないことを確信できたなら、通常どおりに再審査リクエストを送信する。再審査リクエストを処理するには少し時間がかかるが処理を開始したことを通知するフォローアップメッセージを受け取るだろう。
要点をまとめると次のようになります。
- 第三者の手による不自然なリンクに対しても警告メッセージを送り始めた。
- 理由は透明性を増すため。
- 自分の手によるリンクへの警告なら手動対応(ペナルティ)を与えることがある。
- 自分の手によらないリンクへの警告なら通常は気にしなくていい。
不可解な点、納得のいかない点がありますね。
今までは、自分自身の手で不正なリンクをサイト運営者が集めていた場合にその不自然なリンクを発見し警告メッセージを送って来ていました。
ガイドライン違反なので手動対応いわゆるペナルティを与えられるケースもありました。
ところが今回は自分自身の手によらない、第三者の手による不正なリンクを検出したときにも同様の警告メッセージを送り始めたのです。
「あなたのサイトに不自然なリンクが張られていることを検出しましたよ、そのリンクをGoogleは信用していません」と伝えるのが目的です。
Googleが何をやっているかを伝えて透明性を増すためだと言うのです。
ここまでは問題ないように思えます。
スパムリンクを受けていることを教えてくれるのはありがたいことにも思えます。
問題はその送り方です。
これまでと何ら変わらない同じ文面の警告メッセージを送ってくるのです。
検出した不自然リンクをあなたの手による作為的なリンクとしてGoogleが認識しているのか、それともあなたとは関係のない別の人間の手による不自然リンクとして認識しているのか僕たちには判断のしようがありません。
もしガイドライン違反として認識されているなら一刻も早く問題となっているリンクを削除して再審査リクエストを送らなければなりません。
Googleはそのように指示してきました。
程度がひどければ手動対応のアクションを起こされ検索順位が下がることもあります。
しかし第三者の手によるものなら心配する必要はなく何もしなくていいと言っています。
警告を受け取った後の僕たちの対処に雲泥の差があります。
問題となっているリンクを徹底的に取り除かないと手動対応は絶対に解除してもらえません。
過去に犯した自分の過ちが原因とはいえ、猛烈に苦しんでいるサイト管理者がたくさんいます。
違反を犯しているサイト管理者はともかくとして、本当に無実のサイト管理者さえも理由が分からず苦しむことになります。
Googleが意図して同じメッセージを送りつけたのかどうか僕たちには知る由もないのですが、当然多くのクレームがGoogleに寄せられているはずです。
Matt Cutts氏のTwitterでの反応を見てみましょう。
@yoast we’ve been ramping up tools and transparency more. This was the next step to let people know about more granular manual action.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 20, 2012
@ShahMenz not sure if you saw plus.google.com/10941225723787… but newer notices are about more granular distrust of individual links.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 20, 2012
@jonreiter a good place to start is getting links from the webmaster console sorted by date. This is the next step toward more transparency.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 20, 2012
@mdsimmonds to get to the next stage of releasing more data to webmasters, this was the next stage of info to start sending.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 21, 2012
@rosenstand it’s safe to assume that a lot of people on my team have read the feedback about how to make the messages more clear/actionable.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 21, 2012
@mdsimmonds I hear you. We want to get from point A to point G, but this was point B. We’ll look at ways to make msgs more clear/actionable.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 21, 2012
@ukgimp just my personal opinion, but I’m optimistic that we can find the right balance and maintain that. We do listen to feedback on this.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 21, 2012
@Todd_Morris I agree that using the same message text was suboptimal. We’ll look at improving it so that ppl get a clearer idea of severity.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 21, 2012
@chriscountey it’s the next step to move down that path.
— Matt Cuttsさん (@mattcutts) 7月 21, 2012
Google+では次のようにコメントを返しています。
I appreciate the feedback and I agree. I’m traveling today, but I’ll talk with people on my team when I get back about making the messages about individual links different from the previous messages (where the entire site is affected).
それぞれを訳すのはやめておくとして、重要な発言がいくつかあります。
そのなかでも最も重要な発言は、僕たちがもっと対応しやすいように内容を変えた異なる警告メッセージを送ることをフィードバックを受けた担当チームが検討するだろうということです。
ま、そりゃそうですよね。
現状は混乱に拍車をかけているだけです。
そもそもなぜ事前に予測しておかなかったのか不思議です。
あえて同じメッセージを送ったのでしょうか?(でもそうだとしたら直後にメッセージを変えることを検討しませんよね)。
またGoogleは、今回にとどまらずウェブマスターたちに対してさらに多くの情報を提供しもっともっと透明性を高めようとしているようです。
今回の適用範囲の拡大はその目標達成へのほんの一歩にしか過ぎないとも言っています。
僕たちを驚かせるようなさらに多くの出来事がこれから待ち受けている予感がします。
不自然リンク警告の適用範囲の拡大の理由は透明化と説明しつつも、現実は逆に動揺・騒動を引き起こしているだけです。
Googleの真意は何なのか、狙いはどこにあるのか、今後徐々に明らかになっていくと思われます。